9月3~7日の東京株式市場は軟調に推移した。米国の通商政策に不透明感を残す中、市場は模様眺めムードが強く上値の重い展開となった。7日の日経平均株価の終値は前週末比558円09銭安の2万2307円06銭で取引を終了、週ベースでは3週ぶりの下落となった。
ジャスダック市場「信用倍率ランキング」
それでは、今回はジャスダック市場の「信用倍率ランキング」を見ていこう。
(1)セルシード <7776> 94万5500株 100株 9455倍
(2)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> 74万7200株 100株 7472倍
(3)ラクオリア創薬 <4579> 329万5800株 600株 5493倍
(4)シライ電子工業 <6658> 98万5900株 200株 4929.50倍
(5)リプロセル <4978> 489万1300株 1000株 4891.30倍
(6)日本サード・パーティ <2488> 37万7700株 100株 3777倍
(7)小僧寿し <9973> 335万3400株 1000株 3353.40倍
(8)ジャストプランニング <4287> 162万2600株 700株 2,318倍
(9)Denkei <9908> 44万0600株 200株 2203倍
(10)テリロジー <3356> 524万3000株 2900株 1807.93倍
※銘柄、証券コード、買い残、売り残、信用倍率の順。9月4日現在。データはヤフーファイナンスより。
信用倍率は信用取引における買方と売方のバランスを示す指標で、信用買い残を信用売り残で割って算出する。信用倍率が高いということはそれだけ信用買いの人気が強く、短期的な「値上がり期待」の高い銘柄と見ることもできる。ただし、中長期的には信用買いの返済による「売り圧力」が高まるリスクを内包しており、株価下落を助長することにもなりかねない点に注意が必要だ。
セルシード、信用買い残が上値の重しに?
今回は上記ランキングからセルシード、シライ電子工業、テリロジーを取りあげる。
セルシードは東京都新宿区に本社を置く、再生医療のバイオベンチャー。細胞シートを用いた再生医療事業と、培養器材の開発製造等の再生医療支援事業を手掛けている。
2018年6月中間は売上高が3億4700万円(前年同期は2600万円)、営業損益が4000万円の赤字(同3億8500万円の赤字)となった。台湾の事業提携先に対する開発データの提供が想定を上回るスケジュールで完了したこと、細胞培養施設維持費や研究開発費が一部下期にずれ込んだことにより、期初の計画(売上高3億円、営業損益は3億円の赤字)を上回る内容となった。通期で営業損益を2000万円の黒字とする従来予想は据え置いた。
今年3月、セルシードは今通期に黒字化する見通しを発表、さらに膝関節軟骨組織の再生に使う移植用軟骨再生シートの基本特許が欧州主要国で認められたことを手掛かりに、株価が2000円台まで急上昇する場面も見られた。その後は利益確定の売りに反落、調整ムードが広がり一時1000円を割り込むなど荒っぽい値動きとなっている。信用倍率は9455倍に達し、今回のランキングでTOPとなった。
シライ電子工業、「透明フレキシブル基板」を開発
シライ電子工業は京都市に本社を置く電機メーカー。プリント配線板及びプリント配線板外観検査機の設計・製造・販売を手掛けている。同社の発行済み株式の2.4%を任天堂 <7974> が保有しており、過去には「ニンテンドースイッチ」の関連銘柄として人気化したこともある。
8月21日、シライ電子工業は「透明フレキシブル基板」の開発を発表した。同社はプレスリリースにて「今後成長が期待されるウェアラブル業界やディスプレイ業界等に対しても新たに提案し、売上高の拡大を目指す」としている。株式市場ではこのリリースを好感して一時ストップ高となる場面も見られた。
テリロジー、外資系証券の大量保有報告書が話題に
テリロジーは情報セキュリティー製品等の輸入販売及び企業内システム構築を手掛ける企業。東京都千代田区に本社を置く。
今年1月4日に326円の安値を記録したテリロジー株は現在1200円前後で推移している。年初からほぼ一貫して上昇トレンドを描いており、短期筋の買い人気も高いようだ。情報セキュリティー分野の製品やサービスの需要が増加するとの観測に加え、先週は外資系証券が大量保有報告書を提出したことも話題となった。(ZUU online 編集部)