(本記事は、水瀬ケンイチ氏の著書『お金は寝かせて増やしなさい』=フォレスト出版、2017年12月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『お金は寝かせて増やしなさい』シリーズ】
(1)ウォール街の大半のプロを打ち負かす「インデックス投資」3つのポイント
(2)7割のアクティブファンドがインデックスに勝てない「皮肉な現実」
(3)貯めてから投資ではなく「貯めながら投資」で万一にも備えよう
(4)株なら「70万倍」、キャッシュなら「20分の1」──株式がもつ仕組みの力
(5)今後も起こる大暴落 相場が好調なときこそ確認したいコトとは?

お金は寝かせて増やしなさい
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

インデックス投資の長期実践者が少ないのはなぜ?

インデックス投資で儲けた人の話を、あまり聞いたことがないと思いませんか。

不動産投資で大儲けした人の話などは、テレビなどで見聞きしたことがあるのに。

それもそのはず。

日本にはインデックス投資の長期実践者がまだほとんどいません。

なぜなら、日本でマトモなインデックス投資ができるようになってから、まだ10年も経っていないからです。

15年前に日本でインデックス投資をしようとすると、「ロクな商品はない」などと、とても継続できる状態ではありませんでした。

私は『ウォール街のランダム・ウォーカー』という本に出会い、米国の主婦が当たり前のようにやっているインデックス投資を、四苦八苦しながらも、なんとかかんとか日本で継続してきました。

しかし、実際の投資は、教科書どおりにはいきません。

現在、私が住んでいるのは東京都大田区。

梅屋敷という駅の近くで、小さな町工場が多い下町です。向かいのアパートでは、おばあちゃんが干した布団を叩いています。近所の公園では、素朴な子どもたちがワーワー言って元気に遊んでいます。

そんな下町の梅屋敷商店街から、ほとんど手間をかけずに、遠く海の向こうの米国から、ヨーロッパ、アジアまで世界中に投資ができます。

しかも、その投資成績は、米国の金融の中心であるウォール街の金融のプロたちの大半を打ち負かす、ほとんど手間をかけずに、利益だけで高級車が何台も買える程度に資産が増えていると言ったら、あなたは驚かれますか。

私がインデックス投資をおすすめする理由

お金は寝かせて増やしなさい
(画像=Rawpixel.com/shutterstock.com)

インデックス投資とはどんな投資法でしょうか。

ここでは、『ウォール街のランダム・ウォーカー』で推奨されている「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること」をインデックス投資と呼ぶことにします。

「世界中に分散ってなに?」
「インデックスファンドってなに?」
「積み立て投資ってなに?」

いろいろな疑問が頭をよぎるかもしれませんが、ここではまず、私がインデックス投資をおすすめする理由をお話しします。

私がインデックス投資をおすすめする理由は次の3つです。

(1)手間がかからないから
(2)実は世界標準のスタンダードな投資法だから
(3)お金の基礎知識として日常生活に役に立つから

おすすめする理由(1)手間がかからないから

世の中にはたくさんの投資法があります。基本的には、投資対象銘柄を選択し、タイミングをみて売買することで利益を得ようとするものです。

しかし、インデックス投資は、銘柄選択もしなければ、投資タイミングもはかりません。

基本的には、世界中の株や債券に分散したインデックスファンドを、毎月定期的に同じ金額を積み立てて、あとは寝かせておくだけ。

「手間がかからない」という一点において、おそらくインデックス投資の右に出るものはないと言っても過言ではありません。

おすすめする理由(2)実は世界標準のスタンダードな投資法だから

私たちが「インデックス投資」という言葉を知らなかったとしても、実はそれは個人投資家の間だけの話です。

金融のプロである世界中の年金基金や信託銀行などの機関投資家の間では、スタンダードな投資法として積極的に採用されているのです。

たとえば、公的年金を運用する日本最大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資金145兆円のうち、77%を占める112兆円がインデックス運用されています(2017年3月末時点・出所は年金積立金管理運用独立行政法人サイト)。

おすすめする理由(3)お金の基礎知識として日常生活に役に立つから

最近では、自分で運用商品を選ぶ形の確定拠出年金(DC)を採用する企業が増えています。

会社に入ると、まだ右も左もわからないなかでいきなり「確定拠出年金の運用商品を選べ」と言われます。もちろん、導入研修などが行われてはいますが、今まで預貯金しかしたことがなかった人たちが、なんの金融知識もなく、確定拠出年金の研修を受けると、なにがなんだかわからず面食らってしまいます。

ところが、この確定拠出年金の研修テキストが、ほとんどそのままインデックス投資の教科書そのものなのです。理由(2)でも述べたように、年金運用でもインデックス投資はスタンダードな投資法なので、確定拠出年金運用の際にも、同じように投資すればよいということになります。

また、近年増えている金融詐欺についても、インデックス投資の標準的なリターン水準を知っていれば、詐欺師がうたっている「10年で10倍」などという高リターンがインチキレベルであることがすぐにわかるはずです。

このように、インデックス投資は、お金の基礎知識のひとつとして、日常生活にとても役に立ちます。

以上の3点が、私がインデックス投資をおすすめする理由です。

水瀬ケンイチ(みなせ・けんいち)
1973年、東京都生まれ。都内IT企業会社員にして下町の個人投資家。2005年より投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を執筆、現在ではインデックス投資家のバイブル的ブログに。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書・山崎元氏との共著)。