昨日の海外時間では、アルバイラク財務相が強力なインフレ抑制策を公表とのことで市場の注目を集めていましたが、結果としては「高金利のローンに対して銀行セクターは10%の割引をする」「野菜と果物の価格を下げる策をとる」というものでした。通常時であれば、当然のように失望売りに繋がるのですが、あまりにも突拍子のない策にマーケットは呆然としてしまい、従来のトルコリラ売りには繋がりませんでした。ただ、野菜と果物の価格を下げる策として大手スーパーなどに電話で協力を要請しているなどの報道があった時はさすがにトルコリラ売りが入りましたが、18.50円から18.30円付近に下落する限定的な動きとなりました。

徐々に上値が重くなってきているドル円については、米10年債利回りは時間外取引で一時3.2594%前後と2011年5月上旬以来7年5カ月ぶりの高さを付けたものの、通常取引では低下したためドル売りが優勢となりました。また、トランプ米政権のヘイリー国連大使が年末に辞任するとの発表もドル売りを誘いました。トランプ米大統領が「インフレの問題はない」「FRBがやっていることは好きではない」「金利についてそんなに急ぐ必要はないと考える」などと述べるとドル円は112.874円まで下落し、前営業日の安値を更新しました。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今週に関しては、引き続き金曜のNY時間に発表される可能性が高い米財務省半期為替報告書に注目が集まりそうですが、同じ12日にはトルコが拘束しているブランソン牧師の解放を巡る裁判が予定され、NYクローズ間際が引けの時間になりそうですが、格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付けを公表します。南アフリカについては、ネネ南ア財務相が辞任したことが明らかになったものの、事前に財務相辞任観測があっただけに反応は限定的となりました。すぐさまラマポーザ南アフリカ大統領は後任にムボウェニ氏を指名したこともあり、マーケットへの影響はそれほど悪いものとは捉えられていません。格付けへの影響もないものと考えられます。

ポンドについては、「EUと英国のブレグジット交渉の進展について月曜日までに離脱条件が決まる可能性」との一部報道を受けてポンド買いが優勢となっています。ポンドドルでは1.3050ドル付近から1.3150ドル付近まで上昇し、本日の東京時間では1.3160ドル台まで回復しています。ポンド同様にユーロに関してもイタリア株が持ち直してきたこともあり1.1430ドル台から1.1510ドル台まで回復していますが、サボナ・イタリア・欧州問題担当相が「スプレッドが拡大すれば伊予算概要を変更するべき」と発言しているようにユーロの問題についてはまだまだ根が深いこともあり、ユーロポンドでの動きが強まればポンド買いユーロ売りという流れになってくるかもしれません。

ユーロドル1.15ドル回復も、ここは戻り売りポイントとして意識されそうだ

1.15ドル半ばでの売り戦略が理想的ではありましたが、ユーロドル1.1510台で軽めのショート、1.1550ドル付近までは継続的に軽めのショートを作っていきたいと思います。1.1430ドル付近で前日は反発していることを考えると、このラインが目先のサポートとして意識される可能性があるため、1.1430台での利食いを想定しています。損切りについては、1.1580ドル上抜けを考えています。

海外時間からの流れ

ユーロドルについては、1.15ドル台を回復してきてはいるものの、コンテ伊首相やトリア伊財務相が相次いで先だって決定した2019年予算案を固持する構えを見せたことを嫌気しイタリア株、国債が売られると欧州株全般に売りが波及、ユーロ売りが強まりついには8月以来の水準となる1.14326ドルまで安値を更新する展開となりました。まだまだユーロの上値は意識されている地合いになっています。ポンドのブレグジット関連の報道がややポジティブになってきていることもあり、ユーロのネガティブさが継続するようであれば、再度ユーロ売りが再熱する可能性がありそうです。

今日の予定

本日は、欧州時間には英・8月鉱工業生産、英・統計局8月度GDP月次推計発表、NY時間には米・9月生産者物価指数の発表が予定されています。また、要人発言としてエバンズ・シカゴ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。