「人生100年時代」といわれている現代。リタイア後の生活をどう送るか、そのための資金はどう用意するか、それは多くの人にとって大きな問題です。そこで大切なのが、資金に余裕ができはじめる50代からの資産形成です。

このコラムでは子どもの独立が見えはじめた50代を中心に、資産形成の考え方や具体的な運用方法を紹介します。

50代は貯蓄のチャンス

資産形成
(画像=Shutterstock)

人生には、お金を使う時期と貯める時期があるといわれています。使う時期とは、結婚や子育てに忙しい20代から40代までの時期のこと。そして貯める時期とは、子どもが独立、もしくは独立が見えはじめて学費などの家計負担が軽くなる50代以降のことを一般的には指します。

しかし、貯めやすいとはいっても、一方で50代は自分自身の医療費や親の介護に備える時期でもあります。また、年金の減額や支払時期の延長などが取り沙汰される昨今では、退職(リタイア)後に向かって、しっかりと貯蓄をしなければならない大切な時期でもあります。

老後に必要な資金はいくら?

ではこれから、50代で貯めるべき金額を算出してみましょう。

平均的なサラリーマン家庭であれば、公的年金で老後の生活費をある程度カバーできるはずなので、不足分を準備すればいいことになります。

フィデリティ退職・投資教育研究所のアンケート調査では、65歳以降、公的年金以外で必要な資金は年135万円〜229万円、65歳以降30年間の総額で4,050万円〜6,870万円との回答が寄せられています。

退職後も、継続的な収入として公的年金以外の資金を確保する方法としては、企業年金や私的な年金、勤労収入、貯蓄(退職金)の切り崩し、資産運用などがあげられます。退職金に関しては、人事院の調査(平成29年4月)によると、勤続35年の平均額は1,000人以上の民間企業規で2,952.6万円、1,000人未満の民間企業では2,135万円となっています。

つまり日本で多くを占める1,000人未満企業の場合だと、仮に退職金をすべて老後の生活費にあてたとしても、2,000万円〜4,000万円が不足することになるわけです。

しかし退職金は、多くの場合、自宅ローンの繰り上げ完済やリフォーム代などに消えてしまいます。また、自身の病気や親の介護などに備える資金も必要ですし、晩婚化の進む昨今では子どもの教育費にあてることもあるかもしれません。

退職後も転職して現金収入を得るという方法もありますが、残念ながら日本において65歳以上の雇用状況は賃金面も含めて決して恵まれているとはいい難いのが現状です。また、企業年金は一部の企業に限られていますし、貯蓄(退職金)の切り崩しは将来の生活に不安を生みます。

資産運用のみでゆりとある老後を過ごすためには、50代から退職時までに必要総額3,000万円〜4,000万円の半分に相当する1,500〜3,000万円程度の金額は、運用原資として貯めておく必要があるといえそうです。

50代からの資産運用 留意すべき3つのポイント

50代からの資産運用のための金融商品選びに際して、留意すべきポイントを3点あげましょう。

1. 安定性がある

50代からの資金運用は、今後のための大切な資産ですから、若いときのように思い切った、つまりリスクのある投資は避けたほうが賢明です。

2. インフレにある程度、強い

預貯金などの固定金利商品は、インフレになると実質的に目減りする危険性があります。このため選ぶ金融商品にはある程度、インフレへの強さが求められます。

3. 換金性が(やや)高い

50代から60代は病気や事故、親の死別など、急な出費が発生する可能性があります。そのため、換金性が比較的高い金融商品を選ぶことも大切です。

おすすめの運用方法―さまざま投資信託を組み合わせる

前述したポイントを考えると、50代からの資金運用には投資信託が適しているといえそうです。投資信託なら、公社債や大手企業の株式を中心とした、安定性が特色の商品が数多く揃っているからです。

また、世の中がインフレとなっても、株価は景気と同時に上がるので高い利回りや売買益が期待できます。さらに投資信託は株式と同様に換金性も高いので、急な出費が発生したときでも安心といえるでしょう。

退職後のための資金運用は、公社債や安定的な投資信託を中心に、必要に応じて急成長が期待される株式を組み込んだ投資信託や外貨預金など組み合わせるのがベターといえるでしょう。

晩婚化や高齢化により、多くの人にとって老後の生活は人生の1/3を占める期間になろうとしています。その時期をゆとりと豊かさを感じながら過ごすためにも、退職金や公的年金だけでなく、50代から資産形成に本気で取り組みたいものです。

(提供:フィデリティ投信