資産運用にリスクはつきものだ。しかし、この「リスク」の意味を正しく理解している人はどれくらいいるのだろうか。そこで、資産運用のリスクの意味と上手な付き合い方について考えてみよう。

リスクとは「値動きの振れ幅」

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(写真=Kunst Bilder / shutterstock.com)

リスクのことを「危険」という意味にとらえている人は多いかもしれないが、資産運用ではその意味合いが異なる。金融商品のリスクとは、結果が不確実で予測ができず値動きが上下に振れる変動幅を意味する。

金融商品の価格は上にも下にも変動するので、上方向に動けば利益となり、下方向に動くと損失になる。例えば、仮想通貨のように儲けの幅も大きく、下落に転じた時の下落幅が大きい商品はリスクが高く、預貯金のように利息がゼロに近くても、値下がりするリスクもほとんどない商品はリスクが低いといえる。リスクは損失だけでなく利益も含めた変動幅を指すので、「思いのほか値上がりして大きな利益が出た」という場合でもリスクが高い商品といえる。資産運用のリスクは主に以下のような種類があり、どのリスクが伴うかは金融商品によって異なる。

● 価格変動 (マーケット) リスク
価格が変動するリスク。株式はもちろんだが、債券や不動産、コモディティなど価格が変動する金融商品は当然ながら値上がり・値下がりのリスクがある。

● 金利変動リスク
市場の金利は変動しており、その影響を受けて債券の価格も変動する。金利が上昇すれば後から発行される債券の価値が上がるので既存の債券価格は下落し、金利が下落すれば債券価格は上昇することになる。

● 信用 (クレジット) リスク
投資家が受けられるはずの利子の支払いや、元本の償還が受けられなくなるリスク。例えば、債券を発行する国や自治体、企業などの財務状況が悪化すれば、期待していた支払いが行われない可能性がある。信用リスクの高い債券は利回りも高く、低い債券は利回りも低くなる。

● 流動性リスク
売買したいときに適正な価格で売買できなくなるリスク。例えば、取引量の多い大型株なら取引時間内はいつでも市場価格で売買できるので流動性リスクは低いが、取引量の少ない株式を売買すると自分の注文で価格が変動し不利な価格で取引させられることもある。また、不動産などは買い手が見つかるまで時間がかかるため、流動性リスクはさらに高くなる。

● 為替変動リスク
外貨を交換する為替相場は常に変動しているため、外貨建ての海外株式や債券に投資する場合は為替変動リスクも負うことになる。

● 地政学的 (カントリー) リスク
特定の国や地域で紛争や政争、事件、災害などが起こるリスクのことを指す。紛争や災害がその地域で発生していなくても、影響を受ける可能性があれば地政学的リスクは高まる。

リスクは避けられないが、上手に付き合うことはできる

資産運用ではリスクを取るほど利益のチャンスは大きくなるが、その分損失も広がりやすい。まずは自分がどれくらいのリスクが取れるかを把握するのが重要だ。一般的には、投資できる期間が長い場合や資産が多いほど取れるリスクも大きくなるが、資金の使い道やその人の性格にも左右されるので、慎重に考えたい。

リスクを抑えるには分散・長期投資が有効とされる。値動きの異なる複数の投資先に資産分散を行い、さらに投資時期も分散することでリスク軽減が期待できる。例えば、国内外の株式と債券を対象とする複数の投資信託に毎月一定額を投資する積立投資は投資先も投資時期も分散できるすぐれたリスク低減法のひとつだ。

また、長期で投資を続けることで、利益がさらに利益を産む「複利効果」が大きくなる上、価格変動リスクが抑えられ、収益が安定するとされる。

資産運用では、リスクを避けることはできないが、うまくコントロールすることは可能だ。自分に見合ったリスクと適切に付き合っていくことが重要になるだろう。(提供:大和ネクスト銀行


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