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建設業界の近況

長きにわたって低迷状態にあった建設業界ですが、東日本大震災の復興事業や住宅市場の回復により市場は好転しつつあります。2014年3月期決算においても消費税増税前の駆け込み需要や非製造業の民間工事が急増し、建設業界大手は軒並み前年比二桁増の建設工事受注を達成しています。一見、順風満帆に見える建設業界ですが、新たに直面している問題点もあります。

それは、資材および機材価格の高騰によるコスト増や、市場の急速な回復による人手不足に起因する労務費の増加などです。最近耳にする公共工事での入札不調はコスト増や人手不足により、入札をできない建設業者が多くなっていることが原因だと考えられます。新たな局面を迎えつつある建設業界ですが、まずは主要各社の決算状況を振り返ってみましょう。

注目企業の決算まとめ 前編

①鹿島建設< 1812 >

売上高は1兆5,211億円となり前連結会計年度比2.4%増、営業利益は同24.6%増の230億円、経常利益は同9.6%増の270億円、当期純利益は同11.4%減の207億円という決算内容となりました。特別利益の減少と税金費用の増加により前年比で当期純利益は減少しましたが、事業全体としては土木工事関連事業が堅調で営業利益ベースでは増益となりました。

しかし、建築事業部門では人件費や資材価格の高騰により採算性が悪化したため、営業利益ベースで316億円の損失を計上しています。建設事業の受注高は前期比18%増の1兆5,735億円と受注ベースでは堅調な推移を表しています。

②大林組< 1802 >

売上高は前連結会計年度比11.4%増となりましたが、営業利益は同9%減の319億円、経常利益は同10.2%減の401億円と前年を割り込む結果となりました。最終利益は投資有価証券の売却益増加や税金費用の減少により前期比63.9%増216億円の当期純利益を計上していますが、人件費や資材価格の高騰による採算性の悪化で営業利益ベースでは減益の決算内容となりました。建設事業の受注高は前期比15.2%増の1兆5,809億円となり、受注ベースでは堅調な推移となりました。