3月19~23日の東京株式市場は急落した。米トランプ政権の鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に加え、中国が米国の知的財産を侵害しているとして通商法301条に基づく制裁措置を検討するとの報道が弱材料となった。株式市場では貿易戦争への懸念が強まり、日経平均株価は23日の終値で前週末比1058円65銭安の2万0617円86銭まで下落した。
新興株式市場も売りが先行する展開に
それでは、今回は東証マザーズ市場の「週間出来高」ランキングをみていこう。
(1)ソレイジア・ファーマ <4597> 359円 -0.55% 1702万1300株
(2)メディアシーク <4824> 1170円 +9.65% 1503万0900株
(3)神戸天然物化学 <6568> 3140円 -7.37% 1044万5500株
(4)ジーエヌアイグループ <2160> 517円 -4.08% 1026万4000株
(5)ディー・ディー・エス <3782> 619円 +2.48% 927万4100株
(6)メディネット <2370> 128円 -3.03% 910万4100株
(7)総医研ホールディングス <2385> 755円 -13.81% 838万0300株
(8)じげん <3679> 965円 -15.05% 611万0800株
(9)ブライトパス・バイオ <4594> 710円 -12.56% 596万3900株
(10)日本アセットマーケティング <8922> 121円 -3.97% 533万6900株
※銘柄、証券コード、23日終値、騰落率、出来高。データはヤフーファイナンスに基づく。
3月19~23日の新興株式市場は急落。日経平均株価が約1000円も下落する中、東証マザーズ市場でも個人投資家の売りが先行した。上記ランキングでも8銘柄が下落しているが、中には10%以上の下げを記録した銘柄もある。業種別では医薬品、情報・通信業、サービス業が各3銘柄、残りは不動産業の1銘柄だった。
ソレイジア・ファーマ、「将来の収益期待」から人気高い
今回は上記ランキングからソレイジア・ファーマ、神戸天然物化学、ディー・ディー・エスの3銘柄を見ていこう。
ソレイジア・ファーマは、がん領域の医薬品の開発・販売に取り組む創薬ベンチャー。東証マザーズ市場の人気銘柄の一つで、「週間出来高」等のランキングでは上位の常連となっている。
同社のビジネスは、新薬候補物質の開発権を取得した上で行う「臨床開発」を主力とする。具体的には、悪心・嘔吐を適応症とする「SP-01」のほか、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を適応症とする「SP-02」、口内炎に伴う疼痛緩和口腔用液材の「SP-03」、末梢神経障害を適応症とする「SP-04」(スウェーデンのプレドファーマ社の「PledOx」)の開発を進めている。
開発費が先行しているため赤字が続いているが、株式市場では「将来の収益期待」から投資人気が高い。今回の「週間出来高」ランキングにおいても1702万1300株と第1位だ。騰落率は0.55%安ながら大幅に下げる銘柄が多い中で、むしろ底堅いと見ることもできよう。
神戸天然物化学、初値は公開価格を約57%上回る
神戸天然物化学は医薬品や農業化学品、機能材料などの製造を受託する研究・製造支援会社である。
同社は3月15日に東証マザーズに上場したばかりだ。主な顧客は大手化学・製薬メーカーで、製品開発の過程で必要となるサンプルの合成や量産化に向けた最適化を引き受けている。医薬品は量産化されると受託側の受注も継続するため、収益性が高いとされている。
神戸天然物化学の15日の初値は3665円で、公開価格の2340円を約57%上回った。その後20日には4235円の高値を付けている。
ディー・ディー・エス、新技術の開発で人気化する
ディー・ディー・エスは生体認証機器メーカー。指紋や顔などの身体的な特徴による認証方法を使いやすくし、パスワードの要らない本人確認の仕組みの普及に取り組んでいる。
同社は3月19日、東京大学大学院情報学環セキュア情報化社会研究寄付講座グループと連名で、指紋を高解像度で撮影することで得られる「第三次特徴を利用する」新しい解析アルゴリズムの開発に成功したと発表した。
従来の指紋判定技術は、スマートフォンなど大きさに制約のある機器等で誤認識が発生しやすかったが、今回発表した新技術では指紋の隆線の微細構造を解析することで高精度の認証を実現、スマートフォンメーカーなどに提案する方針という。
株式市場ではこの発表を好感した買いが活発化、週間出来高は927万4100株に膨らみ、今回のランキングで5位となった。(ZUU online 編集部)