前日の海外時間には、イタリア連立政権が来年度予算に関し1.9%の赤字幅で妥結と報じたことでユーロ高が進んだものの、プラートECB理事が前日のドラギECB総裁のインフレ見通しに対し「目新しい発言ではない」と述べるとともに「物価には依然として緩和策が必要」と発言し、ユーロの反発が抑えられました。ポンドについては、メイ英首相は改めて2回目の国民投票を否定するとともに、「悪い合意のもとでのEU離脱より、合意なしでの離脱の方が望ましいとこれまでも述べてきた」と発言しましたが、目新しい材料はなく動きは限定的となりました。

ドル円については、米・9月CB消費者信頼感指数が非常に強い数字を弾き出しましたが、本日のFOMC、日米首脳会談待ちの姿勢が強く、マーケットは様子見姿勢を強めました。113円が上値となっているドル円ですが、FOMC後の声明、日米首脳会談後のトランプ大統領の記者会見によって、このラインを上抜ける、もしくは絶対的なレジスタンスとなるのかに注目が集まりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、注目材料が2つ予定されており、まずはFOMC、そして現地時間26日(日本時間27日未明)に開催される日米首脳会談が注目材料として考えられます。FOMCについては、FF金利誘導目標の2.00-2.25%への利上げはほぼ確実視されており、注目のポイントは声明文において経済情勢の判断を「強い」という表現にするのかどうかという点にありそうです。12月のFOMCでの利上げの可能性がマーケットの重要指標となることから、経済情勢が「強い」と判断されなければ、矛先がずれ米中貿易戦争への懸念がクローズアップされそうです。また、12月の利上げの可能性が低いとなると、一旦は材料出尽くしに加え、株価下落によりドル円を中心としたクロス円は上値が重くなりそうです。ただ、インフレ率は目標の2.0%に到達しており、失業率は3.9%まで低下していることで、FRBの責務は既に達成しており、FOMC声明文の「金融政策は緩和的」という単語が削除されれば、一気にドル買いが強まる可能性はありそうです。

日米首脳会談については、終了後の17時(日本時間27日午前6時)にトランプ大統領が会見を行う予定となっています。第2回日米通商協議(FFR)の終了後、茂木経財相は「貿易促進の方策や枠組みについて、基本的な認識は一致した。詳細は日米首脳会談で合意した上で発表したい」と述べており、特段目新しい材料は出てこないものと思われますが、米韓自由貿易協定、米墨(メキシコ)貿易協定においても米国の条件を呑む結果になっていることから、状況次第ではリスク回避の動きが強まるかもしれません。特に、日本時間早朝6時付近での記者会見となることから、マーケットの流動性が薄い時間であることも、注意したい点です。

113.20円での逆指値は維持、112.80円のショートポジションは保持

113円では上値の重さが十分確認されるものの、下値も底堅くドル円のショートポジションの扱いが難しくなってきました。本日は夜間から翌早朝にかけてイベントが控えていることも動意の薄さに繋がりそうです。ただ、テクニカル的に上離れしているわけでもないので、戦略的にはこのまま112.80円のショートポジションは維持します。

海外時間からの流れ

米・9月CB消費者信頼感指数が138.4と予想の132.1を上回り、2000年9月以来18年ぶりの高水準となったことを受けドル買いが強まりましたが、本日にビックイベントを控えていること、さらには113円がレジスタンスとして意識されていることもあり、ドル円の動きは非常に小さなものになりました。また、トランプ大統領は国連総会で一般討論演説に臨み、「貿易不均衡は容認できない」と強調し対中強硬姿勢を今後も譲らない方針を鮮明にしましたが、マーケットの反応は限定的となりました。

ユーロドルについては、イタリア予算案合意観測を背景にユーロ買い・ドル売りが優勢となり一時1.17922ドルを示現しましたが、前日の高値がレジスタンスとして意識され、徐々に上値が重くなりました。本日以降に予定されている欧米通商協議が予備的交渉に過ぎないことや引き続き明日27日までに公表予定のイタリアの2019年度予算案を控えて伸び悩む展開が予想されます。

今日の予定

本日の注目経済指標としては、米・FOMC政策金利発表、パウエル・米FRB議長定例会見となります。また、日米首脳会談も予定されており、終了後にはトランプ大統領の記者会見も予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。