2月26日(月)から3月1日(木)の日程で、世界最大規模の携帯通信関連見本市である「モバイル・ワールド・コングレス2018(MWC2018)」が開かれた。この内容については日経新聞が27日(火)朝刊の第一面で「5G世界で来年一斉に 日本も前倒し検討、IoTや自動運転に応用」といった見出しで大きく報道している。

中国メディアでもこの見本市に関する報道は多い。その中でも目についたのは世界的な通信機器会社である華為に関するものである。人民日報などは、「華為(Huawei)は、MWC2018開幕に合わせ、その前日の夕方、Huawei Global Product Launchを開催、ハイエンドAndroidタブレットである"Media Pad M5"、Windows10を搭載した"Mate Book X Pro"に加え、世界で初となる3GPP標準(世界的な通信標準規格)となる5G商用チップセット"Balong5G01"、このチップを使った"華為5G CPE"を発売した」と伝えている。

2019年に5Gは実用化?

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(画像=Olivier Le Moal / Shutterstock.com)

5Gネットワークの整備と端末の普及が5G商用化の基礎的条件である。端末の普及についてはチップセットの開発がボトルネックとなっているが、その点で華為の今回の発表は大きな意味がある。ちなみに、"華為5G CPE"は顧客限定の装置(Customer Premises Equipment)であり、モデムとルーターを一体化したような円筒形の製品だそうだ。

同社は既に、中国移動、中国電信、中国聯通といった本土の3大キャリアに加え、Vodafone、ソフトバンク、NTTドコモ、T-モバイル、BTグループ、Telefonicaなどグローバル企業30社余りのキャリアと提携関係を結んでいる。2017年には予備的な商用ネットワークを開通させている。2018年には産業チェーンを改善し、相互の通信テストを進め、5G商用の実用化第一弾を始めたいと説明している。

華為のコンシューマービジネス部門を統括する余承CEOは、「5Gは非常に斬新であり、世界を一変させる起点となる。人類社会のすべてについてインターネットに接続する世界を作り出し、人類の生活に大きな利便性をもたらし、生産方式を大きく改善する。ユーザー同士が繋がったり、シェアし合ったりすることで、革命的な変化がもたらされる。5Gは通信産業の需要を満たすだけでなく、グローバルでambient intelligence(IoTとAIを連動させ、生活環境をより豊かにすること)を引き上げ、工業生産、医療、生活環境、外出行動などの面で全く新しいものを作り上げるだろう」などと説明している。

5Gの実用化がこれまでの2020年から1年ほど前倒しされ2019年あたりから始まる見通しとなる中、5Gによって用途開発が進むとみられるスマホへの需要は予想よりも強いのではなかろうか?

スマホ部品、3月から奪い合い?

スマホ業界はiPhone Xの不振について深刻に考えすぎている可能性がある。22日(木)に台湾のメディアが報じた記事の焼き直しであるが、本土では週末から26日(月)にかけて「スマホメーカーの在庫調整暗黒時代は収束、3月からは在庫の奪い合いが始まる」といった内容の記事が、いくつか報じられている。

それによって本土のスマホ関連銘柄が26日、急騰した。中環股フェン(002129)、安潔(002635)、など4銘柄がストップ高となるなど、関連52銘柄で構成されるアップル関連指数(同花順)は4.90%上昇した。

工商時報の報道によれば、本土スマホ業界は2017年、伸び悩み、第3四半期から在庫調整が始まった。ただ、本土大手5社は新機種の発表を間近に控えている。業界関係者は「2018年1月から川上の部品メーカーでは発注急増が始まったが、途中、旧正月の長期休暇があったために、3月以降、発注ピークの第一波が訪れるだろう」と話していると伝えている。

また、スマホ部品メーカーによれば、現在品不足となっている部品は、駆動用IC、受動素子、ディスプレイにはめ込むノッチの3つである。

駆動用ICについては、アップル(ただし、実体としては生産を請け負う鴻海精密工業)がテスト用機器を大量購入したことで、テスト時間が長引いている。

受動素子については品不足が2年目に突入している。1月は春節のため生産時間が減少している。主力サプライヤーの国巨、華新科などは、第一四半期の在庫水準は最低ラインとされる45日を下回った状態である。3〜4月にかけて本土大手部品メーカーが買付を増やすことから、積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)、Chip Resistorなども品不足になるだろう。

ただ、ノッチについては生産にかかるリードタイムが長いことから品不足が懸念されているが、ほかの2つほどには緊急度は高くないようだ。iPhone X不振による影響から一番早く脱するのは部品メーカーである。香港では、瑞声科技(02018)、舜宇光学科技(02382)、東京では村田製作所 (6981)あたりはもう少し買われてもよさそうだ。

田代尚機(たしろ・なおき)
TS・チャイナ・リサーチ 代表取締役
大和総研、内藤証券などを経て独立。2008年6月より現職。1994年から2003年にかけて大和総研代表として北京に駐在。以後、現地を知る数少ない中国株アナリスト、中国経済エコノミストとして第一線で活躍。投資助言、有料レポート配信、証券会社、情報配信会社への情報提供などを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。東京工業大学大学院理工学専攻修了。人民元投資入門(2013年、日経BP)、中国株「黄金の10年」(共著、2010年、小学館)など著書多数。One Tap BUY にアメリカ株情報を提供中。HP:http://china-research.co.jp/