生活支援システム「シビュラシステム」が物語の鍵を握るアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」。あらゆる情報がスコア化され、管理された社会が舞台の物語となっていますが、アニメに出てくるサービスが現実世界でも登場してきているのを知っていますか?
生活支援から犯罪者になる可能性までスコアでチェックする「シビュラシステム」
アニメ「サイコパス」は、テレビドラマ「踊る大捜査線」の演出で知られる本広克行監督と、「攻殻機動隊」を手がけたアニメ制作会社Production I.Gという、異色のタッグでも話題になった作品です。
この物語の世界では、「シビュラシステム」が導入されており、人の精神状態や性格などさまざまな情報をスコア化。最適な職業など、その人が一番幸せになれる生き方を選択し、判断してくれます。
その一方で、「シビュラシステム」では犯罪を犯す危険性を示す「犯罪係数」という数値も感知。一定数値を超えると更生の見込みなしとされ、この世から抹消される対象となってしまいます。
一見ディストピア(絶望郷)とも思える管理社会ですが、物語に登場する主人公たちはそれを完全否定しているわけではなく、システムとある意味共存しながら生きていきます。
スコア化の波が現実世界でも広がりつつある
アニメに登場する「シビュラシステム」ほどではありませんが、人々の情報をスコア化するといった流れは現実世界でも広がりつつあります。
例えば中国。監視カメラと犯罪容疑者のデータベースを連結し、AI(人口知能)が追跡をする犯罪者追跡システム「天網」が導入され物議を醸しました。
監視カメラ自体は日本でもさまざまなところに設置されていますが、その性能や機能も進化してきています。ロシアの政府研究機関が母体のELSYSは、撮影した人物の精神状態を判断し、不審者を見つけ出す「DEFENDER-X」といったシステムを開発しています。こちらはまさに、「シビュラシステム」で管理されている「犯罪係数」を再現するものと言えそうです。
また、身近なところでは、スマートフォンのカメラに指を当てることでストレスを計測してくれるアプリ「ストレススキャン」も登場。アプリの運営会社によると150万以上のダウンロードを記録しています。
スコア化が進んだ中国の支付宝(アリペイ)
先ほど中国の例を挙げましたが、同国のモバイル決済サービス支付宝(アリペイ)では、さらにスコア化を推し進めた「芝麻信用」という信用情報管理システムが採用されています。
日本でもスマートフォンの分割払いなどを利用する際、信用情報機関に登録されているクレジットヒストリー(返済履歴)などが参照されますが、この「芝麻信用」では、それに加えてその人のステータスを示す「身分特質」や過去の支払状況を示す「履約能力」、「人脈関係」、ショッピングの傾向を示す「行為偏好」といった5つの項目を、350から950までの点数でスコア化。それに合わせて5つの属性に分類しています。
このスコアが600点以上であれば、各所のレンタル拠点で雨傘やモバイルバッテリーを無料でレンタルできるなど、さまざまな優遇策を利用できるようになります。逆に、支払いの滞納を繰り返していると、賃貸契約が結べなくなる事態に陥ることもあります。
スコア化された情報が個人のステータスになる日も近い?
「芝麻信用」では5つの項目で信用情報をスコア化していますが、個人情報に関わる部分も多い項目を、どうやって収集しているのでしょうか? 実は、学歴などいくつかの項目は任意で登録できるようになっているのですが、情報が多い方がスコアが高くなることから、学歴や持っている不動産などの情報はユーザーがすすんで個人情報を提供しているそうです。
日本をはじめとする世界でも職業や収入、クレジットヒストリーに加えて、交友関係などあらゆる情報がスコア化されていき、それが個人のステータスを示すひとつの指標となっていく日も遠くなさそうです。(提供:J.Score Style)
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