昨日の海外時間には、イタリア国債が急落してユーロ売りが強まる中、リスク回避の動きで円が買われました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

イタリアでは、大統領から首相に指名された元IMF財務局長のカルロ・コッタレッリ氏は昨日の大統領との会談で閣僚名簿を提出せず、暫定内閣の組閣すら難航している模様です。早期の再選挙の可能性が高まっていて、報道によれば7月29日にも選挙が行われると見られています。そんな中イタリア国債は昨日暴落し、一時6%近く下落しました。その後やや買い戻されたものの、市場の脆弱性が露わになった形で、リスク回避の動きでユーロ売りと円買いが強まっています。イタリアでは再選挙になった場合でも「五つ星運動」と「同盟」が議席を伸ばす可能性が高いと見られていてしばらくユーロは売り圧力にさらされると見られます。

107円台を目指してドル売りポジション

ドル円相場は、過去2ヶ月あまり続いていた取引レンジを下放れました。一段安の可能性を見込んで108.60円でドル売りのポジションを作りました。損切りラインを109円に置いて107円台前半での利食いを目指します。

海外時間からの流れ

欧州時間、イタリアの政治的混乱が嫌気されてイタリア国債利回りが急騰する中、独国債利回りが急低下したことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1510付近まで、ユーロ円は125.00円台まで急落し、ドル円も108.40円台まで下落しました。その後独国債利回りが反発する動きとなると、ユーロの買戻しが優勢となって、ユーロドルは1.1570付近まで、ユーロ円は125.90円台まで、ドル円も109円付近まで反発しました。

NY時間序盤も欧州時間の流れを引き継いでユーロドルは1.1590付近まで、ユーロ円は126.40台まで、ドル円も109.10円付近まで上昇しました。

NY時間午後にかけて、NYダウが急落すると、リスク回避の動きで米長期金利が低下する中円とドルが買われ、ドル円は108.10円台まで、ユーロ円は124.60円台まで、ユーロドルは1.1520付近まで下落しました。その後Nyダウと米長期金利が下げ止まるとドル円は108.70円台まで、ユーロ円は125.50円台まで、ユーロドルも1.1540台まで反発しました。

今日の予定

今日の海外時間には加中銀(BOC)政策金利発表、独・4月小売売上高指数、独・5月雇用統計、ユーロ圏・5月業況判断指数、独・5月消費者物価指数、米・5月ADP民間雇用者数、米・第1四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(改定値)の発表があるほか、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)の公表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp