決済や融資、資産運用、仮想通貨などのフィンテックや、AI、ブロックチェーン、量子コンピューティングといった先端技術、不動産テックなどの分野での起業やビジネス創出をしたいスタートアップを支援する三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の第3期デジタルアクセラレータの中間発表会となるインターナルデモデーが5月24日、都内で開かれた。

今期の参加企業である6社の代表が登壇、ここまでの成果と今後の展望などについてプレゼンを実施した。プログラムでは7月27日に開かれる最終発表会(デモデー)でグランプリや準グランプリ企業が選ばれる。(取材・濱田 優ZUU online編集長/FinTech online)

プレゼン内容への投票首位はノーニューフォークスタジオ

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360度囲まれた中で行われたプレゼンの様子(写真=FinTech online編集部)

今期参加しているのは株式会社AndGo、MDR株式会社、株式会社クレジットエンジン、株式会社ノーニューフォークスタジオ、株式会社FACTBASE、RESTAR株式会社の6社。この日は各社の代表が登壇して数分ずつプレゼン、質疑に応答した。

オートチャージ型仮想通貨ウォレットの開発などに取り組むAndGoは原利英氏が登壇。量子コンピュータ向けのアプリ・ミドルウェア・ハードを開発しているMDRの湊雄一郎氏は「ミドルウェアは現状Google製ばかり。日本のミドルウェアを当社製にしたい」と述べた。オンラインレンディングサービス「LENDY」の仕組みのプラットフォーム化をめざしているクレジットエンジンは内山誓一郎氏がプレゼンした。

靴にウェアラブルデバイスを組み込んだスマートフットウェアOrphe(オルフェ)を開発しているノーニューフォークスタジオの菊川裕也氏は、さまざまな利用シーンが考えられる中でも「ランニング」にフォーカスしていると発表。仮想通貨ビッグデータのAIでの収集、整理に取り組んでいるFACTBASEの高橋佑典氏は「仮想通貨のブルームバーグになる」と宣言した。不動産会社・金融機関向けの、事業用不動産の評価などを支援するSaaS開発に従事しているRESTARからは右納響氏が登壇した。

会場にはMUFGのグループ企業や支援者ら約100人が集まり、プレゼン内容について投票を実施。1~3位にはノーニューフォークスタジオ、クレジットエンジン、AndGoの各社が選ばれた(この投票結果はプログラムの結果には影響しないという)。

過去の参加企業は順調に事業化を実現

このプログラムは今年で3回目。FinTechアクセラレータとして行われた初回のグランプリ、準グランプリはそれぞれxenodata lab.とAlpacaDB,Inc.、昨年の第2期はクラウドリアルティ、AnyPayとNayutaが選ばれている。

アクセラレータ・プログラムはおよそ4ヵ月にわたって行われ、MUFGのグループ企業や業界の識者らがメンターとして参加。参加企業はメンタリングを受けたり、グループ各社からの聞き取りなどを経たりして、事業を形にしていく。

グランプリや準グランプリに選ばれた企業はもとより、参加企業各社はグループの各企業とコラボして事業化を実現している。

【関連リンク】MUFG Digital アクセラレータ
https://innovation.mufg.jp/accelerator/

ヤフーの伊藤氏がプレゼンのコツを講演

この日はメンターでもあり、ヤフー株式会社のコーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんも登壇。プレゼンテーションの極意についての講演で、「AIDMAを意識したプレゼンで、聞き手を動かそう」などと述べた。また同日のスタートアップ各社のプレゼンについても丁寧に講評した。

また7月27日(金)午後1時から東京国際フォーラムで行われる最終発表会でのプレゼン順も決まり、クレジットエンジン、ノーニューフォークスタジオ、MDR、RESTAR、FACTBASE、AndGoの順となった。当日は7分のピッチ、3分のQ&Aを経て投票が行われる予定だ。

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