◆日経平均予想レンジ22,202~22,782円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は、週末発表された米雇用統計が底堅い内容となったことなどを背景に米国株が上昇。この流れを引き継ぎ日経平均は3日続伸から6/29以来22,300円台水準まで買い進まれた。しかしトランプ政権が中国への追加関税を発表。米中間の貿易戦争をめぐる報復合戦の激化懸念を警戒して節目の22,000円を割り込む場面が見られたが、週末は米国株高円安進行から買い戻しも入り22,597円で終了した。

◆海外の焦点

6月米雇用統計は前月比21.3万人増と市場予想の19.5万人を上回り、好調の目安となる20万人も上回った。中国・EUなどとの間で貿易摩擦が激化する中でも米景気は好調を維持していると受け止められた。又、今週から本格化する4-6月期決算が良好な内容になるとの期待が相場を押し上げた。一方、米中間の貿易戦争をめぐる報復合戦の激化懸念が混乱を招いている。

トランプ政権は10日、中国が輸入する2,000億ドル相当の製品に10%の追加関税を上乗せする制裁手続きを開始すると発表した。6日発動の関税に対して同規模の報復措置で中国が応じたため、制裁規模を上積みした格好だ。エスカレートする報復合戦が世界経済の成長を鈍化させるとの懸念が再燃した。追加制裁が発動されれば、その影響は中国から輸入する生活必需品に広く及び、消費者への影響は大きい。ただ発動が9月以降になる見通しで、共和党内や米産業界からの批判の声が強まっている。中国も抑制的な対応に努めており、米議会が休会となる8月中には落とし所を探り、最終的には前面衝突は回避されるとの見方も広がっている。

◆国内の焦点

7/2に6月調査の日銀短観が発表された大企業製造業の業況判断DIは+21となり、3月調査+24から3pt悪化した。悪化は2期連続。原油高に伴う原材料コストの上昇や米国の保護主義が貿易戦争を招く懸念が企業心理を圧迫したと見られる。先行きは+21と横ばいを見込んでいるが9月調査に向けDIの低下傾向が続くと、これまでの経験則ではTOPIXの上値抑制につながるだけに相場調整も長引きやすくなるため、留意しておきたい。

又、やや弱気な利益計画も目についた。今年度の全産業の経常利益計画は前年度比5.1%減益。利益計画の前提となる想定為替レートは107円26銭と実勢レートよ り慎重さがうかがえる。

◆来週の株式相場

以上、来週は不透明な外部環境を睨み相場の強さを示唆する25日線を上抜いたことで、自律反発力が試される局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は6/21高値22,782円が意識され、下値は200日線22,200円近辺が目処となる。

岡三・伊藤の週間株式見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト