これまで、資産運用というと「お金を持っている人のもの」と考えられがちでしたが、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといったコツコツ投資するための非課税制度が注目されるようになってきて、若い人にも資産形成が広がりつつあります。

こうしたなか、若い人たちの資産形成に関する教育がこれまで以上に大切になっています。しかし、その金融教育はなかなか進んでいません。学校教育とか、社会人教育の一環として若者の投資教育を指摘する声も多いのですが、アンケート調査によると、意外にも家族との会話が大切だということがわかってきました。日本では親世代の金融リテラシーも高いとはいえませんが、人口動態を考えると若い世代ほど資産形成は待ったなしの状況ですから、親世代にとっては放っておけない状況です。

ここからは、フィデリティ退職・投資教育研究所のアンケート調査をもとに、ミレニアルズの説明や金融・投資に対する考え方を見ていきましょう。

金融機関が注目すべき「ミレニアルズ」の概要

ミレニアルズへの金融教育
(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)

ミレニアルズ(ミレニアル世代)という言葉をご存じですか。1980年代から2000年前後に生まれた世代のことで、21世紀に入って社会人になった人たちです。小さいころからパソコンやスマートフォンなど、デジタルデバイスに囲まれた生活を送っているため、先行世代とは価値観が異なると考えられています。アメリカでは労働者の35%を占めるといわれ、社会や経済に大きな影響を与えることが推測されます。

日本でも、10代から30代にあたる世代の影響力はこれからますます増えていくと考えられます。金融業界も例外ではなく、顧客層が高齢者に偏っているため、将来の主要顧客となるミレニアルズとの関係構築は大きな課題です。

2016年にスタートした「ジュニアNISA」や2017年に加入可能範囲が拡大した「個人型確定拠出年金(iDeCo)」、2018年にスタートした「つみたてNISA」など、金融庁の肝いりでこうした若い人たちをターゲットとした取り組みが進められているのも、そうした背景からです。

ミレニアルズの求める「信頼できる情報」

現在は、スマホを中心に情報の津波といわれるほど多くの情報が氾濫しています。そうしたなかで育ってきたミレニアルズは、かえってインターネット上の情報でも、オフラインのメディア情報でもなかなか信頼できないといわれています。

2014年にフィデリティ退職・投資教育研究所が実施した「勤労者3万人アンケート」によると、20代はFacebookやTwitterといったSNSをお金の情報の収集先としてあげているのは、ずか6.7%でした。もちろん他の世代よりも高いのですが、「若者はお金の情報の入手先としてSNSを使っている」というほどの状況ではありません。金融機関のWebサイトを使っていると回答した20代は18.5%にも達しているのです。

親世代こそ金融知識が重要

このアンケート調査のなかで、お金の情報の収集先として注目されるのは家族との会話です。家族との会話をお金の情報の収集先としてあげた人の比率は、20代で11.5%、30代で8.9%とそれぞれの世代のSNSの比率を大幅に上回っています。

確かにWebサイトやTV番組も有効な情報源ではありますが、実際に金融機関の顧客である親世代が、ミレニアルズに資産運用やお金について教えることも有効でしょう。実際にどんな資産運用を行っているのか、どのように意思決定しているのかなど、生の声を伝えることはミレニアルズの金融リテラシーを高めることにつながるはずです。

将来のためにも、ミレニアルズが金融リテラシーを身につけて適切な資産運用ができるようにアプローチするべきでしょう。そのためには、まずは親世代も金融リテラシーを高め、ミレニアルズの模範となることが必要です。

(提供:フィデリティ投信