充実した税制優遇のため、老後資金の準備の一つとしてiDeCo(個人型確定拠出年金:イデコ)に注目が集まっています。しかし、20代、30代といった若い世代にとっては、老後資金と言うとずっと先の話というイメージが強く、今から準備を始めようと言われても実感が沸かないのが現実ではないでしょうか。

しかし、iDeCoに代表される積立方式の投資手法は、早く始めれば始めるほど効果は大きいと言われています。本コラムでは、iDeCoを早く始めるメリットを紹介します。

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(写真=PIXTA)

iDeCoのうれしいポイント

iDeCoは月々一定の金額を拠出して資産形成を行っていきますが、金融機関の一般口座や特定口座で同じように資産形成を行う場合に比べ、特に有利な点が税金に関する優遇措置です。

まず、一番のメリットは、拠出する掛金が全額所得控除になることです。所得税は所得に応じて多くなりますが、iDeCoの掛金は所得から引かれるので、所得が少なくなり、結果的にそれをもとに計算される所得税が安くなります。

例えば、年収450万円の人が月額2万3,000円の掛金を拠出した場合、年間で約8万4,000円の所得税・住民税が軽減されます。これは、単純に手取りが約8万4,000円増えることを意味します。30年間では、約252万円もの節税効果になる計算です。

また、一般口座や特定口座では、運用益などに対して約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税になります。10万円の利益が出た場合、通常ならば税金が約2万円かかるので受け取りは約8万円ですが、iDeCoでは10万円そのまま受け取ることができます。

なぜ早く始めるのがいいのか?

投資を行う場合、難しいのが金融商品を買うタイミングです。ある金融商品を買った次の日からその価格が下がり続けると、一番高いときに買ってしまったと後悔することになりますし、買うのをためらっているうちに金融商品の価格が上がり続けると、安いときに買っておけばよかったと後悔することになります。
 iDeCoは毎月一定額を拠出する「積立方式」という投資方法で運用を行うので、このような安い時に買わなかったり、高い時だけ買ってしまったりという失敗を避けることができます。これを投資における時間の分散と言います。

時間の分散をもう少し詳しく見てみましょう。例えば、毎月1万円ずつ拠出すると仮定してみます。1万口あたりの基準価額が1万円の投資信託が、2ヵ月目に2万円、3ヵ月目に5,000円、4ヵ月目に1万円と推移したとします。

毎月1万円ずつ買うと決めた場合、買える口数は、1万口、5,000口、2万口、1万口と推移し、計4万5,000口購入できます。一方、積立ではなく一括で4万円分買うと、4万口しか購入できないことになります。同じ拠出金額なのに、毎月1万円ずつ拠出して購入していく場合と、一括で購入する場合とでは、前者の方が多くの口数を保有できていることが分かります。

これは、投資信託の価額が2万円に上がったら5,000口、5,000円に下がったら2万口という風に、価額が上がったら買い控え、下がった時に多く買うという購入方法を自動的に行っているためです。

この時間の分散は、投資期間が長ければ長いほど効果的に働きます。短期間で損失を出すと、同じく短期間でその損失を埋めることは難しくなりますが、長期に渡って時間を分散することで、リスクを平準化することができるので、投資はできるだけ長期的な視点で行いましょう。

毎月コツコツ積み立てて行こう


 iDeCoは自分のペースに合わせて、掛金を自由に変えることができるのもメリットです。月々最低5,000円から、1,000円単位で金額を選ぶことができますので、初めは少ない金額で始め、徐々に掛金を増やしていくこともできます(掛金額の変更は年1回)。

また、2018年1月からは、ボーナス月の掛金を増額するなど、1年の間で柔軟な掛金設定ができるようになりました。

若い人こそ始めよう!

若い世代の方がiDeCoを始めるメリットは、他にも、複利効果が期待できることや、一時金で受け取る場合の控除額が大きくなるなど色々とあります。もちろん主な目的が老後の資産形成なので、60歳まで引き出せないというルールはありますが、時間の分散による長期的な運用がiDeCoの醍醐味です。少額からでも良いので、毎月少しずつ将来のために積み立てを開始してみてはいかがでしょうか。