人生100年時代、老後に備えてなるべく資金を蓄えたいものです。しかし、現役世代は住宅ローンや子育て費用などの負債を抱えていることも多く、なかなか貯蓄や投資まで手が回りません。アメリカですら、「35歳までに年収の2倍のお金を貯蓄しておくべき」という金融機関の提言が大きな反響を呼んでいるほどです。一般的に「貯蓄好き」といわれる日本人ですが、何歳までにどれだけ貯めれば「人生安泰」といえるのでしょうか?

2人以上世帯の平均貯蓄額1,812万円は多い? 少ない?

「人生安泰」の鍵
(画像=PIXTA)

そのヒントになるのが、総務省が全国約9,000世帯を対象に毎月行っている「家計調査」です。2017年の調査によると、2人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1,812万円で、ちょうど半数が位置する中央値は1,074万円になっています。

一方、負債の平均値は517万円ですが、2人以上の世帯で負債を抱えている世帯は37.5%と約4割に過ぎません。その理由は、2人以上世帯の高齢化が進み、高齢者世帯の大半では負債の9割を占める土地・住宅ローンをすでに払い終えているからです。

とはいえ、負債を抱えている世帯だけを見ると、負債の平均値は1,379万円に跳ね上がります。40歳未満の家計は平均貯蓄602万円に対して、住宅ローンなどの平均負債は1,123万円に達しており、約500万円の負債超過になっています。

40代までの人生前半戦は住宅ローンを返すためにある?

しかし、40歳~49歳になると、貯蓄現在高1,074万円に対して負債現在高は1,055万円となり貯蓄超過に変わります。さらに50~59歳になると、貯蓄1,699万円に対して負債は617万円と劇的に負債の比率は減ります。そして、60歳~69歳になると貯蓄現在高の平均値は2,382万円に達し、負債は205万円までに減少します。

このように年代別の貯蓄と負債の推移を見ると、人生100年の半ばといえる50歳を越えて、はじめて住宅ローンなどの負債を貯蓄が上回る状態になるのが、日本人の「平均値」といえるのです。

そして、60代に入り、退職金などまとまった資金が入ることで、多くの平均的な日本人は2,000万円以上の純貯蓄を築き上げ、老後生活に入ります。65歳を過ぎれば年金収入も得られることを考えれば、60歳以上で2,000万円以上の純貯蓄に加えて、家賃のかからない持ち家があれば、金銭面で不自由のない老後を過ごせる可能性が高くなりそうです。

負債と貯蓄の大逆転が起こる50代にどれだけ貯められるか?

負債超過から貯蓄超過へ、人生が大逆転するのは50歳になってからです。幸せな老後を過ごすために重要なのは、定年退職を控えた50代のうちにあともう一歩、どれだけお金を貯められるか。余裕資金があれは、株や投資信託など、多少リスクを負っても資産を増やせる投資にも挑戦したいところです。

晩婚化で子育てを終えるのが60代という人も増えています。また、かつてほど、高額な退職金がもらえて、60代で一発逆転が狙える状況でもありません。そう考えると住宅ローンの完済だけでなく、若いうちから投資をいかに賢く活用するかが、負債と貯蓄の額を早く逆転させるためのポイントになるのです。

(提供:フィデリティ投信