相続のさまざまな手続きの中でも、不動産の名義変更は必要な書類が多く、手続きが煩雑です。それだけに、後回しにしたいと考える方もいるでしょう。また、過去に不動産を相続してそのままになっている方もいるのではないでしょうか。ここでは、名義変更をしないとどんな問題が起こりやすいか、手続きの方法などを解説します。

不動産の名義変更を後回しにすると将来の売却が難しくなる

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(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

不動産を相続した際は、「相続登記(所有権移転登記)」の手続きをしておくのが理想です。相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人に変更することです。ちなみに、この手続きには期限がありません。そのため、「相続登記の費用がもったいない」「面倒だ」といった理由から放置されるケースもあります。

しかし、名義変更をしないままでいると、後々名義変更ができなくなる、あるいはしにくくなるケースがあります。

なぜなら、相続登記をするには、相続人全員の同意や印鑑登録証明書(使用した印鑑が「実印」であることを証明する証書)をもらう必要があるからです。そして、相続人の誰か(ここでは便宜上「X」とします。)が亡くなれば、その相続人(X)の相続人(Xの妻やXの子など)全員の同意や印鑑登録証明書が必要になります。さらに二代も三代も経つと対象者が膨大になり、相続登記が難しくなります。

もし、名義変更ができなければ、売却したり、担保を設定したりすることが困難になります。こういった事態を避けたい方は、「相続登記」を行っておいた方がいいかもしれません。

不動産の名義変更をするにはどんな書類が必要?

遺産分割協議によって、相続登記する場合は、下記の表にまとめた書類が必要になります。一覧表で見ているだけでは実感できませんが、これらをすべて揃えると、かなり厚い書類の束になります。

相続登記に必要な書類一覧(遺産分割協議の場合)
被相続人に関する書類
 1.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
 2.被相続人の除籍謄本など
相続人に関する書類
 1.相続人の戸籍謄本
 2.遺産分割協議書
 3.申請人以外の相続人の印鑑証明書
 4.相続人全員の住民票の写し
その他
 1.登記申請書
 2.相続する不動産の登記簿謄本など

これらの書類がひとつでも足りないと、相続移転はできません。また、上記の書類は、あくまでも基本的なものです。これら以外にも司法書士などの専門家に業務を依頼する場合は委任状が必要になります。また被相続人が遺言書を作成していた場合は遺言書と、遺言執行者の指定がある場合は遺言執行者の印鑑証明書などが必要になります。

状況によって提出する書類が変わってくる

ちなみに先ほど紹介したのは、遺産分割協議によって名義変更をした場合に必要な書類です。この他、法定相続分通りに相続した場合や、贈与を進める上での相続登記などでは、必要な書類が変わってきます。

たとえば、法定相続分通りに相続した時は、遺産分割協議書がいらない代わりに、相続人全員の委任状を提出するといった具合です。その内容について詳しく知りたい方は、下記のwebサイトをご参照ください。
参照:名古屋法務局「登記相談のご案内」

尚、相続登記は法務局で行います。不動産の名義変更は煩雑なため、司法書士などの専門家に代理手続きしてもらうのが一般的です。一方で、相続登記は必ずしも専門家が行わなければならないという規定があるわけではありません。煩雑な手続きを苦にしない方や、こういった分野の知識がある方は、ご自身で行うという選択もあり得るでしょう。

相続登記は専門家に代理手続きさえしてもらえば、それほど相続人の負担になりません。しかし、一度タイミングを逃してしまうと、権利者が増えたり、権利者の所在が不明になったりするなどして相続登記できない可能性が出てきます。相続が発生したら、速やかに手続きに取りかかることが大切です。(提供:Wealth Lounge


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