奨学金の返済のことを考えると頭が痛い、という人は多いのではないでしょうか。数は少ないとみられますが、奨学金の返済を滞納し自己破産に追い込まれるケースもあるようです。このような状況を受け、支援策を設けている企業や自治体もあります。自分や家族が多額の奨学金を借りていて将来が不安という人は、そのような支援策を一度チェックしてみましょう。

奨学金が返済できないとどうなるか

JASSO(日本学生支援機構)の「平成28年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、奨学金の返済を3カ月以上延滞している人は約16万人です。返還が必要な人は約400万人なので、約4%の人が3カ月以上延滞していることになります。

奨学金の返済はどれくらい家計を圧迫するのでしょうか。JASSOのホームページに記載されている返還例(第二種奨学金)では利息1%、奨学金月額5万円の貸与を受けて4年間大学に通い、15年かけて返済した場合の返済月額は1万5000円弱です。

この金額が多いとみるか少ないとみるかは、卒業後の家計の状況によります。就職して高い年収を得られるようになれば大きな額ではないかもしれません。しかし収入が少ない場合は大きな負担になるでしょう。返還期限が猶予される制度もありますが、JASSOの場合は10年を期限とし、それを過ぎると督促が始まります。

奨学金の返済を支援する会社

このような状況下で、奨学金の返済を支援する制度を備えた会社の存在が知られるようになりました。

例えば、株式会社大和証券グループ本社は、奨学金返済義務のある社員向けに、返済資金を無利子で貸し付けることで、社員の金利負担を軽減しています。また、入社 6年目より返済開始とすることで、若手社員の返済負担を和らげています。

広島県を中心に「ゆめタウン」などのショッピングモールを運営する株式会社イズミは、「奨学金返済支援制度」をあらたに導入しました。2019年度以降の新入社員に対し、3年目、5年目、7年目の夏のボーナス支給時に最高で10万円ずつ総額30万円まで返済資金を支援するそうです。

制度をつくった背景として「返済滞納や自己破産などの増加が社会問題化」していることを受けて、「安心して働ける環境づくりが重要である」と考えたことによるものと同社のプレスリリースで述べられています。

ゴムや合成樹脂製品などの加工・販売を行うクリヤマ株式会社でも「奨学金返済支援制度」が導入されています。奨学金貸与総額の半額かつ300万円を上限に、返還期間の半分の期間まで最長10年間、毎月2万5000円を限度に給付するというものです。

奨学金の返済に悩む苦学生にとって、このような企業が現れたことは希望が持てるのではないでしょうか。

行政によるバックアップ

奨学金返済を支援しているのは民間企業だけではありません。地方自治体も様々な取り組みを行っています。

例えば新潟県は、県内の高校を卒業して大学(県内外を問わない)に入学、県外で就職し、その後県内企業にUターン転職した若者に対して、最大で奨学金残額の2分の1、120万円までの返済を支援する「新潟県Uターン促進奨学金返還支援制度」を行っています。

山梨県では、理学部や工学部を卒業後、県内の指定された業種の企業の企画・開発・製造部門で働こうとしている人に対して、JASSOから借りた奨学金の返済の一部を負担する、「山梨県ものづくり人材就業支援事業補助金」を設けています。

その他、多くの地方自治体が支援制度を導入していますが、JASSOのホームページでは、そのような支援制度をまとめてチェックすることができます。

奨学金の返済負担に対し社会的理解

奨学金の返済苦が一部メディアで注目を集めたこともあり、奨学金の返済負担に対する社会的な理解もだいぶ高まってきました。もちろん貸与型の奨学金は、本人が働いて稼いだお金で返済するのが大前提ですが、状況によっては様々な支援制度を積極的に活用するとよいでしょう。生活が困窮するような事態におちいる前に対策を講じることが大事です。(提供:マネーLife Style


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