家計の改善をしようと思った場合、家計簿をつけてその傾向を知ることはとても大切です。しかし、いざ家計簿を見返してみても、月によって支出金額にばらつきがあり、毎月どのぐらいの予算で生活しているのか、結局把握できなかったという経験はないでしょうか。

これは生活に必要な支出と、日常的には行われない活動に対する支出(資本的支出)を一緒にしてしまっていることが大きな原因です。ここからは、資本的支出として別に勘定するべき項目と、その扱いについてご紹介します。

大きな自己投資を教養費と一緒にしない

家計管理講座
(画像=Shutterstock)

家計の支出は、大きく分けて3つあります。一つ目は衣・食・住など生活するのに必要な「固定支出」。2つ目は娯楽やレジャー、趣味・教養など生活を豊かにするための「自由裁量支出」。そして3つ目が長い時間をかけて家計に利益をもたらす「資本的支出」です。

以上のうち、資本的支出は、数年もしくは10年に1回という頻度でかかり、金額が大きいのが特徴です。たとえば、セミナーや資格取得のための各種学校に使う自己投資がそれにあたるでしょう。これは、今の自分の能力や技術を上げて、将来自分の収入を増やすことを目的とした支出となります。

このため、上記のような一時的にまとまった支出を毎月定期的にかかる子どもの教育費や、新聞・書籍などの教養費と同じ扱いにしてしまうと、ある月は教養費が非常に高くなったり、別の月はそんなにかからなかったりして傾向がつかみづらくなってしまうのです。

家電や家具は「日用品」として扱わない

また、資本的支出として、一度買うと用が足りる「家具」や、何年かに一度買い替える「家電」もあります。たとえば、5年以上前に買ったパソコンの動作が悪くなったとします。パソコンを買い替えることによって仕事の効率が上がったり、時間的に余裕ができたりして、その結果、収入アップが見込める場合は、この買い替えは資本的支出といえるでしょう。

さらに、15年使った冷蔵庫を買い替えることによって、電気代が安くなり、安くなった電気代の10年間の累計額が新しい冷蔵庫の額より大きくなるようであれば、それも資本的支出です。

日用品と混同しやすいのですが、これらのものを日用品として計上してしまうと、その年の家計のパフォーマンスを正しく分析できなくなります。

たまに着る衣類などの扱いも注意が必要

Tシャツやジーンズ、ニットや下着などを購入する費用は「被服費」といわれますが、滅多に使わないタキシードや燕尾服、5年は使うであろうコートや長期間使用するスーツなどは、資本的支出に含めたほうがいい項目です。

これらは高額な場合が多いため、月々の費用に計上してしまうと、被服費に大きなばらつきが起こってしまいます。どの衣類が資本的支出か判断するのは難しいものですが、5年は買い替えないもの、また計画的に資金を貯めて買うものなどは、資本的支出として計上しましょう。

今回紹介したように、資本的支出は、日々の支出とは別のものとして扱う必要があります。なぜなら、実は家計の傾向の把握は、資本的支出のために行っているという見方もできるからです。つまり、家計の把握の目的は、それによって月々の貯蓄額を決め、貯まったお金を資本的支出にまわし、収入を増やすことによってさらに貯蓄額を増やすという正のスパイラルによって、家計をどんどん良くすることだからです。

家計の傾向がわからない人は、ぜひこの資本的支出という考え方を意識して、家計の管理に役立ててみるといいでしょう。

(提供:フィデリティ投信