昨日の海外時間には、発表された米雇用統計が強い結果だったことから、米長期金利が上昇して円売りが優勢となりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州の政治問題では、イタリアでは新政権が誕生し、スペインではラホイ首相の不信任案が可決され、ある意味では混乱が一旦収束しています。しかし両国とも新政権の基盤がぜい弱なものと見られることから、今後再び混乱することも予想されています。一方、一旦はトランプ大統領が中止と発表した米朝首脳会談が予定通り12日にシンガポールで行われることが正式に発表されたことで、東アジアでの地政学的リスクの後退が期待されています。短期的には後者の影響が大きくなると見られ、円売りが強まる可能性があります。

米雇用統計結果を見てドル買いポジション

米雇用統計が非常に良い結果だったことから、金曜日に109.60円でドル買い円売りのポジションを作りました。109.30円に損切りラインを設定して110円台半ばでの利食いを目指しています。

海外時間からの流れ

欧州時間、米雇用統計の発表を控えて、各国株価と米長期金利が上昇する中、円売りが優勢となって、ドル円は109.50円付近まで、ユーロ円は128.00円台まで上昇しました。この間ユーロドルは1.1710台まで上昇したあと1.1660台まで反落しています。この間トランプ大統領が「雇用統計の数字を楽しみにしている」と述べたこともドル買いを後押ししました。

NY時間にはいって、発表された米雇用統計が、失業率、非農業部門雇用者数、平均時給など主要項目全てで予想を上回る結果だったことから、米長期金利が一段と上昇し円売りが強まって、ドル円は109.70円台まで、ユーロ円は128.10円台まで上昇幅を拡大しました。この間ユーロドルは1.1640台まで下落したあと1.1680台まで反発しています。その後イタリア出身欧州議員が「ユーロを離脱した国を助けるEU ファンド立ち上げに関する投票実施へ」と述べたことからユーロが急落し、ユーロドルは1.1610台まで、ユーロ円は127.10円台まで下落しましたが、すぐに反発しユーロドルは1.1680付近まで、ユーロ円は127.80円台まで上昇しました。この間ドル円は109.40円台までじり安に推移しました。

NY時間午後にはいるとドル円は109.50円付近を中心とした非常に狭いレンジ内の取引となった一方、ユーロはやや売られ、ユーロドルは1.1650台まで、ユーロ円は127.50円台まで下落しました 。

土曜日に閉幕したG7財務相・中央銀行総裁会議の声明では、アメリカを除く6ヵ国が米国の鉄鋼・アルミ製品に対する関税措置に関して「全会一致の懸念や失望をトランプ大統領に伝えるよう求める」とされました。

東京時間にはいってからは日経平均が堅調に推移して円売りが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間には英・5月建設業PMI、英・5月製造業PMI、 米・4月耐久財受注(確報値)、米・4月製造業受注の発表と、ノボトニー・オーストリア中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp