「あなたは○○な人ですね」と、他者から決め付けられた言葉に影響されて、実際にそのような人(行動)になってしまう「ラベリング効果」。これを上手に利用し、ビジネスを円滑にするにはどうしたらいいのでしょうか。

ラベリング効果って何?

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(画像=wavebreakmedia/Shutterstock.com)

ラベリング効果とは、人や特定の事象に対して、たいした意味や根拠もなく判断し、ラベル(レッテル)を張ったことで相手を動かす、または事象に影響を及ぼす心理効果のことです。 ある人による「逸脱行動」はその人の性格や特性によるものではなく、周囲からのラベリングによって生み出されるという「ラベリング理論」(社会学者H・S・ベッカーが提唱)の存在によって、貼られたレッテルをもとにその人のアイデンティティや行動パターンが形成される事象を起こすテクニックを「ラベリング効果」と呼ぶようになりました。

無意識に行われているラベリング効果も

ラベリング効果は、日常の中で広く無意識に行われています。例えば、子どもに対して親や周囲の大人が「男の子なんだからそんなことで泣いてはダメ」「女の子なんだから乱暴な言葉遣いはやめなさい」など、性別を理由に行動や言動の制限や方向付けなどが行われ、それによって「泣かない男の子」「言葉遣いが丁寧な女の子」などの結果につながります。これらはラベリング効果の一種であり、多かれ少なかれ、多くの人が体験のある例ではないでしょうか。

他にも多くの人が体験している例として血液型があります。心理学の研究では、血液型でその人の性格や行動計画に顕著な差は見られず、血液型と性格の相関は実証されていません。しかし、血液型診断は広く日本文化の中に浸透しています。そのため、「B型って○○だよね」「○○だと思ったらやっぱりA型なんだ」など周囲から血液型で性格を決めつけられ、意識してしまうことでその性格に寄ってしまうことがあります。

ラベリング効果はこうやってビジネスで活用する

無意識に行われているラベリング効果ですが、意識的に活用することでビジネスを円滑にすることも可能です。

ビジネスでは人間関係が大切ですが、職場では必ずしも気が合う人ばかりではありません。生産性を上げたり、新規ビジネスに挑戦するにはチーム力が必要であり、特に管理者であれば、部下への指示に気を使うことも多いことでしょう。

例えば、事務やサポート担当の部下に「気配りができる人だね」と何度か伝えていると、言われた部下はそれが自分の特性だと信じるようになり、チームが仕事をしやすいよう今まで以上に気を配ってくれるようになります。

また、いつも不機嫌そうな顔をしている人には、「笑った顔が魅力的」「笑顔が爽やか」「笑顔が可愛い」などの褒め言葉を伝え続けると、自然と笑顔になる機会が増えていき、周囲への印象も変わっていきます。

このように相手の良いところ、またはそうあってほしい部分を伝え続けることで、徐々にその効果が現れて円滑な人間関係を築くことにつながります。

ラベリング効果の注意点は?

人の認識は曖昧であり、暗示にかかりやすいという特性を利用して、こちらの望む方向に相手が沿って動くように仕向けることができます。

ラベリング効果は使い方次第でプラスにもマイナスにもなります。例えば、「シャイなんだね」「恥ずかしがり屋なんだね」と言われ続けると、人前で話すことがどんどん苦手になってくるなど、マイナス方向に働いてしまうことも多々あるため、ラベリングする内容には注意が必要です。また、効果は相手の性格や価値観にも影響されます。相手の特性をよく吟味してから行うことが大切です。

不都合なラベリングは自分で剥がそう

また、ラベリング効果は自分自身に行うこともできます。先にも述べた通り、日常の中でラベリング効果は無意識に行われており、特にビジネスの場では成果を求められるため、厳しい言葉が飛び交います。そのため、自分が弱点だと思っている部分はもしかしたら他者から言われた何気ない一言を大きく捉えすぎて、自分で自分にラベリングしてしまった可能性もあるのです。

「なんで自分はこうなんだ」「もっとこういう自分になりたい」と悩んだりするよりも、不都合なラベリングは意識して剥がしてしまう方が効率的です。

不都合な決め付けは気にしない、あるいは、自分が伸ばしたい長所や、こうありたいと思う自分を自分自身で再ラベリングすることで、自分が望む態度や行動を引き出すことができます。

ラベリング効果を活用して、自己実現に向けて一歩踏み出そう!

ラベリング効果は研究でも実証されている効果であり、気がつかないうちに日常で使用しているテクニックです。そのため使い方次第では自分への成長促進にも、周囲への成長機会の創出にもなり、ビジネスを円滑に進めることもできるかもしれません。プライベートもビジネスにもうまく取り入れて、よりよい自分になるために、また自己実現に向けて一歩踏み出してみませんか。(提供:J.Score Style

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