注目企業の決算まとめ 後編
③大成建設< 1801 >
売上高は前連結会計年度比10.2%増の1兆1,961億円となりました。利益ベースでも増益を達成し、営業利益は同46.8%増の328億円、経常利益は同59%増の356億円、当期純利益は同73.8%増の216億円となり、堅調な決算内容となりました。一部の大型工事の採算悪化に伴い建築事業においては営業利益が減少したものの、土木事業の売上総利益率好転などを背景に増収増益の決算内容となりました。受注高においても前期比17.2%増の1兆6,458億円と堅調な推移を示しています。
④清水建設< 1803 >
売上高は前連結会計年度比5.8%増の1兆4,975億円となり、当期純利益も同140.5%増の141億円と増収増益の決算発表となりました。投資開発事業関連の利益は減少しましたが完成工事総利益等が増加したことから、営業利益は前年比98.9%増の260億円、経常利益は68.9%増の292億円と大幅増益の決算内容となっています。受注高も1兆3,929億円と前年比20.1%増となり順調な業績推移を表しています。
⑤長谷工コーポレーション< 1808 >
売上高は前連結会計年度比5.1%増の5,875億円、営業利益は同18.5%増の288億円、経常利益は27.2%増の254億円、当期純利益は90.1%増の248億円となり増収増益の決算発表となりました。建築工事においてはマンション建設に特化することでコスト競争力が高まり、都内の旺盛なマンション需要で供給戸数が伸びたことにより堅調な業績発表となりました。長谷工コーポレーション単体での受注高は前年比26.8%増の3,631億円となり、増加傾向をたどっています。
建設業界、今後の展望
主要各社の決算を総括しましたが、受注から売上までに期間を要する長期請負工事も多く、単年度の業績だけを鵜呑みにするわけにはいきません。しかし、受注高も含めて考慮すると、建築業界としては総じて堅調な業績といえるのではないでしょうか。
2014年度以降も東京オリンピックに関連する施設発注の増加など、順調な市場環境が予想されます。労務費や資材価格の上昇は今後も続く見込みですが、過去に受注した低採算案件も時間の経過とともに消化されつつあり、案件ごとの採算改善も進むものと考えられます。
今後も高採算の案件を選別して受注することができれば、業績面で大きな改善をもたらすことができますが、もちろん簡単なことではありません。また、売上高については、建設業界各社の施工能力が現状より大幅に向上することは考えにくいため、今後も大幅な増加に転じることはありませんが、数年間は横ばいもしくは微増程度で推移することが予想されます。
人手不足の深刻化や資材価格の上昇以外にも、長期スパンでみると人口減少による需要の低迷等が懸念される建設業界ですが、短期的には堅調な業績で推移するものと考えられます。