目次

  1. 消費革命を牽引する本土ECトップ企業
    1. 最初の事業は得意の英語を活かしたB2Bビジネス
    2. 当初のネットショッピングに対する評価は低かった
    3. B2B、C2C、B2C、決済金融サービスを中核に成長を加速
    4. 売上高、純利益の推移
  2. 2018年4~6月期の業績は61%増収だが、ストックオプション費用急増で59%減益
    1. 越境ECや生鮮の実店舗販売事業、百貨店など好調
    2. クラウド部門の売上増 AI、ビッグデータなどの需要が伸びる
  3. 同社のEC業態開発が消費革命を先導
    1. 今後の同社の成長性は?
    2. アリババは「小売革命」をけん引する
  4. アメリカ市場で時価総額トップ5入り
    1. テンバガーは難しいが、依然として成長性が見込めそう

消費革命を牽引する本土ECトップ企業

最初の事業は得意の英語を活かしたB2Bビジネス

アリババ・グループ・ホールディング(BABA、ニューヨーク証券取引所)は、中国最大のEC取引会社。1964年9月生まれで元英語教師の馬雲会長が1999年9月、浙江省杭州で設立したアリババネットワークテクノロジー有限公司が前身。18名の社員を雇っての開業であった。

最初に始めた事業は、得意の英語を生かしたB2Bビジネスである。インターネット上でのグローバルな卸売・仕入プラットフォームの運営で、英文によるものである。その後、国内向けに中文で作ったものが、現在の「1688.com」に繋がっている。

当初のネットショッピングに対する評価は低かった

2003年5月、個人消費者向けのEC取引プラットフォームである淘宝の運営を始めた。消費者対消費者(C2C)の取引であるため、商品、売り方の信頼性を確保するのが難しい。中国では、詐欺や、偽物を買わされるリスクが高い。当初、消費者のネットショッピングに対する評価は低く、C2Cは普及しないと思われた。消費者のモラルの低さから、クレジットカードの普及も遅れていた。

そうした問題を解決するために同社は2003年10月、支付宝によるサービスを開始。第三者として取引を仲介、取引成立後、支付宝はまず、買い手から資金を受け取る。買い手は商品が届き、瑕疵がないか確認し支付宝に連絡、その上で、支付宝は売り手に資金を送金し、取引を完了させる。信用提供を行ったことで、安全性が確保されたのである。消費者は買い物をする前に、銀行口座から自分の支付宝銭包(口座)に資金を入金しておく必要がある。その点では、クレジットカードというよりも、銀行のデビット・カードに近い。

一般に、中国人のビジネスマインドは高く、消費者の価格志向は強い。店舗で売られるよりも安い商品を出品さえすれば、強い需要があるので売れる。単純なC2Cから、オークション、共同購入、企業による販売経路としての利用、並行輸入などいろいろな形態で商品が出品されるようになり、総合小売サイトとなっていった。売り手が多様化する中で、零細卸売業者のような出品者が増えていった。