(本記事は、酒井威津善氏の著書『儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50』自由国民社、2017年4月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
分厚い専門書を読むより、発想法を身につけよう
あなたは、今までいろんなビジネス書を読んできたと思います。
ここで少し振り返っててみてください。
それらを読んだことで、これは!という答えにたどり着きましたか?
残念ながら、そうはならなかったはずです。読み終わった直後は、これはいいヒントを得たと思っても、実はそれほどではなかった。きっとそんなことの繰り返しだと思います。
専門書なのに、なぜこうなるのでしょうか?
実は、多くの方が見落としている点があるのです。それは、そこに載っているのはあなたのビジネスではないということです。
それはそうだろうと思われるかもしれません。しかし、だからこそ、いくら読んでも答えに繋がらないのです。
これはスポーツの世界に似ています。
良くヒットを打つ打者がいたとして、その人のマネをして打てるようになるでしょうか。
もちろん、少しはマシになるかもしれません。
でも、きっとまた元に戻るでしょう。
なぜなら、その人とあなたは別人だからです。
いくらマネをしても同じように打てるはずがないのです。
ビジネスも同じなのです。同じ業界で同じようなサービスをしていたとしても、競合や成功事例をいくらマネても、しばらくするとすぐに元に戻るだけ。
スポーツにしろ、ビジネスにしろ、なぜこうなってしまうのか。
それは、うまくいく確信がないからです。
つまり、自分でわかってやっているわけではない。
結果、うまくいってもいかなくても、なぜそうなるのかが不明なままだからです。
●自分で発想する
そこで提案したいのが、自分で発想することです。
発想と聞くと「いや、そんなセンスはない」と反射的におっしゃる方がいます。
しかし、諦めないでください。
自分じゃ考えられないと思い込んで、過去の成功事例や高尚な戦略の本を読んでも同じことを繰り返すだけです。
発想すると聞くと、元々センスのある人だけのもののように思えるかもしれません。
先に断言しておきましょう。発想は人間であるなら誰にでも可能です。ここに例外はありません。できないのだとしたら、そう思いこんでいるだけです。
発想すること自体はとても簡単です。特にビジネスの世界に限っていえば。
もちろん、青色発光ダイオードのような世紀の発明をしろ!と言っているのではありません。ただ利益を上げる仕組みを考えるために、ノーべル賞を取るような並外れた知識も経験もいらないのです。
では、どうすればいいのか。
アイデアに関する本を読んだことがある人ならご存知かもしれません。
新しいアイデアを考える、発想するときに必要なことは、ただ1つ。
すでにあるものを掛け合わせること。ただこれだけなのです。
【既存のもの×既存のもの=今までにないもの】
まったくゼロから生み出す必要はどこにもありません。
ビジネスであれば、すでにあるビジネスとビジネスを掛け合わせるだけ。
実際成功している企業の中に、たくさんこうした例を見ることができます。
あなたにも経験はありませんか?
あれ、これってどこかで似たようなサービスがあったような……。
はい。あなたのその直感は当たっています。
世の中の多くのビジネスは、すでにあるものをヒントにして成功しているのです。
例えば、東京都内を中心に、今や1千億円もの売上を持つディスカウントストアの「カクヤス」。特徴はその配達スピードです。都内に縦横無尽に張り巡らされた店舗網によって実現しています。
これはかの「ヤマト運輸」と同じ仕組みです。
個人宅から個人宅へスピーディに配達するために、エリア毎に配送基地を作り、その範囲内であればどこへでもすぐに届けられるようになっています。
この仕組みによって、ヤマト運輸はそれまで実現不可能だとされていた「宅配」ビジネスを成功させています。
「カクヤス」がこれを応用して、「お酒」の配達ネットワークを構築したわけです。
【既存のもの×既存のもの=宅配サービス×お酒=カクヤス】
となり、今までにはない新しいビジネスモデルが誕生したのです。
もはや、都内でお酒の配達に関して「カクヤス」に勝つことは難しいでしょう。
それは、宅配で圧倒的な地位を確立したヤマト運輸と同じ。
あなたが新しいビジネスを発想するときも同じです。
すでに結果が出ているもの同士を組み合わせるだけ。
過去の事例をなぞるのではなく、それらをヒントに別のモノと掛け合わせ、新しいビジネスを生み出す。結果、これで今までなかった新しいビジネスが誕生し、圧倒的でばく大な利益を確保できるのです。
グーグルが急成長したのはビジネスモデルのおかげ
今や、グーグルで検索しない人はいないでしょう。
わからないことがあれば、「グーグル先生に聞け」という言葉もあるくらいです。
米国カリフォルニア州に本社を構えるこの世界企業の設立は、1998年。
今からわずか19年前。
直近2016年1~3月(1Q)の売上は2兆5千億円、利益は約5千億円。なぜ、この短期間でこれほどの大企業になったのか。
それは、私たちと反対のことをやっているからです。
・シンプルイズベスト
なぜグーグルが急成長できたのか。結論から参りましょう。
サービスを「シンプル」にした。これだけです。
ご存知のとおり、グーグルの検索画面を開くと、「検索キーワード」を入力する四角い枠しか出ていません。それを見て、私たちが取る行動も至極シンプル。
検索したいワードを入力して、エンターキーを押すだけ。すっかり慣れてしまったので、もはや疑問を持つ余地もありませんが、このシンプルさにこそ優れたビジネスの共通点があるのです。
・グーグルは立ち食いそばと同じ
私たちが日頃利用する立ち食いそば。実はグーグルと共通点を持っています。
それが「シンプル」であること。
ほとんどのそば屋さんでは、券売機があり、食券を購入します。購入した食券をカウンターのいる店員さんに渡す。これで注文は完了です。
ちぎった半券をカウンターの上においてくれるので、間違った注文が入る心配もありません。しばらく待つと、注文した品がカウンターの上に出てきます。
それを持って席に移動し、あとは食べるだけ。お金は支払い済ですから、食べたあとは食器を返却台に戻すだけ。非常にシンプルですよね。
・人は頭を使いたくない
スマホが普及してもっとも影響が出たと言われているのが、人の集中力です。
長い文章や難解で頭を使いながら読むような情報は嫌われます。もっと他にわかりやすい情報がいくらでも存在するからです。
わかってくれるだろう、と思うのは危険です。理解しようと時間をかける前にさっさと違う方法を選んでしまう、それが大多数の人の行動です。
情報だけではありません。例えばさきほどの立ち食いそばも同じです。
注文の仕方が面倒。これだけで間違いなく敬遠されます。
「手間暇がかかっても食べたい」。そこでしか食べられない特別なメニューだとしたらそんなことも起こるかもしれません。
しかし、ほとんどはそうはなりません。
あなたもきっと一度や二度は経験したことがあるはずです。
店員を呼んだのに来ない、注文したものと違う、どこに座っていいのかわからないなどなど。少しでも「えっ?どうすればいいの?」と人に感じさせたらそこでアウトなのです。
・とにかくシンプルに
あなたのビジネスがどのようなものであっても複雑さは命取りです。大学の研究論文やどこかの研究所で提出するレポートでもないかぎり、とにかく複雑さを取り除きましょう。
そのためには、人にこのビジネスがどんなものなのか、できるかぎり単純に説明してみることをオススメします。
ただ伝えるだけではなく、相手にどんな内容か、復唱してもらいましょう。
そのとき、相手が返答に困るようであれば、「伝わっていない」ということ。
もっと研ぎ澄ます必要があります。
もちろん説明だけではありません。立ち食いそば屋さん同様、サービス内容もです。
とにかくシンプルに。シンプルにすればするほどあなたのビジネスは飛躍的に成功へと近づきます。