人生80年時代、世間ではさまざまなダイエット法や健康法が取りざたされている。最近話題となっているのは「高齢になっても肉を積極的に食べる人のほうが長生きする」という説だ。「健康=粗食」と信じ、脂肪やカロリーのもとになる肉類は避けていた人もいるだろう。この記事では、長寿と肉食の関係について見ていきたい。

高齢になっても肉食を好む人が増えている

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(写真=Endla/Shutterstock.com)

高齢者が好む食事といえば、穀類や野菜、魚などを中心としたいわゆる「日本食」のイメージが強いかもしれない。しかし、戦後日本が豊かになる中で育ってきた団塊の世代が高齢化する中で、老年になっても食べ慣れた肉料理を好む人が増えているという。厚生労働省による2015年の調査によれば、60代の日本人における1人1日の肉類摂取量(平均値)は81.7グラムで、10年前の57グラムから増加している。

そもそも、「粗食=長寿」のイメージづくりに貢献したのは、伝統食と民間食養法の研究を行っている幕内秀夫氏だとされている。同氏の著書である『粗食のすすめ』(東洋経済新報社刊)はベストセラーになり、「粗食ブーム」を盛り上げた。同氏は、450年前の文献をもとに、雑穀、芋類を主食にして、野菜や山菜中心の「粗食」をすれば長生きすると説く。

一方、最近の研究では、肉類などのタンパク質を多くとることで血管を強くし、脳卒中などを予防して長生きできるといわれているという。実際、戦後に日本人の寿命が延びたのも、食生活が豊かになって肉類や乳製品などから動物性タンパク質を多くとるようになったためだという説もある。

「粗食」と対極の長寿大国・香港

世界で長寿国といえば日本のイメージが強いかもしれないが、実は世界一の長寿国の座は2011年以降、香港に取って代わられている。しかも、体調を崩したり自宅に閉じこもったりしがちな日本の高齢者に比べて、香港の高齢者たちは外出を好み、常にアクティブなのが特徴だ。

香港の高齢者の健康の秘訣は、中医学や漢方、早朝の公園での太極拳といったステレオタイプなものも多い。また、大家族主義で子どもや孫世代と過ごす機会が多く、常に最新のテクノロジーや流行に触れられること、さらに食生活も寄与しているとされる。香港人は自宅であまり調理をしないので、朝食を飲茶レストランでとることも多い傾向だ。

シュウマイや蒸しギョウザ、肉まんといった飲茶メニューには豚肉やエビがよく使われるため、タンパク質が豊富だ。さらに、カテキンが豊富に含まれるお茶とともに食すことで、健康効果を高められる。豚肉や魚介類を多くとる香港人の食生活は、肉類を避ける「粗食」とは対極にあるといって良いだろう。

適量の肉類には老化防止効果も

もともと高齢になると食が細くなりがちで、栄養不足に陥っている人も多い傾向だ。栄養不足になると免疫が低下して細菌やウイルスへの抵抗力が落ちたり、血管がもろくなったりしやすい。血管がもろくなると老化が進行し、認知機能が低下しやすいこともわかっているという。こうした老化予防には、肉が効果的だというのだ。

厚生労働省によると、高齢者(50~60代、70代以上)が1日に摂取を推進されるタンパク質の推奨量は男性が60グラム、女性が50グラムとされている。薄切り肉なら3枚ほど(約60~70グラム)、魚なら1切れ(約80グラム)なので、食が細い高齢者でも無理なく食べられる量だ。ただ、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、健康に良いからといって食べ過ぎてしまうことにも注意したい。

バランスの良い食生活と運動で長寿を

米やパンなどの炭水化物をとらない「糖質制限ダイエット」も、最近では長期間にわたると身体に害をおよぼすことが判明したとして話題になっている。世の中には「これだけを食べれば健康になれる」というスーパーフードはなく、健康に長生きするためには、あらゆる食物をバランス良く適量に摂取することが大切なのだ。同時に、身体機能を維持するための定期的な運動なども取り入れ、アクティブで楽しい老後を目指すべきだろう。(提供:百計オンライン

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