「IPO投資」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「IPO(新規株式公開:Initial Public Offering)」への投資で利益を狙う投資のことを指します。方法はいたってシンプルで、IPOの「公開価格(上場時の株式購入の募集価格)」で購入して、基本的には「初値(上場後に市場で最初についた株価)」で売却し、キャピタルゲイン(売却益)を狙います。

IPO投資とは?

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(写真=moomsabuy / shutterstock.com)

東京証券取引所などの株式市場で取引される銘柄は、あまたある株式会社のほんの一部です。選ばれた株式会社なのです。株式市場に上場することで、多くの投資家が自由に売買することが可能になります。そして、新しく選ばれた会社が晴れて株式市場にデビューする儀式がIPOなのです。

IPOが決まった企業の多くは、上場時に株式を新規発行して「公募」します(IPOには「売出しのみ」の場合もあります)。上場するということは市場で株式を売買できるようになるということですが、そのためには株主数や流通株式数など取引所が定めた基準をクリアする必要があります。

基準は東証一部やジャスダックなど市場によって異なりますが、ベンチャー企業が上場するのに向いている東証マザーズだと、株主数200人以上、流通株式数2,000単位以上で「上場時までに500単位以上の公募を行うこと」と決められています。

そのIPOの際に公募される株式を公開価格で購入して、上場直後に売却することで利益を狙おうというのが「IPO投資」なのです。もちろん初値が公開価格を割り込んで損失が出ることもありますが、過去の実績を見ると、利益を得られる場合のほうが多いようです。

倍率が高いIPO投資 当選確率をあげるための工夫やポイント

IPO時の公開株数には上限がありますので、たくさんの購入希望者が現れた場合、希望通りの株数が買えるとは限りません。日本証券業協会の自主規制には、配分方法に関して「市場の実勢、投資需要の動向等を十分に勘案したうえで、当該募集等の引受け等に係る株券等の配分が、公正を旨とし、合理的な理由なく特定の投資家に偏ることのないよう努めなければならない」と定められています。

証券各社によってIPO株の購入希望者への配分方法は異なりますが、抽選によって配分を決めている証券会社も多いようです。そこで、少しでも当選確率をあげるためのポイントを3つ紹介します。

  1. しっかりと事前に情報を収集する 日本取引所グループ(JPX)や証券会社のサイトで、IPOのスケジュールや有価証券報告書、主幹事証券会社などが閲覧できます。ここでしっかりと狙いを定めることが大切です。

  2. 当選しやすい証券会社を選択する 同じIPOでも、実は証券会社によって当選確率は異なります。IPOでは、証券会社ごとに購入希望者に配分できる株数が異なります。IPOでは「主幹事証券会社」が決まっていて、例えば、この主幹事が公開株数の80%を引き受けて、残りをほかの証券会社数社が引き受けるといったやり方をしているからです。つまり、主幹事証券会社は引き受ける株数が多いので当選確率が高くなる可能性があります。

なお、各証券会社が個人投資家にIPO株を配分する際、何%が抽選で、何%がそれ以外の方法だったのかなどの過去の実績は、日本証券業協会のホームページで調べることができますので、併せて参考にしましょう。また、証券会社によってはIPO抽選に外れた回数でポイントがたまって、そのポイントを使うと当選しやすくなるような仕組みを採用しているところもあります。これらを考慮して、当選しやすそうな証券会社を選択しましょう。

  1. これと決めたら数を打つ 抽選は確率の世界ですので、たくさん申し込むことも必要です。とはいっても、多くの証券会社では申し込むときに購入金額を拘束されます。つまり、証券口座に購入金額分の現金がないと申し込めない場合が多いのです。

そのため、すべてのIPOですべての証券会社に申し込むというのは資金的に難しいのです。ですから事前に情報を調べて狙いのIPOを決めて、当選しやすい証券会社に資金を入金しておく必要があります。もちろん、あらかじめ口座を開設しておかなければいけません。「IPOは計画的に」なのです。本格的にIPO投資を目指すなら、機動的に対応できるように複数の証券会社で口座を開設しておきましょう。

当選すればラッキーだという心構えを

このようにIPO株を購入できる確率を多少上げる工夫はありますが、必ず当選できるものではありません。そして、運よく当選したとしても、利益が約束されているわけではありません。初値が公開価格を割り込むIPO銘柄もあるのです。「元本割れをする可能性がある」ということは常に忘れずIPO投資を行って下さい。

初値が公開価格を下回るような銘柄はそれだけ人気がないわけですから、当選確率が高くて「当選してしまいやすい」銘柄でもあります。事前にしっかりと調べて納得できる銘柄に申し込むことをおすすめします。

なおIPO投資は「必ず初値で売却しないといけない」というわけではありません。初値で売却せず、ホールドする(保有し続ける)という選択肢もあります。中長期的な企業の成長を期待するのであれば、こちらの選択肢を検討してみてもよいでしょう。 (提供:マネーLife Style


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