2017年の米住宅購入傾向を調査した結果、独身女性は独身男性の2倍以上、住宅を購入する確率が高いことが分かった。

独身女性は住宅購入を「投資」とみなしており、特に高齢層の独身女性は老後の安定や家族・子どもとの絆を求めて家を買う、あるいは買い替えることが多いという。その結果、独身女性は高齢になるほど購入率が高くなっている。平均的な購入価格も女性の方が1万ドル高い。

独身女性の住宅購入ピークは72歳

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(画像= Xanya69/Shutterstock.com)

調査は全米リアルター協会(NAR)が、2016年7月~2017年6月の間に住宅を購入した7866人の米成人を対象に実施したもの。

住宅を購入した割合が最も高いのは夫婦で、全体の65%だった。独身女性は18%、独身男性は7%という結果だ。

特にベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)で住宅を購入している女性が増えており、72歳以上の層が最も住宅に投資している。 独身女性の住宅購入率は年齢が上がるほど高くなるのに対し、独身男性の住宅購入率は年齢とともに低くなる。

NAR人口統計学的・行動洞察部門のディレクター、ジェシカ・ラウズ氏はこうした傾向を、独身女性は住宅購入を投資ととらえるためだと分析している(ワシントンポスト2018年5月8日付記事)。 離婚や死別で単身になり、経済的に余裕のある女性が、経済的・精神的な安定性を求めて、住宅に投資するパターンが多いという。

若い独身女性が住宅購入に走る理由は「家賃の高騰」

賃貸家賃の高騰にともない、「実行可能な代案」として住宅購入を検討する若い独身女性も増えている。米建設情報調査会社ビルダーズ・デジタル・エクスペリエンスの調査では、アンケートに協力した独身女性の23%が、家賃の高騰を住宅購入の理由に挙げた。

独身女性が購入した住宅価格の平均は18.5万ドルと、独身男性の平均より1万ドル多い。また18歳以下の子どもと一緒に暮らしている割合が独身男性よりも高い。

1980年と2015年の女性の年間所得を物価上昇率の影響を除いて比較すると、中央値が1万ドル以上上がっていることが、米労働省の調査から 明らかになっている。しかし男女の所得格差は依然として存在する事実を考慮すると、一般的に所得が低いとされている女性の方が住宅を購入する割合が高いのは意外である。

NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は、「独身女性のマイホームへの憧れや家族や友人の近くで暮らすという希望は、今に始まったことではない」と指摘している。過去数年の堅調な雇用の伸びや与信状況の緩和にともない、女性がマイホームを購入しやすくなったことで、マイホーム購入の夢を実現する女性が増えているのだろう(CNBC2016年10月31日付記事)。

ほぼ9割が中古住宅購入、初めての住宅購入者は減少

NARの調査によると、男女を合わせた総体的な住宅購入者の平均年齢は45歳。2016年と比較して、住宅購入者の世帯所得の中央値は8.8万ドルと上昇傾向にあるが、住宅購入価格の中央値も23.5万ドルと上がっている。初めての住宅購入者は34%となり、2016年の調査から1ポイント減った。

85%が中古住宅を購入しており、新築を選んだのはわずか15%。30%が「マイホームを持つのが夢だった」と答えているが、一生の住処と考えている購入者は18%しかいない。住み替えを検討する期間の中央値は15年。13%が家族との同居(高齢者の両親の世話、成人した子どもが大学などから家に戻ってくるなど)を視野に入れ、多世代住宅を購入している。

88%が住宅ローンを借りて家を購入しており、平均借入額は住宅価格の90%である。借り入れ額の割合は初めての住宅購入者は95%と、買い替えとして借入れする購入者より9ポイント高い。

59%は貯蓄で頭金を支払っており、43%が半年以内に頭金を貯めている。13%が頭金の貯蓄を「住宅購入プロセスで最も困難なハードルだった」と答えた。そのうち49%は「学資ローンの返済」、42%は「クレカの返済」、37%は「個人ローンの返済」が原因で、頭金を貯めるのが難しかったとしている。

住宅価格高騰、売り手が得た利益は4.8万ドル

一方、売り手の平均年齢は55歳、世帯所得の中央値は10万ドル。10年間住んでから売りに出すというのが典型的なパターンだ。売却理由は16%が「小さ過ぎる」、14%が「もっと家族や友人の近くに引っ越したい」、11%が「仕事関係」。

市場に出してから家が売れるまでの期間は前年より1週間短くなっており、中央値は3週間。売却によって得た利益の中央値は4.8万ドルである。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)