まだ午前中だというのに、パソコンの画面をぼーっと見ていたり、会議中にあくびをこらえることに必死になっている……。明らかに集中力が低下して仕事のパフォーマンスが落ちていると自覚している人は、もしかしたら十分な睡眠が取れていないのかもしれない。
多忙なはずの有名企業のトップたちが、「睡眠時間は必ず確保している」と強調しているように、ビジネスと睡眠の関係は深い。睡眠が仕事に与える影響を確認しよう。
仕事において睡眠が重要な位置を占める理由
睡眠が重要という割には、ビジネスパーソンにとって睡眠が二の次になっている現実を考えたことはあるだろうか。どれだけスキルアップのために勉強し、人脈作りに精を出したとしても、睡眠を削るあまり大事な時に肝心な集中力を発揮できなければ意味がない。リサーチや資料作成がはかどらない、会議では眠気と戦うのに精一杯で、ケアレスミスが頻発する状況では結果を出せないし、評価もされないだろう。
このような状況が続けば、クライアントや上司からの信頼を失うことになる。しかも睡眠にはストレスを処理する機能もある。睡眠が少ないと日々の仕事上のストレスが蓄積されて、体や精神に支障をきたすマイナス要素もある。
睡眠不足が仕事に与える影響
睡眠が不足すると、記憶をつかさどる海馬や、判断力とワーキングメモリーをつかさどる前頭葉の働きが低下すると言われている。記憶力や判断力、ワーキングメモリーは仕事のパフォーマンスを高めるためには必須だ。これらの機能が低下すると、ケアレスミスが増え、複数の業務を同時にこなすマルチタスク処理に対応できなくなる。こういった仕事で受けたさまざまなストレスも、睡眠を取って熟睡すればリセットでき、翌日には再び「頑張ろう」と気力を取り戻せる人も多いのではないだろうか。
つまり睡眠は、単に体を休めるためだけにあるのではない。仕事に必須の能力を回復させるためにも重要だということだ。
寝だめすれば良いということではない
それでは、睡眠が不足していると感じた場合、どうすれば良いのか。必要な睡眠時間は人により、また勤務時間や生活リズムにより大きく異なるので、一概に何時間寝れば良いとは言えない。ただ、目覚めたときに、十分に寝たという満足感が得られるほど寝ているかどうかはいい基準になるだろう。
ところで、平日は残業続きで毎晩3時間しか眠れなかったから、土日に寝だめして挽回しようと考える人もいるのではないだろうか。実際、寝だめをして「寝不足を取り返した」気がするだけでもポジティブになり、また月曜日から頑張れる人もいるだろう。
しかし、そのような生活を続けることは好ましくない。というのも、睡眠には日々の体のリズムを整える役割があるのだ。短時間の睡眠と長時間の睡眠をとるような不規則な睡眠を繰り返すと、体内時計が狂い時差ボケ症状が出てしまうのだ。これが悪化すると昼と夜が逆転して夜に眠れなくなり不眠症になってしまうこともある。その結果、肝心な昼間にボーッとしてしまうことになる。
睡眠の経済効果
睡眠不足がもたらす仕事上のパフォーマンス低下は、昇給や出世にマイナスの影響をもたらす可能性があり、あくまで個人の問題と受け止められてしまう。しかし、これが国家規模になると実に大きな損害をもたらしているのだ。
米国のあるシンクタンクのレポートによると、睡眠不足による経済損失額で最も大きかったのは米国の4,110億ドルだが、2番目は日本の1,380億ドルだった。しかもGDP比で比較すると日本は2.92%で、米国の2.28%を上回っている。また、同調査では、日本が睡眠不足によるパフォーマンスの低下で失った労働時間が年間60万日分に達しているというのだ。
逆に捉えれば、皆がしっかりとした睡眠を取ることができれば、それだけでも経済に好影響を与えることができるということだ。
この調査結果から、睡眠不足が社会に与えている影響の大きさを感じ取れるだろう。
十分な睡眠から好循環を回す
今回は睡眠が仕事に与える影響や社会に与えるインパクトを確かめた。十分な睡眠をとれていないと感じたときに、やむを得ず栄養ドリンクを飲んでなんとかその場を乗り切るなどの応急措置が必要な時もあるだろう。
しかし、一時的な対処で済ませずに、日々の睡眠を十分に取れるようにライフスタイルを見直す必要がある。しっかりと睡眠すれば仕事の効率は高まり、じっくり睡眠できるというように、良い循環に入るように心がけてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行)
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