(本記事は、水瀬ケンイチ氏の著書『お金は寝かせて増やしなさい』=フォレスト出版、2017年12月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『お金は寝かせて増やしなさい』シリーズ】
(1)ウォール街の大半のプロを打ち負かす「インデックス投資」3つのポイント
(2)7割のアクティブファンドがインデックスに勝てない「皮肉な現実」
(3)貯めてから投資ではなく「貯めながら投資」で万一にも備えよう
(4)株なら「70万倍」、キャッシュなら「20分の1」──株式がもつ仕組みの力
(5)今後も起こる大暴落 相場が好調なときこそ確認したいコトとは?

お金は寝かせて増やしなさい
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

投資は孤独な道のり──なにを信じればいいの?

お金は寝かせて増やしなさい
(画像=g-stockstudio/shutterstock.com)

インデックス投資は簡単で手間がかからない投資法ですが、今後何十年も継続するためには、なぜこの方法でリターンが得られるのかという本質的な部分を十分に理解して、腹に落とし込んでおくことがとても重要だと考えます。

「型」だけをなぞって始めることは簡単ですが、投資は自己責任であり、孤独な道のりです。道中、誰も道案内をしてくれません。手取り足取りアドバイスしてくれません。

インデックス投資の本質部分が腹に落ちていないと、人は少しの損失であわてふためき、怖くなってすぐに売却してしまい、結局はインデックス投資を継続できなくなってしまうことを、リーマン・ショックのときに嫌というほど実感しました。

それでは、インデックス投資のよりどころとはいったいなんでしょうか。

ここで質問です。

米国で1801年に株に投資した1ドルは、200年後に実際いくらになったと思いますか?

「10倍?100倍?」

いいえ、約700000倍です。

70倍ではなく、70万倍です。

この200年の間には、最悪の世界戦争(第一次世界大戦・第二次世界大戦)や、史上最大規模の世界的株価大暴落であるブラックマンデーなどが起こっています。日々、新聞やニュースで取り沙汰されている諸問題とは比較にならない大嵐を乗り越えて、この結果です。

株式という「仕組み」が持っている力を思い知らされます。

債券についても、株式ほどではないにしても、長期国債で1778倍、短期国債で281倍となかなかの上昇っぷりです。

一方で、キャッシュ(米ドル)は、200年間で20分の1に減ってしまいました。主にインフレのせいですが、株式のリスクを恐れるあまり、キャッシュを長期で貯めこんでいるとどうなるのか、考えさせられます。

天邪鬼な方から、「どうせ米国だけの成功事例だろ?」という疑問が聞こえてきそうです。

では、各国の株式と国債の利回りはどうだったのでしょうか。米国だけでなく、日本株、ドイツ株、英国株いずれも長期では右肩上がりで推移してきました。

ただし、ドイツと日本の国債だけはひどく落ち込みました。

これは、ドイツは両世界大戦の敗戦国、日本は第二次世界大戦の敗戦国で、国債が紙切れ同然になってしまったことが原因だと思われます。戦争に負けるような事態になると、国債は右肩上がりを続けられません。

それでも、株式はドイツも日本も右肩上がりです。やはり、株式という「仕組み」が持っている力を思い知らされます。

過去の出来事がそのまま未来に続くわけではありませんが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)という言葉のとおり、長期的な歴史を知っておくことは大事なことだと思います。

水瀬ケンイチ(みなせ・けんいち)
1973年、東京都生まれ。都内IT企業会社員にして下町の個人投資家。2005年より投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を執筆、現在ではインデックス投資家のバイブル的ブログに。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書・山崎元氏との共著)。