資産運用をはじめようとさまざまな金融商品を見ていると、金利はどうか、運用実績はどうだったかなど、どうしても利益に関係する情報に目がいってしまいます。しかし、こういったリターンだけを見て運用資産を決めるのはおすすめできません。ここでは金融商品の判断基準について紹介しましょう。

金融商品の3つの判断基準とは

金融商品の判断基準
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

金融商品の性質を判断するためには、「収益性」「安全性」「流動性」の3つの要素を知っておく必要があります。

まず「収益性」ですが、これは将来どれくらいのリターンを期待できるかを表す要素です。今の時代であれば預貯金の金利はとても低く、10年間保有してもお金はほとんど増えないので、「収益性は低い」といわざるをえません。逆に新興国などの商品は、場合によっては将来、大きなリターンをもたらしてくれるので、「収益性が高い」といえます。

次に「安全性」ですが、これは投資元本がどの程度、保証されているかを示す要素です。預貯金であれば、預金保険の対象となっている預金であれば、元本1,000万円とその利子は保護されますし、日本国の国債は日本が破綻しない限り元本が保証されます。これらは安全性が高い商品でしょう。

逆に、投資信託などは多少のリスクがあるので安全性という面では預貯金よりも下回り、同じ国で発行された社債であっても、発行体(社債を発行している国や企業)の経営状態によってその安全性は変わってきます。

最後に大切な要素として「流動性(換金性)」があります。これは、その商品がどれだけ現金化しやすいかを表す要素です。普通預金や通常貯金などはすぐに現金化できるので、流動性は非常に高いといえます。

しかし、金融商品の中には、何年以内に解約すると手数料を支払わなければならない、現金化するまでに日数がかかる、ある年齢になるまで引き出せないものもあります。

3つの要素すべてを満たす商品はない

「収益性」「安全性」「換金性」の3つの要素を紹介しましたが、これらは両立ができるものと難しいものがあります。具体的には「収益性」と「流動性」、「収益性」と「安全性」は両立が難しい要素です。

流動性が高い預貯金は収益性が高くなく、預貯金より金利がいい定期の商品を選ぶと数年間は現金化しづらくなります。また、投資信託などは高い収益性が期待できますが、元本が減る可能性があるため安全性は低くなります。

一方、「流動性」と「安全性」は両立が可能な組み合わせです。預貯金はいつでも現金化できますし、元本が減る心配もありません。ただし、元本確保型の保険商品などは安全性は高いものの、流動性は高くない商品もあります。

それぞれの要素のバランスを考えよう

資産運用を考える場合、この3つの要素をバランス良く満たすように商品を組み合わせましょう。

収益性ばかりに目を向けて商品を選ぶと、将来大きく損をしてしまう可能性もあります。また、流動性が低い商品ばかり選ぶと、急にお金が必要になったときに現金化できなかったと後悔することになるかもしれません。

かといって、安全性や流動性の高い金融商品ばかり持っていても資産は増えませんし、何より将来において物価が上がりインフレになったときに、逆に資産価値が目減りしてしまう恐れもあります。「少しでも利率の良いものを」や「絶対に損をするのはイヤ」といった一つの要素だけを気にする商品選びが、実はおすすめできないということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

預貯金より金利がいいということで商品をすすめられることもありますが、その商品の流動性や安全性も考える必要があります。商品選びは、ある要素にだけ注目するのではなく、ここで紹介した3つの要素をバランス良く満たす構成で考えることが大切です。

(提供:フィデリティ投信