富裕層が資産を管理するうえで、大きな影響を受けるのが税金だ。日本の所得税は累進課税のため、高額所得になればなるほど、税金の負担は大きくなる。そのようななか、高額所得者の間で「アメリカの築22年以上の木造不動産」への投資が注目されている。今回は、その理由について見ていこう。

なぜ富裕層はアメリカの築22年以上の木造不動産を買うのか?
(画像=PIXTA)

「所得税の圧縮」が大きな目的

不動産投資自体は、富裕層の間でもポピュラーな資産運用方法だが、アメリカの築22年以上の木造不動産へ投資する大きな理由は「所得税の圧縮」にある。なぜ所得税の圧縮に繋がるのだろうか。

そのスキームを読み解くには、まず「減価償却」について理解する必要がある。建物や車両、機械などの資産は経年劣化するため、その価値の減少分を費用として計上できる。これを減価償却という。減価償却費は、実際にキャッシュアウトした金額ではなく、税制上の経費だが、この減価償却をうまく活用することが所得税の圧縮に繋がる。

減価償却の計算ルールを活用する

日本に居住する日本人は、世界中のどこで収入を得ようとも、すべて日本で納税義務が発生する。従って、アメリカの不動産を購入した場合も、所得税および減価償却の計算は、日本の法律に則って計算される。

個人の所得税の計算方法だが、不動産の賃貸収入のような継続的に発生する所得に関しては、給与などと合算する総合課税となっている。また、建物の法定耐用年数は木造で22年、法定耐用年数を超える場合は4年で償却することが定められている。

これらを勘案した具体例を考えてみよう。年間給与4000万円の人が、アメリカの不動産(物件価格2億円・建物割合80%・年間収益800万円・築30年の木造アパート)を購入したとする。物件価格が2億円なので、建物価格は1億6000万円だ。日本の減価償却(築22年超の木造物件なので4年間で償却)に照らし合わせて、年間4000万円を償却するわけだ。年間収益800万円を加味すると、

<アメリカ不動産の年間所得> 年間収益800万円+減価償却費▲4000万円=▲3200万円

<日本での課税所得> 年間給与4000万円−アメリカ不動産の年間所得▲3200万円=800万円

となり、課税所得を大幅に減らせることが分かる。なお上記は単純な計算であり、為替変動や諸経費などは考慮していない。詳細は税理士などの専門家に問い合わせて頂きたい。

建物価値の評価方法の違いを活用する

日本に比べて国土が大きいアメリカでは、「土地の資産価値」は日本に比べて相対的に低い。日本で築30年のアパートを購入しても、建物価値はほとんど評価されない場合が多いだろう。しかしアメリカでは、築年数が経っている場合でも、物件価格に対する建物割合が70〜80%の物件もあるようだ。

その理由として、中古不動産に対する考え方の違いや、流動性の違いが挙げられる。気候の違いもあり、アメリカでは一度建てたら、できるだけ長く住もうという文化がある。国土交通省の「既存住宅流通シェアの国際比較」によると、全体の流通戸数に対する既存住宅流通戸数の割合は、日本の14.7%(2013年データ)に対して、アメリカは89.3%(2010年データ)となっており、流動性の面でもアメリカの高さが際立っている。

売却するタイミングは5年経ってから?

高額所得者が「アメリカの築22年以上の木造不動産」を購入する理由をご理解頂けただろうか。ここからは出口戦略(物件の売却)について解説したい。不動産売買に関する日本の法律では「5年」の所有期間がひとつのポイントになる。

購入時から起算して売却した年の1月1日時点の所有期間が5年以内だと、短期売却という扱いとなり、売却益に対して39%の税金がかかる。その一方、5年を超えて売却すると20%の税率となる。従って、4年間で減価償却を全額計上して、その時点で含み益が出ていれば、もう1年保有し、20%の税率となってから売却するのが賢い方法だろう。

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しかし、国税庁の見解次第では、所得税の圧縮が認められなくなる可能性があるかもしれない。もちろん、アメリカ不動産投資自体にもリスクがある。空室リスクや資産下落リスク、流動性リスク、外貨リスクなどだ。いくら所得税を圧縮できても、売却後の通算損益が、圧縮額以上にマイナスになってしまっては本末転倒だ。

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