SBI、楽天、カブッドコムなどネット証券のみならず、野村證券や大和証券、SMBC日興証券などの対面証券、またセコムトラストシステムズほかシステム開発企業など35社が参画する証券コンソーシアムが発足、4月19日に第1回の会合が開かれた。

会長に就くSBIホールディングスの北尾吉孝社長はあいさつで、「最大の問題は預貯金から証券界にきているアセットがごくわずかであること。それを解決することは国民経済的にも正しい。そして顧客便益性をできるだけ高める一番の手立ては最先端技術を取り入れることだ」などと話した。(取材・濱田 優ZUU online編集長/FinTech online)

コンソーシアムの目下の課題はKYC

ブロックチェーン,KYC,DLT
参画する35社の代表らが出席した(写真=FinTech online編集部)

コンソーシアムは、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)ほか先端技術を活用して、取引の効率化を図り、これまでトレードオフになりがちだった利用者の利便性と証券会社の効率化を両方実現。貯蓄から資産形成へとの資金の流れを促すことを目的としている。

基礎技術の研究や共通基盤の構築を推進し、DLTやAIなどの技術を活用した金融インフラを検討するといい、まずワーキンググループを3つ設置する。「KYC・本人認証」「共通事務」「DLT先端実験」で、それぞれの目的は「KYC(本人確認)プラットフォームの構築など」「AIなどを活用した売買審査業務の効率化など」「DLTに関する中長期的な検討や実証実験の実施」となっている。

野村HD執行役員「技術革新が証券インフラに大きな変革をもたらす」

あいさつで登壇した北尾会長は、今回ネット証券のみならず大手対面証券も参画したことについて「ネットとリアルを分けるのもおかしい。ネットを使わない金融業界はありえない」とも言及。

日本のFinTech(フィンテック)については「極めて遅れている」との認識を示したうえ「証券会社だけの集まりをやる時代ではない。(証券に限らず)すべての金融業界でこういったコンソーシアムをたちあげることが日本の金融界のレベルアップになる。一企業での競争という低レベルな次元の話はやめて、国民が喜び世界中の利用者が喜ぶ、そういう精神でやっていきたい」と意気込みを述べた。

このほか会合の冒頭には、カブドットコム証券の齋藤正勝社長が登壇、「当社はじめネット証券各社、ほとんどの証券会社がフィンテックに取り組んできたが、解決すべき課題は一緒に取り組んだほうがいいとトップ同士で確認できた(ことがコンソーシアム発足につながった)」などと述べた。

野村ホールディングスからは大塚徹執行役員が出席、「分散型台帳技術(DLT)をはじめとする革新は証券における基礎的なインフラに対して大きな変革をもたらすと弊社も考えている。微力ながらバックアップしていきたい」とあいさつ。

さらに楽天証券の楠雄治社長は「これだけの証券、ベンダーが集まり業界をあげたコンソーシアムはこれまでにない動き。それだけ新しい技術を活用して解決すべき課題があるということ。証券だけでなくベンダーも参画するということで、具体的なソリューションが持ち寄られることにもで期待したい。非競争分野では皆で力を合わせていきたい」と期待を語った。

証券コンソーシアムに参加するのは、藍澤證券、今村証券、岩井コスモ証券、エイト証券、SMBC日興証券、SBI証券、岡三オンライン証券、岡三証券、岡三証券グループ、カブドットコム証券、QUICK、GMOクリック証券、証券ジャパン、スマートプラス、セコム、セコムトラストシステムズ、だいこう証券ビジネス、大和証券、東海東京フィナンシャル・ホールディングス、東洋証券、内藤証券、日本電気、野村ホールディングス、野村総合研究所、日立製作所、ポラリファイ、松井証券、マネックス証券、丸三証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、むさし証券、楽天証券、ワイジェイFX、One Tap BUY。事務局はSBI Ripple Asiaに置かれる。

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