シンカー:4月の輸出は堅調で、賃金上昇に支えれた消費と設備投資も持ち直し、在庫調整がしっかり進捗するなか、経済産業省の予測指数を見ても、1-3月期の生産の低迷は一時的である可能性が高まった。生産のリバウンドを考慮すれば、4-6月期の実質GDPも前期比年率+2%台へ、1-3月期の同-0.6%からリバウンドし、1%程度である潜在成長率を上回るトレンドが継続していることが確認できるだろう。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

4月の鉱工業生産指数は前月比+0.3%をとなった。

誤差調整後の経済産業省予測指数の同+1.4%を下回る結果だ。

1-3月期は前期比-1.4%と、8四半期ぶりの低下となり、天候不順の影響もあり、増勢が一時的に止まった形となっていた。

これまでIT関連財を中心とする生産・在庫循環のグローバルな強い好転に支えられていたが、さすがに一服感が出てきていた。

2・3月の実質輸出は同-1.0%・-1.9%と二ヶ月連続で減少し、IT関連財の在庫調整の動きがうかがえる。

また、1-3月期に積みあがった在庫の調整がIT関連財を中心に新年度後も続き、生産活動の回復が若干遅れたようだ。

一方、IoT・AI・ロボティクス・ビッグデータなどの産業変化もあり、データセンターや車載向けの部品などの需要は増加を続けているとみられる。

グローバルに堅調な景気回復を背景に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせている。

そして、競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられ、生産拠点の国内回帰の動きもある。

4月の資本財(除く輸送機械)出荷は前月比+2.7%と3月の同+3.0%に続き、強かった。

4月の実質輸出は同+3.0%と強く、停滞は一時的なものであったと考えられる。

国内では、1-3月期の大雪を含む天候不順による消費財を中心とした在庫の増加と物流の滞りによる生産の停滞からの復調がみられる。

企業は、4月の新年度から、新商品・サービスなどにより攻勢を強めてきていると考えられる。

人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。

そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。

3月以降の値下げを含めた企業の強い販促により、4月の消費活動は回復したとみられる。

4月の耐久消費財出荷は前月比+7.3%と強かった。

4月は出荷が大きく増加することで、3月に同+3.0%の新商品の作りこみなどで増加した在庫は4月には同-5.8%減少し、意図せざる在庫ではなかったことが確認できた。

5月の経済産業省の予測指数は同-1.6%から+0.3%へ上方修正され、6月は同-0.8%となった。

5月が誤差修正後で同-1.3%(在庫調整の進捗を考慮すれば、結果はこれを上回ることも考えられる)、6月が予測指数通りと仮定すると、4-6月期の鉱工業生産指数は前期比+0.7%と、1-3月期の低下が一時的で復調することが予想できる。

好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりしているとみてよいだろう。

生産のリバウンドを考慮すれば、4-6月期の実質GDPも前期比年率2%台へ、1-3月期の同-0.6%からリバウンドし、1%程度である潜在成長率を上回るトレンドが継続していることが確認できるだろう。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司