(本記事は、頼藤太希氏、高山一恵氏の著書『つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!』スタンダーズ、2018年2月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

つみたてNISAでお金は勝手に増えていく
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

値動きのあるものは積み立てに向いている

積み立て投資は株式やFXと違い、チャートを入念に調べたり売買のタイミングを計ったりする必要はありません。コツコツ買って持っておくのが基本戦略です。

これを徹底すると、商品の平均購入価格を下げることができ、利益が出る可能性が高くなります。この考え方をドルコスト平均法といいます。

たとえば、1万口の価格が1万円→2000円→5000円と変動する商品があったとします(例なので少し極端にしています)。これを毎月一定額で1万円ずつ買うと、毎月一定量で1万口ずつ買ったときよりも平均購入価格を2000円近く下げることができるのです。

投資信託に限らず、値動きのあるものは毎月一定額ずつ購入すると、価格が高いときには少ししか買えず、価格が安いときにはたくさん買えることになります。そのため、平均購入価格が自然と下がるのです。

投資をはじめると、つい価格の上下に一喜一憂しがちですが、ドルコスト平均法は上昇時にも下落時にも自動的に対応し、コツコツとお金を貯めてくれるのです。

コツコツ貯めて資産倍増のカラクリ

資産運用で得られた利益は、再び投資に回すことで、さらに効率よくお金を増やすことができます。これを複利といいます。かの有名な物理学者、アインシュタインも「人類最大の発明は複利である」と言ったとか。ぜひ味方につけたいしくみです。

ところで、あなたが投資した元本が2倍になるには、何年くらいかかると思いますか。これを簡単に計算する「72の法則」という公式があります。72を運用の利率で割ると、元本が2倍になるまでのおおよその年数がわかるのです。

2018年1月時点で、大手都市銀行の定期預金金利は年利0.01%です。これをその法則に当てはめると、答えは7200年。つまり、100万円を預けた場合、2倍の200万円にするのに7200年かかるということです。

仮に年利8%の投資信託で運用できれば、9年で資産を倍にできます。

複利効果は早く始めて長期間取り組むほど私たちに有利に作用します。じっくりお金に働いてもらいましょう。

気になる投資信託のコスト 信託報酬に要注意

ドルコスト平均法や複利の力によって、お金がじわじわと増える期待が持てたのではと思います。しかし、それを妨げかねないのが、投資信託の手数料です。

投資信託には主に3つの手数料がかかります。買うときの販売手数料、持っている間ずっとかかる信託報酬、売るときの信託財産留保額です。

このうち、つみたてNISAを行う際にもっとも気にするべき手数料は信託報酬です。

信託報酬は、それぞれの投資信託の財産の中から毎日差し引かれます。つまり、投資信託を20年間保有すると、20年分の信託報酬を支払うことになるのです。

信託報酬の額は、投資信託ごとに年率○%と示されています。つみたてNISAで購入できる投資信託の信託報酬はいずれも低めですが、それでも20年間になるとそれなりに大きな金額になります。ですので、なるべく信託報酬の低い投資信託を選んだほうがいいでしょう。

なお、つみたてNISAの場合、金融庁の定めによって販売手数料はすべて無料となっています。また、信託財産留保額も無料の投資信託が多くなっています。

純資産総額と基準価格右肩上がりがベター

つみたてNISAで購入できる投資信託には、以前からあってすでに運用されている商品と、新たに作られた商品があります。このうち、以前からある商品については、運用が始まってからの資産や価格の推移を調べることができます。各投資信託のウェブサイトや目論見書、モーニングスターなどの投資信託情報サイトでは、これまでの推移をグラフで参照できます。

投資信託で注目すべき金額には、純資産総額と基準価額の2つがあります。

純資産総額は投資信託の財産の合計です。この金額が大きいほど、規模の大きな投資信託だといえます。

この純資産総額を投資信託の口数で割ったものが基準価額です。多くの場合、1万口あたりの金額で表示されます。

基本的には、純資産総額も基準価額も増加傾向にある投資信託がいいでしょう。多くの人が買うことで財産が増え、その財産が値上がりすることで基準価額が増えるからです。

ただし、これらの数字はあくまで過去のもの。仮にこれまでが順調だったとしても、今後も同じように上昇するとは限らないことに注意しましょう。

頼藤太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント。(株)Money&You代表取締役社長。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha(モカ)』を運営。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintechなどに関する執筆・監修、書籍、講演などマネーリテラシー向上に努めている。著書は「税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「1000円から増やす積み立て投資術」(スタンダーズ)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)。

高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー。(株)Money&You取締役。慶應義塾大学卒業。2005年に(株)エフピーウーマンの創業に携わり10年間取締役を務めた後、現職へ。主に女性向けに、全国で講演、執筆・監修、書籍、マネー相談を行っている。著書は「マンガでわかるiDeCoのはじめ方 ライバルはイデ子!?」(きんざい)、「35歳までにはぜったい知っておきたいお金のきほん」(アスペクト)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。