ビットコインについで知られる有名な暗号通貨であり、ブロックチェーンを使ったアプリ開発のプラットフォームである「イーサリアム」。関連するスタートアップを支援する「イーサリアム・コミュニティ・ファンド」が設立され、3月29日、都内で記者会見が行われた。共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏らが来日して講演したほか、ECFの助成を受けたスタートアップ5社(プロジェクト)の代表も登壇した。(取材・濱田 優 ZUU online編集長/FinTecn online)

OmiseGoやグローバル・ブレインなども協力

イーサリアム,ブロックチェーン
講演したブテリン氏(写真=FinTech online編集部)

ECFはイーサリアム財団も支援するプロジェクトで、国際展開している7つのプロジェクト(COSMOS、Golem、グローバル・ブレイン・ブロックチェーン・ラボ、Mayker、OmiseGo、Raiden、WEB3)が協力している。なおファンドの助成が決まっているのは5プロジェクトで、Prysmatic Labs、Reality Check、ETH PRIZE、Swingby、XLNTだ。この日のイベントでは、それぞれの代表者が登壇し、現在取り組んでいるプロジェクトの開発状況や、イーサリアムのコミュニティの長所、問題点などについて意見を交換しあった。なおECFの運用額などは公表されていない。

冒頭、登壇したブテリン氏はイーサリアム財団の活動について、「インフラ構築のためのファンディング、研究開発の支援、開発環境の整備などに取り組んでいる」などと説明、「企業がやるインセンティブがないところを財団が補完している」などと補足した。また今後の予定について「250万ドルほどの助成金を導入したが、近い将来にも助成プログラムは拡充したい」「地域におけるサポートもやりたい」「イベントや会議、教材を作成してイーサリアムについて学べる環境をつくりたい」などと語った。

イーサリアム財団エグゼクティブディレクターの宮口礼子(Aya Miyaguchi)氏も登壇し、財団のあり方として「あくまでコミュニティが主役で、ファウンデーションは支える側」と説明。「ブロックチェーンには(世界で起きている)不均衡を戻す力が、そしてイーサリアムには(それを重視する)コミュニティが存在する。イーサリアムには、ソーシャルインパクトを実現する技術(ツール)としての価値と社会をよくするコミュニティとしての側面がある」などと強調した。

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ブテリン氏(左から8人目)、宮内氏(同9人目)らECFの中心メンバー(写真=FinTech online編集部)

ブテリン氏とともに共同創設者であるギャビン・ウッド博士もWEB3の代表として参加、スピーチした。なおECFにはOmiseGo(Omise運営、長谷川潤代表)やVCであるグローバル・ブレイン(GB、百合本安彦代表)が参加するなど日本も深く関わっている。

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