手数料と特徴

続いて、金融機関ごとの手数料を比べてみます。三菱UFJ信託銀行「遺心伝心」など、信託銀行では契約時32万4000円、年間保管料5,400または6,400円、変更時5万4000円です。

三井住友信託銀行では、「遺言執行コース」のほかに、遺言を相続人に渡す「遺言保管コース」があります。保管コース54万円と、保管コースのほうが高くなっています。執行コースでは、納税資金の手当てについて相続人や受遺者にアドバイスを行っています。みずほ信託銀行遺言管理信託があり、基本手数料は公正証書の場合32万4000円で、公正証書以外の場合54万円です。りそな銀行では、1名に全ての財産を譲りたい方に対して、子ども、孫、両親がいないことを条件とし、契約時約21万6000円で、遺言保管料なしのプランも提供しています。

これらの金融機関では、財産5000万円以下の部分に対する執行報酬は評価額の2.16%で、5000万円超1億円以下の部分は1.62%など、料率は段々下がる仕組みで、最低執行報酬は108万円または162万円です。ただし、三井住友信託銀行とみずほ信託銀行では、同行にある資産に関しては財産額に関わらず評価額の0.324%になります。


関連サービスの例と近年の傾向

三井住友信託銀行の遺言信託に関するサービスは、資産分析や相続税試算を行う「エステートプランニング」で、遺言信託と同時に申し込むと基本手数料が無料になり、執行報酬が3割引になります(最低執行報酬は変わりません)。次にプレミアムサービスとの関係ですが、執行コースを契約する時に、トラストプレミアムサービスまたはアドバンテージサービスのプラチナステージであれば、遺言保管料が無料になります。

また、遺言信託の契約者と3親等以内の親族に対して定期預金の特別金利プランが用意されていて、2014年8月現在の利息は3ヶ月もの1%、2年もの0.3%、5年もの0.4%です。ただし、新たな資金であることが条件で、3ヶ月ものは1人1回までです。このように遺言信託の仕組みは似ていますが、手数料や関連サービスに違いがあります。

近年の傾向としては、遺言書保管のみを委託する件数は減少し、遺言執行も委託する件数が増えています。

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