外資金融のゴールドマン・サックスが機械学習の技術を屈指し、2018年FIFAワールドカップの優勝予想「The World Cup And Economics 2018」を発表した。

20万件のモデルから100万回もシミュレーション を行った結果、優勝候補はブラジル、2・3位をドイツとフランスが競い合うことになりそうだ。

日本がベスト16入りする確率は36.5%。それなりのチャンスはありそうだが、優勝する可能性は0.4%と限りなくゼロに近い。

AIが予想する5つのキーポイント「フランスは抽選運が悪い」?

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(画像= fifg/Shutterstock.com)

まずは予想結果から、キーポイントを見てみよう。機械学習による予想は、膨大な起こり得る説明変数をふるいにかけれるため 、従来の人間による予想よりも的中率が高いという。

1.7月15日の決勝戦はブラジル対ドイツ。ブラジルが勝利をおさめる。

2.フランスはドイツより優勝する確率が高いが、準決勝でブラジルと当たるなど抽選運が悪い。ブラジルを打ち破るほど強くもない。

3.7月7日の準々決勝戦で、ドイツがイングランドを破る。

4.スペインとアルゼンチンは期待はずれのプレーを見せ、このままフランスとポルトガルに準々決勝戦で敗れる。

5.開催国が強いという伝統にそむき、ロシアはグループステージで敗退。

準々決勝予想 勝ち残るチームは?

準々決勝まで勝ち残るチームの予想は以下の通り。

決勝戦:ブラジル対ドイツ

準決勝戦:フランス対ブラジル、ドイツ対ポルトガル

準々決勝戦:フランス対スペイン、ドイツ対イングランド、ブラジル対ベルギー、ポルトガル対アルゼンチン

優勝候補トップ10予想と優勝の確率

10位 ウルグアイ 3.2%
8位 コロンビア 3.7%
8位 アルゼンチン 5.7%
7位 イングランド 6.5%
6位 スペイン 7.8%
5位 ベルギー 8.2%
4位 ポルトガル 9.4%
3位 ドイツ 10.7%
2位 フランス 11.3%
1位 ブラジル 18.5%

日本が優勝する確率は32カ国・地域中24位

AI(人工知能)が日本チームの健闘ぶりをどのように予想したか、非常に気になる。日本代表がラウンド16入りする確率 は36.5%、準々決勝は12.8%、準決勝戦は3.8%、決勝は1.3%。優勝する確率は0.4%と中々シビアな予想だ。優勝する確率は32カ国・地域中、24位 。日本より優勝する確率が低い国・地域はエジプト、韓国、モロッコ、ナイジェリア、セネガル、パナマのみ。

日本は初出場を果たした1998年から、グループリーグとラウンド16敗退を繰り返している。過去5回の出場で、4勝9敗4分。ゴールは14回、失点は22回。

ゴールドマンは「日本のFIFAランキングと株式市場の間に緩い負の相関がある」と指摘している。

2011年に1万円を切った日経平均株価は、現在1991年と同じ水準の2.2万円まで回復。しかしFIFAランキングは2011年4・6月の13位から過去最低水準の60位近くまで落ち込んでいる。FIFAランキングと日経を使った回帰モデルに基づいて算出すると、FIFAランキングは49位でないと釣り合いがとれない。それゆえに、「予想外のポジティブな健闘が期待できるかもしれない」。

ブラジル−−最強の優勝候補 抽選運も良い?

優勝候補となると、やはりブラジル、フランス、ドイツの3カ国が強い。

ブラジルは 現在FIFA国際ランキング2位。過去20回の出場で5回優勝しており、ワールドカップ通算で70勝17敗17分。ゴール211回、失点102回だ。

抽選会で振り分けられたグループEは、FIFA国際ランキング6位のスイスを筆頭に、23位のコスタリカ、34位 のセルビア。ブラジルがほぼ確実に優勝を狙える「勝ち組」とされている。

「チッチ」の愛称で知られるアデノール・レオナルド・バッキ監督が指揮をとり、ネイマール、ロベルト・フィルミーノ、フィリペ・コウチーニョ、ガブリエル・ジェズスといった選手たちが、そのわきをかためる。

ブラジルの経済 は、開催国に選ばれた2014年と比べるとはるかに回復しているものの、今なお失業率は2桁台から抜け出せず、成長も伸び悩んでいる。政策金利、インフレ率ともに歴史的な低水準にまで引き下げられている。

ブラジルは引き続き政治的リスクが大きく、10月7日の大統領選挙の結果次第では、経済の波乱が懸念される。

フランス−−ドイツとの決戦が運命の分かれ道?

ドイツと準優勝争いを繰り広げると予想されているフランス は、FIFA国際ランキング7位。過去14回出場を果たし、1998年に1度だけ優勝している。ワールドカップ通算で28勝19敗12分。ゴール106回、失点71回。

グループ戦ではオーストラリア、デンマーク、ペールを破り、ラウンド16に進出すると予想されているものの、決勝に進むには強敵ドイツに打ち勝つ必要がある。ここがフランスにとって運命の分かれ道となるだろう。

フランスは2014年のワールドカップから、経済的にもサッカー代表チームにも大きく様変わりした。また昨年から引き続き、今後もトレンドを上回る経済成長を記録するとゴールドマンは予想している。

ドイツ−−FIFA国際ランキング首位、ワールドカップでも1位になれるか?

FIFA国際ランキング1位のドイツは、出場18回で4回優勝経験がある。ワールドカップ通算で66勝20敗20分。ゴール224回、失点121回という強者だ。

グループリーグで惨敗し最下位という屈辱を味わったUEFA EURO 2020以降、ドイツはコーチング、教育、トレーニングスキームに関する根本的な改革に着手した。これにともない、国内のトップ選手が国外で活躍し、国外の新たな技術を持った選手が国内に流入したことで、ドイツチームはより国際色豊かな顔ぶれへと生まれ変わっている。

経済的にも堅調な成長を続けているが、対米貿易摩擦や大西洋の反対側で広がる経済的ナショナリズム、自国でも勢いを増すポピュリズムの扇動など 、ドイツ経済に直面する環境は緊迫感を増している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)