(本記事は、酒井威津善氏の著書『儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50』自由国民社、2017年4月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

新しいビジネスモデルを発想する「4つの軸」とは?

儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50
(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

ビジネスモデルを発想するための4つの軸をご紹介します。

この4つの軸は、すでに様々なビジネスで使用されていますが、ちょっと応用するだけで新しいビジネスモデルの発見につながります。

・第1の軸「対立概念」

1つめの軸は、「対立概念」です。

なんとなく聞いたことがある人もいると思います。

対立概念とは、「男性と女性」「表と裏」「善と悪」など中間が存在せず、対立している概念のことです。

この軸がどのようにビジネスに活かせるのか。

ズバリ、反対に存在するものが使えないか、という視点です。

例えば、外食と自炊。

外食産業が厳しい今、外食で用いられている食材を自炊用に販売できないか。

宅配と何が違うのかと言われそうですが、宅配の場合は調理済みで、その商品に調理にかかる人件費、光熱費が上乗せされるため、当然価格が張ります。

生協、「オイシックス」など食材販売とは、「日常性」「非日常性」で住み分けることが考えられます。例えば、あのミシュランで1つ星を取った表参道のイタリアンレストランの名物パスタが自宅で簡単に、といった感じでしょう。

私たちの生活でもっとも身近な存在であるコンビニには、これに該当する商品が以前から販売されています。「即席ラーメン」です。福岡の行列ができるA店のラーメン!といった商品をコンビニなどで見たことがあると思います。

もちろん、これを反対にして考えることもできます。

家で食べていたような、たとえば「おふくろの味」。これを外食にしてみる。

すると、実はすでにビジネスとして存在しています。

かっぽうぎ

対立概念は、もちろんこれだけに留まりません。

「エキナカ」なども駅の外と中。この着想で生まれたビジネスモデルです。

ぜひ、身の回りを中心に対立概念がないか、あれば順番を変えるとどうなるかを考えてみてください。

・第2の軸「シーケンシャル」

シーケンシャルとは、順番に並んでいることをいいます。

例えば、上・中・下、高・中・低、1、2、3などです。

この並びを変えてみる。これが第2の軸です。

例えば、「価格」。価格の順番となると、そう、高価格?低価格ですね。

高価格のものを低価格に、低価格のものを中価格に、といったことを考えてみるのです。

ビジネスの要素は、もちろん価格だけではありません。

「時間」などもそうですよね。長時間~短時間。

長時間かかっていたサービスで、時間の短縮を図ってみる。

もちろん、その逆もあります。あえて、「遅く」してみるのです。

「時間は短いほうがいいんじゃ……」

いえいえ。ちゃんと存在します。短時間のものを長時間に切り替えたビジネスが。

例えば、JR九州やJR東日本が提供するクルーズトレインです。

JR東日本「四季島」

2泊3日で、スイートを利用すると、なんと一人70万円!!

もちろん、飛行機を使ったほうが余裕で早く回れます。が、そこをあえて、長時間かけて列車の旅として提供。贅沢な時間をゆっくりと過ごしたい。何かと慌ただしい現代ならではのニーズがあるわけです。

・第3の軸「ビジネスプロセス」

ビジネスプロセスは2つ存在します。

需要と供給、つまり「提供側=企業」と「利用側=顧客」のプロセスです。

企業側のプロセスで有名なものが「バリューチェーン」。競争戦略の第一人者であるマイケル・E・ポーターが提唱した理論で、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考え方です。

このままだとわかりづらいので、例を挙げましょう。

例えば、倉庫業です。

(1)倉庫建設→(2)営業活動→(3)契約締結→(4)保管業務→(5)付帯業務

こんな感じでしょうか。

さて、もう一方の顧客側のプロセスは、有名どころならAIDMA(アイドマ)。

Attention(注意、認知)→ Interest(興味、関心)→ Desire(欲求)→ Motive(動機)→ Action(行動)

という、マーケティングの教科書に必ず載っている考え方です。

要は、顧客が商品やサービスの購入までに至るプロセスのことです。

この2つは、それぞれビジネスにおける「提供側」と「利用側」のそれぞれの動きを表しています。このそれぞれの流れのどこかを変えられないか。これが第3の軸です。

単純に流れを入れ替えることも可能ですし、流れのどこかを取り出すことも考えられます。例えば、先ほどの倉庫業の場合、(5)の付帯業務に特化したサービスなどが考えられるでしょう。つまり、すでに倉庫業を行っている他社に対して、顧客の荷物が保管された倉庫のセキュリティサービスを提供する、ピッキング機能だけを提供するといったことが考えられるのです。

・第4の軸「カテゴリー」

最後、4つめの軸は「カテゴリー」。

地域、産業、業態、種類などといったカテゴリーを、今属しているものとは別のものに置き換えてみるということです。

新しいビジネスを考えるとき、同じ業態、つまり同一カテゴリー内での発想をしがちです。

そこをあえて、別のカテゴリーに当てはめてみるのです。これが第4の軸です。

例えば、「地域」。北海道にしか売られていない商品を東京に持ってくる。東南アジアで流行っているものを日本に持ち込む、と考えてみる。

「産業」のカテゴリーなら、自動車産業で使われている販売手法をホテル産業に持ちこんでみる、といった感じです。

このときポイントになるのが、「性質」です。

自動車会社で使われている方法を、他へ転用できないかと考えるとき、それぞれの「性質」を押さえておきましょう。

例えば「建設業」や「システム開発業」は、人材集約型と呼ばれ、とにかく人を集めないとビジネスが回らないといった性質を持ち、百貨店などは、不動産業と似ていて、場所を貸して「賃料」を得る資本集約型の性質を持っています。

この「性質」を確認した上で、果たして当てはまるのかどうか、確認が欠かせません。

以上、4つの軸をご紹介してきましたが、それぞれの軸は単体ではなく掛け合わせることも可能です。ビジネスプロセスを変え、別の産業のやり方を持ち込んでみる、などです。

日頃利用しているサービスや、上場を果たしている企業のビジネスモデルを4つの軸に当てはめ、どこかチェンジできないか、考えてみてください。

「いいアイデアを思いつかなければ!」と力まないでくださいね。

むしろ、「ゲーム」をやるように肩の力を抜いて、リラックスしながら気軽な気分で取り組んでください。

自分でも驚くような斬新なビジネスモデルに巡り会えるはずです。

儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50
酒井威津善(さかい・つよし)
フィナンシャル・ノート代表。ビジネスモデルアナリスト。東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステム提案、企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFOを歴任。2013年より独立。様々な業界の財務モデルに基づく実践型ビジネスモデル構築ツール「BM Schema(ビジネスモデルスキーマ)」を用いて、所員3名の税理士法人、年商1億2千万円の小売業、年商42億円の住宅メーカー向けに事業基盤再構築、新ビジネスモデル構築を実施し、キャッシュ・フローを前年比110%以上に改善するなどに成功。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます