日経平均が2万円を超え、株式市場は活況が続いているが、ITショックやリーマンショックのような経済的に大きなインパクトによって大きく相場が下落する局面がまたいつ訪れるかはわからない。世界を見渡せば、地政学的リスクの高まりが懸念される。

一般的には地政学的リスクは株安や円高を引き起こす要因だといわれているが、資産運用を行う上で、ある程度のリスクヘッジは考慮すべき問題のひとつだろう。こうしたリスクに対する資産運用として、金投資があげられる。

金はこれまで幾度となく国際緊張が高まり、他商品が下落する中でも上昇傾向にあり、有事の時の金などといわれることがある。このような経緯があることから、金投資は検討したい投資手法の一つといえるが、そんな金を身近に買える方法があるのをご存じだろうか。

金はどこで購入できるのか

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(写真=PIXTA)

金を直接購入しようと思うなら、金地金や金貨を購入すればよい。よくあるイメージでは、金の延べ棒500グラムや1キロなど、ある程度まとまった量を購入して保管するといったものだろう。ある程度まとまった量、金額でないと購入できないと思うかもしれないが、実は、金は1グラムから購入できるケースもある。しかも、最近では自販機で買えるお店もあるようだ。また、金地金以外にも金貨を保有するという方法もある。日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、海外では政府が発行する金貨も存在する。傷がつけば価値が下がるため、保管方法には注意が必要だが、飾っておくだけでもオシャレな金貨も存在すると言われている。

まだまだある少額から始められる金投資手法とは

上述したとおり、金を直接購入するのであれば金地金や金貨を購入すればよいということになるが、少額で投資をする方法は他にもある。それが、純金積立と金ETFだ。

純金積立とは、毎月一定額ずつ金を購入する方法だ。毎月数千円単位でも購入ができるが、ドルコスト平均法を使い、平均価格を平準化して効率よく金を購入できるのが特徴だ。積み立てた金は、もちろん売却することも可能だが、場合によっては購入した金を金貨や宝飾品と交換することもできる。

純金積立では、金を購入する際に購入手数料がかかる。加えて、消費税も徴収されるが、金の売却時には消費税を上乗せして売却することも可能だ。そのため、金価格が下落していないことが前提ではあるものの、購入時よりも消費税率が上昇していれば、その分の恩恵を受けることができる。純金積立は年会費がかかる場合があるので、あらかじめ取扱会社に確認をしておくのがよいだろう。

もう一つの金投資方法は金ETFだ。金ETFとは金価格に連動した上場投資信託が該当する。つまり、上場株式と同じようにその時々の価格でリアルタイムに取引を行うことができるのが特徴だ。なお、金ETFには投資家の購入額に応じて金地金を購入・保管し、裏付けを持つものと、金の現物の裏付けがないものがある。また、一部の銘柄では、購入したETFと金の現物を交換することができる。

金ETFのメリットは、購入時手数料が株式等と同様の手数料体系であることだ。投資信託等よりも手数料が割安になる場合が多い。また、実物の金を持つわけではないので、保有コストがかからない点もポイントだ。さらに、金ETFは信用取引に活用することもできるので、金価格が下落する局面では売建てをすることで利益を受けることもできるかもしれない。なお、金ETFでは金の現物が裏付けとしてある場合には、運用会社や金保管会社 (カストディアン) が破綻したとしても保護される仕組みがあるが、裏付けのない場合には保護されない可能性があることには注意が必要だ。

また、金のETFをパッケージ化した投資信託を通じても金投資を始めることができる。金ETFと同様に株式市場の取引時間にあわせてリアルタイムで売買ができるわけではないが、投資先が分散されているため、リスクを抑えた投資だといえるだろう。

どの運用方法を選ぶかまずは見定めを

以上、さまざまな少額から可能な金投資を確認してきた。手数料などのコスト面を重視するのか、現物入手を重視するのか。すぐ買いたいのか、じっくり検討してから買うのか。売買して利益を得るためのものなのか、いざという時の備えとして持つのか。こうした観点からどの投資方法がご自身に合っているか検討してみよう。

古来よりその輝きで人々を魅了してきた金。以前とは異なり手軽に投資ができるようになった。まずは少額からその一歩を始めてみてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行


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