近年は、クラウドファンディングやICOなど、インターネット上での資金調達が流行しています。ベンチャー企業は「シード期」から投資する企業が大半でしたが、最近は設立準備段階で資金調達する「プレシード投資」が増えています。プレシード投資の内容や資金調達している企業の実例を紹介し、投資する側、される側にとってのメリットを説明します。

プレシードの位置づけは?ベンチャー企業の成長段階

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(写真=charnsitr/Shutterstock.com)

ベンチャー企業が資金調達する手法は、一般的に成長段階のステージごとに、シードから始まり、アーリー、ミドル、レイターのように区分されます。その他、シード、スタートアップ、アーリー、グロース、レイターなどのように区分する方法もあります。

シード段階は、ビジネスモデルやコンセプトを固める会社の設立準備段階なので、それほど資金需要はありません。ただ、会社を設立するまでの最小限の人件費や法人の設立登記などの諸経費は不可欠。ビジネスモデルの実現の可能性を市場調査する費用なども大切です。「プレシード投資」は、この会社設立前の準備段階であるシードよりも早い段階の資金調達なのです。

プレシード投資のメリット

投資をする側の目線に立ってみましょう。ベンチャー企業に投資を行うベンチャーキャピタルやエンジェル投資家も、積極的にシード期の企業に投資を実行していると言われています。出資するだけではなく、高い成長力を持つ企業へと、価値を向上させるべく、自らが役員や顧問となり、経営に携わる人もいます。日本でも、コワーキングスペースを活用してアクセラレータプログラムに参加した起業家を後押しするのも投資側のトレンドのようです。
なぜ、投資する側は設立準備段階にあり、大成するかも分からないプレシード期の企業に投資するのでしょうか。投資する側にとってのメリットは下記が考えられます。
・イノベーションをもたらしうるスタートアップとの接点を増やす
・社外の人間と容易に交流できる
正社員文化がまだ強く根付いている日本では、流動的に雇用を調整することができません。そのため、アイデアさえ良ければ会社設立の段階からサポートする価値はあると踏んでいるのでしょう。

また、ベンチャーキャピタルにとってはシード投資のマーケットが拡大し、競争が激化していることを受け、新しい投資先を探し求めた結果、プレシード投資に行き着いたのです。

プレシード投資に参入する業者は広がりつつある

アクセラレータプログラムは、ベンチャーキャピタルだけではなく金融機関や事業会社でも進められています。商社、鉄道会社、通信会社とは投資とはイメージが離れている企業も参入することを表明するなど、大企業とスタートアップ企業のシナジーが生まれています。最近では、金融機関とベンチャー企業がFinTechを通じてAPI連携をしたり、協業するなど、今まで閉じ気味だった業界でも新しい波が生まれようとしているのです。

シェアオフィスでシナジー効果を狙う投資者も

世界に目を向ければ、20ヵ国以上にコワーキングスペースを提供しているWeWorkは、初期のスタートアップを育てる土壌があると言われています。WeWorkに入居すればWeWork Commonsというコミュニティに加われます。さらには、健康保険や生命保険への加入、ソフトウェアの割引や特典、税務処理サービスを利用できるなど、さまざまなメリットがあります。
コワーキングスペースで生まれるシナジー効果をもとに新ビジネス共創が生まれるかもしれません。日本でも2月末、WeWorkのオフィスがスタートしました。銀行系VCや独立系VCがシェアオフィスを開設するケースも増えてきました。企業同士の物理的な近さがメリットをもたらすと考える投資者も多いようです。

初期の資金調達はプレシード投資、アクセラレータプログラムも一手段

有名起業家やベンチャーキャピタルの有名人は講演やカンファレンスで「アイデアは無数にあるが、実際に行動できる人間がいない」と口をそろえます。もし「誰も手を付けていないサービスのアイデアがある」と思ったら、まずはサービスの開発に向けて動くべきなのです。プレシード投資の活発化で資金調達は比較的容易になりました。数多くあるアクセラレータプログラムを利用して、まずはアイデアを具体化させていきましょう。(提供:J.Score Style


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