このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年5月31日(木)Market TalkのSummary

6月の日経平均の動きは?

年明け3連騰で始まって、1月下旬に高値を付け24,000円台、そこから2月、3月と急落、3月下旬の安値を底に、5月下旬には23,000円台を回復、と下げた分の6割ぐらいは取り戻した形だが、レポートに書いたように2か月サイクルで考えると今はいったん1サイクルが終わったところと思う。先週お話したように、7月下旬の決算発表までは揉み合いになると思うが、上振れシナリオとしては、6月20日の国会会期末の衆院解散、これは可能性としては少ないだろうが無くはない。あとは米朝首脳会談、これがどう転ぶか。もしかしたらサプライズがあるかもしれない。まずは業績面で支えになっているので、このままどこまでも下がるとは考えていない。200日・75日移動平均線が21,000円台後半にきているので、そのあたりが意識されて22,000円を割ったところでは買い支えとなっているのだろう。

昨日(30日)の下げは、イタリアの政治混迷からきたものだが、こういった話はよくある話で、イタリアについても今に始まった話ではない。あまり過度に騒ぎ立ててそれに付き合うのもばかばかしいことだ。強い銘柄の押し目待ちというスタンスでよいだろう。

6月は基本のシナリオは揉み合いで調整だが、ひょっとするとそこを離れてくるようなイベントやサプライズなどがあるかもしれない。そして離れたときは果敢についていきたいと思う。

今後、年内に欧州の政情不安や財政危機で株価が大きく下げる可能性は?

非常に難しいが、欧州の政情不安については、今のヨーロッパは政治空白なので政情不安は今後もあるだろう。財政危機についてだが、これは「財政危機」ではないだろう。ギリシャ危機のときから言われていたが、財政赤字のGDP対比がイタリアは130で、ギリシャに次いで多いが、それをいったら日本は世界最悪ということになる。EUの場合はこれを60、65にしましょうというルールがあって、このルールを守らずに政権をとろうとしている今のポピュリスト政党が野放図的にばらまき政策をやると、財政がさらに一段と悪化してしまう、ということでイタリア国債が売られているが、利回りが上がったといっても3.4%。世界一安全とされているアメリカ10年国債が4月に3%台に乗せたが(今は下回っているが)、イタリア国債にスプレッドがついて3%台になったからといって何もおかしくはないのではないか。以前の欧州債務危機のときと比べるとレベル感が全然違う。不安心理をあおって市場が動かされてしまうのは仕方のないことだが、しばらくすれば落ち着くだろう。

もみ合い相場にしては戻りが弱くありませんか?

確かに戻りは弱いが、23,000円をつけたという株価の水準感と、戻り相場の日柄での達成感がいったん出てしまっているので少し調整している状況だと思う。

半導体の見通しは?

これまではスマホが減速すると半導体はダメと言われていたが、ビッグデータやIoTなど大きな社会の変化の中で、センサーや電子部品なども含めてみていかなければいけないのではないか。半導体はまだまだ強気に見ていいと思う。

EUの「一般データ保護規制(GDPR)」の企業への影響はあるのでしょうか

影響はあるだろう。直接すぐに影響があるわけではないが、ボディーブローのように効いてくると思う。

利益確定のタイミングを教えて下さい

相場の天井で売ることはできないので、そろそろピークアウトしそうだと思ったら、少しずつ降りていく。ピンポイントで「ここで売る」という感じではない。現状、相場の戻りは弱いが、ここを過ぎて夏場には年初来高値をつけにいくと思うので、秋の自民党総裁選や米中間選挙に備えてそこでいったん半分ぐらい利確しておくのが良いのではないか。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

【関連リンク マネックス証券より】
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