ブランド資産データベースのBrandzが「2018年中国ブランド価値100強」を発表した。その中から海外収入トップ10企業というサブカテゴリ―を経済サイト「中商情報網」が紹介している。
中国政府の重視している“一帯一路”構想は、中国ブランドに巨大な商機を提供している。しかし米国との貿易関係は、ここへきてギクシャクし始めた。これら10社はそのいずれにも、大きく関わるに違いない。10社の最新情報を検討してみよう(1元=16.92日本円)。
10~6位 航空会社と家電メーカー
●第10位 中国南方航空(航空)26% 25億ドル(国外売上比率/企業価値)
中国3大の航空会社の首位。本社広州。旅客数はアジア首位、世界三位。保有機数はアジア首位、世界四位。エアバスA380とボーイング787を同時に所有する世界唯一の航空会社。2017年売上、1274億8900万元。
●第9位 海信(家電) 30% 4億ドル
海信(Hisense)科龍(kelon)容声(Ronshen)の3ブランドを持つ総合家電メーカー。全世界13カ所の生産拠点と12カ所の研究開発拠点。130の国と地域に販売。ロシアワールドカップの公式スポンサー。2017年、海信電器の売上330億90万元、科龍の売上、263億9400億元。
●第8位 中国石油(石油天然ガス) 32% 96億ドル
1999年中国石油天然気集団を改組して誕生。営業収入中国最大級。世界最大の石油会社の一つ。採掘、精製から販売まで。2017年売上、2兆158億9000万人民元。前年比24.7%も増加。
●第7位 中国国際航空(航空) 33% 52億ドル
中国3大航空会社の一つ。北京本社。中国で唯一国旗の掲載を許されたフラッグシップ。2017年売上、1213億6300万元。
●第6位 美的(家電) 35% 39億ドル
国内家電のリーダー格。全世界21の生産拠点、200を超える国と地域で販売。リオオリンピック公式スポンサー。2016年3月、東芝の白物家電を買収。2017年1月、テンセントと戦略提携。6月、ドイツのロボットメーカー「KUKA」を買収。2017年売上、1877億6400万元。
5~1位 ITの3社ランクイン
●第5位 中国東方航空(航空) 38% 30億ドル
中国3大航空会社の一つ。上海本社。2018年2月、不動産大手「万科」と提携。2017年売上、777億500万元。
●第4位 ZTE中興(IT) 42% 19億ドル
総合通信システムのリーダー企業。世界140の国と地域に電信運営の産品とシステムを提供している。スマホ製造も。2018年3月、バイドゥ(百度)と5G環境下の無人運転実験を行う。2017年売上、1088億元。
●第3位 TCL(家電) 46% 3億ドル
スマート家電製造。全世界22の製造拠点と26の開発拠点。160の国と地域に販売。2017年CBA(中国プロバスケットボール連盟)と提携。子会社「雷鳥科技」の増資をテンセントが引き受け。2017年売上、823億3700万元。
●第2位 華為/ファーウェイ(IT) 55% 241億ドル
全世界に17の研究開発拠点、36の研究センター。170を超える国と地域に進出。世界の電信会社トップ50社のうち、45社で製品が使用されている。2018年3月、三星電子との知的所有権係争に勝訴。未上場ため2017年売上は、予想額で約6000億元。
●第1位 聯想/レノボ (IT) 72% 5364億元
出荷数で世界最大のコンピューターメーカー。2004年IBMのPC部門を買収。2011年NECのPC事業と統合。2014年モトローラのスマホ部門買収。2017年、富士通子会社に出資。北京、上海、広東・惠陽の3大生産拠点と、北京、東京、米国・ローリーの3大研究開発拠点。2017年売上、3162億6300万元。
打撃避けられず?
外国での売上比率が50%を超えているのは、ファーウェイとレノボだけである。そして中国を代表する企業として、米中貿易摩擦の矢面に立たされている。ネットメディアは「鳳凰網」は、ファーウエイの米国事業に打撃、と題して、米国への投資、買収戦略に影響する。当面、電信会社への出資、流通企業の買収はできそうにない。ファーウエイは米国戦略を“調整”せざるを得ないと報じている。斜陽のパソコンではなく、スマホなど通信機器と設備が国家間係争の本丸となり、最も影響を受けそうだ。
三大航空会社は、引き続き“ボーイング買い”の圧力にさらされるだろう。いずれにしろこの10社は、米中貿易摩擦の象徴として、世界の耳目を集めそうである。その動向は注視しておきたい。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)