ソフトバンクグループ <9984> の中核会社であり、国内通信事業を担うソフトバンクの上場予備申請が発表された。持ち株の約1/3を売り出し、ソフトバンクグループは約2.5兆円を資金調達する狙いがあるようだ。ソフトバンクの上場は過去の案件と比較しても、かなりの大型上場になるだろう。上場に備え、過去の大型上場の状況を確認しておきたい。

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(画像= MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com)

ソフトバンク株式会社の時価総額は7兆円以上?

まず、今回の上場を整理してみよう。約1/3で約2兆5000億円を調達するということは、ソフトバンクグループは、約7兆5000億円の時価総額ということになる。ソフトバンクグループの時価総額が約10兆円であり、単純計算すると75%をソフトバンクが占める、ということになる。

この数字は現実味があるのだろうか。競合であるNTTドコモの時価総額は約10兆円、KDDIの時価総額は約8兆円だ。また、株価が割安かどうかを判断するのに、時価総額を純利益で割ったPERという指標を使うが、ソフトバンクのセグメント利益は約6820億円であり(有価証券報告書より)、仮に時価総額を7兆5000億円だとすると、PERは約11倍となる。

NTTドコモのPERが約15倍、KDDIのPERが約12倍であることを考えると、同じようなレンジに収斂する可能性もある。いずれにせよ、相当の大型上場になることが考えられる。仮に時価総額7兆円だとすると、時価総額ランキングTOP10に入り込む。

過去10年で1兆円以上の上場は7社のみ

では、過去、このような大型上場はあったのだろうか。リーマンショック後の2009年からこれまで約600社が上場したが、その中で、時価総額が1兆円を超えるのはわずか7社のみだ。

最も大きいのが2015年に上場した日本郵政 <6178> 、ゆうちょ銀行 <7182> だ。民営化をうけて、かんぽ生命 <7181> と同時に3社上場したのだが、上場時の時価総額が、日本郵政が約7兆3300億円、ゆうちょ銀行が約7兆5600億円と過去にみない規模の時価総額での上場となった。かんぽ生命の約1兆7500億円とあわせると、約16兆5000億円となり、この売り出しで、日本政府は約1.4兆円を調達した。郵政民営化の結果とはいえ、この規模の上場というのは、今後見られることはないかもしれない。

その他の4社は2010年の第一生命保険 <8750> 、2011年の大塚ホールディングス <4578> 、2014年のリクルートホールディングス <6098> 、2016年のLINE <3938> だ。いずれも超有名企業だが、それぞれ公開時の時価総額は、第一生命保険が約1兆4000億円、大塚ホールディングスが約1兆1700億円、リクルートホールディングスが約1兆7700億円、LINEが約1兆円だった。

ソフトバンクの約7兆円と比べると、少なく聞こえるかもしれないが、時価総額1兆円を超える企業は、日本では約150社だ。日本航空やサントリー食品インターナショナル、西武鉄道(西武ホールディングス)、今年話題になったメルカリも、1兆円未満の時価総額での上場だった。それだけ、今回のソフトバンクの上場が大型上場であると言えるだろう。

過去10年(2009年以降)で初値時価総額が1兆円を超えた企業

ゆうちょ銀行 <7182>         約7兆5600億円(2015年)
日本郵政 <6178>           約7兆3300億円(2015年)
リクルートホールディングス <6098>  約1兆7700億円(2014年)
かんぽ生命 <7181>          約1兆7500億円(2015年)
第一生命保険 <8750>         約1兆4000億円(2010年)
大塚ホールディングス <4578>     約1兆1700億円(2011年)
LINE <3938>             約1兆円(2016年)

世界と比較しても大きいソフトバンクのIPO

世界の他の国と比較してみるとどうだろうか。最近、世界中を騒がしたIPOとして、2018年4月にNY市場に上場した音楽ストリーミングサービス「SPOTIFY」のIPOが挙げられる。SPOTIFYは初日終了時の時価総額が約3兆円だった。これと比べても、ソフトバンクの時価総額は倍以上ある。ソフトバンクのIPOは、世界的に見ても、過去最高レベルの規模のIPOだといえるだろう。

さらに、親子上場であることから、投資家達の注目度も一段と高くなっている。また、孫社長が言う「群戦略」にも大きな注目が集まっている。今後のソフトバンググループは、ますます目が離せないものになるだろう。(ZUU online 編集部)