昨日の海外時間に、イタリア政局で新たな経財相候補が選ばれたことで「五つ星運動」と「同盟」による政権が樹立する見通しとなったことからリスク回避が後退して、ユーロが反発し、円が売り戻されています。
主な動きと今後の見通し
ここ数日市場を揺さぶっていたイタリアの組閣問題ですが、「五つ星運動」と「同盟」が経済財務相に経済学者のジョバンニ・トリア氏を新たに当て、ユーロ懐疑派のパオロ・サボナ氏は欧州問題担当相とすることで合意したと報じられ、政治経験のない法学教授のジュゼッペ・コンテ氏を首相、両党党首が副首相となってポピュリスト政権が樹立する見通しとなりました。イタリアで早期の再選挙の可能性が遠のいたこと、反ユーロの財務相が誕生しなかったことからイタリアの政治問題は当面落ち着くと見られますが、今後財政政策などが判明していく中で再びユーロ売りの材料となる可能性は残っています。一方ドル円も全般的なリスク回避の動きが後退したことで円の売り戻しが優勢となっています。
米雇用統計を控えて様子見
一昨日108.90円で作ったドル売りポジションですが、昨日のNY時間に東京時間の安値を割り込んでも走らなかったので108.60円で買い戻しました。しばらくは108円台後半を中心としたレンジ取引を予想していますが、今晩に米雇用統計の発表を控えているので、発表までは様子見とします。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、イタリア国債の買戻しが続いたことからリスク回避が後退して、ユーロ買い円売りが優勢となって、ユーロドルは1.1720台まで、ユーロ円は127.70円付近まで、ドル円も109.00円付近まで上昇しました。しかしイタリア国債の買戻しが一巡するとユーロはやや売り戻され、ユーロドルは1.1670台まで、ユーロ円は127.00円台まで反落しました。
NY時間にはいると、米長期金利が低下し、各国株価が下落を始める中、トランプ政権がEU、カナダ、メキシコへの鉄鋼・アルミ関税の発動を発表したことからリスク回避の円買いが強まって、ドル円は108.40円付近まで、ユーロ円は126.30円台まで、ユーロドルも1.1640台まで下落しました。
NY時間午後にかけて、イタリアで「五つ星運動」と「同盟」が新たな閣僚人事で合意した、と報じられたことからユーロが急騰し、ユーロドルは1.1690台まで、ユーロ円は127.30円付近まで上昇しました。その後ユーロは一旦反落しましたが、NY時間引けにかけて堅調に推移しました。一方ドル円も堅調に推移して108.80円台まで反発しました。
東京時間にはいってからは日経平均が堅調に推移して円売りが優勢となっています。
今日の予定
今日の海外時間には米・5月雇用統計の発表があるほか、ユーロ圏・5月製造業PMI(確報値)、英・5月製造業PMI、米・5月ISM製造業景況指数、米・4月建設支出の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp