経済的に豊かな印象のある日本ですが、働き盛りの30~40代には、睡眠不足や栄養不足が見られるといいます。仕事の能率を上げるためには適度な休息と栄養が必要です。なぜ働き盛りの日本人に睡眠不足と栄養不足が広がっているのでしょうか。
日本人は睡眠不足
一般的に適切な睡眠時間は7時間ほどといわれています。ところが厚生労働省が2018年9月に発表した「平成29年国民健康・栄養調査」の結果によると、1日の平均睡眠時間は、6時間以上7時間未満の人の割合が最も高く男性で35.0%、女性で33.4%でした。一方、睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性36.1%、女性42.1%でその中でも5時間未満の人の割合は男性7.6%、女性は9.2%です。
また男女とも特に40代が睡眠不足を感じており、約半数が睡眠時間は6時間未満であると回答しているのです。睡眠による休養が十分にとれていないと感じている人も、2009年には19.4%だったのに対し、2017年には21.9%わずか8年の間に2%以上増加しています。
女性は栄養不足になりがち
また同調査によれば、女性は栄養不足になりがちだとわかります。日本は飽食の国ですが、なぜ栄養不足になるのでしょうか。エネルギーを最も摂取しているのは60代で男性が2,218キロカロリー、女性は1,794キロカロリーでした。それに比べ、30代の摂取カロリーは男性で2,134キロカロリー、女性は1,685キロカロリーと明らかに低い数字が出ています。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準では、30~49歳の推定エネルギー必要量は男性で2,250~3,050キロカロリー、女性は1,700~2,300キロカロリーです。このことからもミレニアル世代の摂取カロリー不足が分かります。
なぜ睡眠と栄養が不足するのか
過労死が問題となり、働き過ぎを是正する動きも高まっていますが、それでもまだまだ働き過ぎている人は多くいます。厚生労働省が2018年2月に発表した「毎月勤労統計調査」では、一般労働者の所定外労働時間は2017年で平均14.6時間です。しかし業種によっては恒常的に長時間労働を行っていることが分かります。また、総務省の2017年「労働力調査」によると、435万人が週60時間を超える労働をしているという結果です。
残業時間が長くなればそれだけ帰宅する時間も遅くなり、結果として睡眠時間も短くなります。また、帰宅時間が遅くなれば夕食と就寝までの時間が短いことから太ることを気にして「食べない」選択肢を取る人もいます。加えて、出社ギリギリまで寝ていたいという思惑から、朝食を摂らずに出社したり、忙しさもあり昼食を簡単に済ませたりする人もいます。また、無理なダイエットにチャレンジし、カロリー計算や糖質制限を細かくしている人もいます。そういった理由もあり、満足に食事を摂れていない、食事をしていたとしても栄養に偏りがあり、栄養不足だと考えられかねないのです。
健康と仕事の能率、どちらも大切にしたいのであれば適切な睡眠時間と栄養摂取は不可欠です。1日7時間は眠り、カロリーも適正量になるよう食事を摂りましょう。
仕事とプライベート、どうやってバランスを取るか
自分の体のために気を使う時間が不足していれば睡眠も食事もままなりません。仕事とプライベートのバランスを取り、健康な毎日を過ごすためにはどうしたらいいのでしょうか。
・仕事の効率を上げる工夫をする
帰宅時間が遅くプライベートの時間が取れないのなら、仕事の効率を上げて残業時間を減らす工夫が必要です。デスクを整理してタスク管理を行う、緊急性の高いものから取り掛かる、メールの返信は朝一番で終わらせる工夫は多くの人がしていることでしょう。さらに効率を上げたいのなら、集中力のいる仕事を午前中に終わらせてしまうのも手です。
脳が働くゴールデンタイムは起床から2~3時間後と言われており、この時間帯に集中力を必要とする作業を行うことで夜よりも効率よく仕事を進められるはずです。一度集中力が切れたら違う仕事に取り掛かるという方法もあります。自分なりの仕事パターンを作ることが大切です。
・プライベートを充実させる
プライベートで何か楽しみがあると、それに向かって自然と仕事もはかどります。業務終了後に予定を入れておくだけでも気分が変わります。このときの予定は、運動やヘルシーな食事など体にいいことを選びましょう。運動によってストレスが軽減され、夜もぐっすりと眠れます。食べることが好きな人は、ヘルシーでおいしい飲食店を探して歩くのもおすすめです。
・仕事とプライベートに垣根を設けない
仕事と生活のバランスを取る働き方、ワーク・ライフ・バランスという言葉が市民権を得ましたが、現在は仕事と生活を分けずに融合させる「ワーク・ライフ・インテグレーション」という働き方に注目が集まっています。
これは、仕事と生活は相反するものではなく、仕事は生活の一部であるという考えに基づいています。プライベートと仕事をはっきりと分けず、休日には仕事に役立つ勉強会に参加してみたり、フレックスタイム制度を利用して働きたい時間に勤務したりすることで生活の幸福度を上げるのです。仕事が気になって休日を思い切って取れないのであれば、仕事とプライベートを曖昧にしてみるとかえって気持ちがスッキリするかもしれません。
ワーク・ライフ・インテグレーションを実現するためには、企業側の努力だけでなく、個人の意識改革が必要です。自由度の高い企業であれば、出勤の必要のない日は在宅で業務をこなしてストレスを軽減することもできるでしょう。自分のプライベートな活動がしやすい時間帯、集中して働ける時間帯を知り、業務の効率を上げ睡眠と食事に充てられる十分な時間を作ってみてください。
仕事の能率を上げる休息と栄養。適度にリラックスしよう
慢性的に睡眠時間が足りていない、朝や夜の食事を抜きがちで栄養が足りていないという人は、一度自分の生活を振り返ってみましょう。連日の残業でそもそもの帰宅時間が遅いのなら、適宜仮眠をとる時間を確保するなどしてリフレッシュし、仕事の効率化を図りましょう。仕事が気になって思い切り休みが取れない場合は、フレックスタイム制度を利用したり在宅ワークに切り替えたりすることで、働き方を少し変えてみましょう。大切なのは可能な範囲で働き方をアレンジし、自分なりの幸福を追求することといえそうです。(提供:J.Score Style)
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