【目次】
①田中建設工業IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【12/10更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント【12/3更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- 田中建設工業
- コード
- 1450
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 建設業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 釆沢 和義 /1951年生
- 本店所在地
- 東京都港区新橋四丁目24番11号
- 設立年
- 1982年
- 従業員数
- 77人 (2018/10/31現在)(平均45.4歳、年収584.9万円)
- 事業内容
- 建築構造物の解体工事ならびにそれに付随する各種工事の施工監理
- URL
- http://www.tanaken-1982.co.jp/
- 株主数
- 41人 (目論見書より)
- 資本金
- 74,700,000円 (2018/11/13現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,128,400株
- 公開株数
- 356,500株(公募155,000株、売り出し155,000株、オーバーアロットメント46,500株)
- 調達資金使途
- 人材採用や人件費、システム投資、大型案件受注に備えた運転資金
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2018/11/28→2,210円~2,400円に決定
- ブックビルディング期間:2018/11/30 - 12/06
- 公開価格決定:2018/12/07→2,400円に決定
- 申込期間:2018/12/10 - 12/13
- 払込期日:2018/12/17
- 上場日:2018/12/18→初値2,570円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:むさし証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:ちばぎん証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:岡三オンライン証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 大株主
- スリーハンドレッドホールディングス(株) 1,700,200株 86.16%
- 田中 俊昭 55,600株 2.82%
- 田中 俊恒 22,200株 1.12%
- 松野 洋子 22,200株 1.12%
- 鬼塚 麻紀子 22,200株 1.12%
- 富士倉庫運輸(株) 18,700株 0.95%
- 釆沢 和義 11,200株 0.57%
- 従業員持ち株会 9,500株 0.48%
- 大栄不動産(株) 8,700株 0.44%
- 小池 正晴 7,800株 0.40%
- 津村 友城 7,800株 0.40%
- 貝原 利明 7,800株 0.40%
- 岡田 英夫 7,800株 0.40%
- 業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
- 2017/3 単独実績 2,757 349 360 222
- 2018/3 単独実績 7,861 1,258 1,271 834
- 2019/3 単独予想 6,500 730 700 457
- 2019/3 単独中間実績 3,622 533 568 361
- ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の平成31年3月17日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 8億5560万0000円(356,500株×2,400円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- なし
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 田中建設工業<1450>は1982年創業の、建築構造物の解体工事並びにそれに付随する各種工事の施工管理を行う企業である。
2020年の東京オリンピックを始めとする建設投資の高まり、東日本大震災後の防災意識の高まり、戦後の建築構造物の維持更新時代の到来等を背景に、建築構造物の解体市場は拡大中である。良好な市場環境もあり、同社は業績を拡大している。
尚、事業セグメントは「解体事業」の単一セグメントとなっている。
■解体事業の仕組み
建築構造物の解体は通常は下記の流れで行われる。
① 現地調査
② 施工計画策定
③ 各種届出
④ アスベスト除去
⑤ PCB汚染機器解体
⑥ 内装解体
⑦ 仮設工事
⑧ 上屋解体
⑨ 山留工事
→地下工事の際に周辺地盤が崩れないように周りの地盤を固める工事
⑩ 基礎解体
⑪ 杭抜き工事
同社は建築構造物の解体を、施主及びゼネコン等の元請会社から請負う。そして上記プロセスの現地調査、解体計画の策定などを行い、実際に解体工事を行う協力会社の監督・施工管理・安全管理といったマネジメント業務を行っている。
尚、受注先については年度によって上下はあるものの、概ね半数程度がゼネコンからの受注である。(2017年3月期45%、2018年3月期51.%)
■同社の特徴及び強み
同社は長年にわたる解体工事を通じて得られた経験及び蓄積したノウハウ・アイディアを基に、現況調査・工法の提案・設計・施工計画・外注や資機材の手配・施工監理・安全管理・原価管理・資金管理・行政対応・近隣対応等の業務全般を、ワンストップで提供している。
また工事に伴い発生する、アスベスト・PCB・ダイオキシン等の有害汚染物質の除去、地下水の浄化、土壌改良等に関しても、豊富な経験をもとに関連法令・放棄を遵守したコスト・工期・安全性に優れた、様々な提案・提供が可能である。
■今後の取り組み
2020年の東京オリンピックに向けての建設投資の高まり等を背景に、今後も解体市場の拡大は継続すると予想されている。
同社としては、①主要顧客の拡充(再開発プロジェクトや官公庁案件への取り組み強化)、②営業先ニーズへの対応力強化(同社の営業担当者は現場経験者が原則)、③現場の“見える化”による現場の安全・安心の推進、④作業品質・環境基準の管理の徹底などにより、更なる事業拡大を目指す方針である。
■業績推移
2016年3月期 売上高56億円、経常利益11億円、当期純利益6.2億円
2017年3月期 売上高28億円、経常利益3.6億円、当期純利益2.2億円
2018年3月期 売上高79億円、経常利益13億円、当期純利益8.3億円
2019年3月期(予想) 売上高65億円、経常利益7.0億円、当期純利益4.6億円
2018年3月期まで順調に増収増益を重ねている。
当期(2019年3月期)はQ2(累計)で売上高36億円、経常利益5.7億円となっている。通期計画は対前年同期比で減収減益の予想であるが、通期計画に対する進捗率は売上高56%、経常利益81%と順調に進捗している。
同社では2017年4月1日以降に着工した案件について、それまでの工事完成基準に変えて工事進行基準を採用している。特に大型採算工事に係る売上高・売上原価が会計基準変更に伴い大きな変動が生じており、当期決算が減収減益の見込みとなった側面がある。
■財務状況
2018年4月期末時点で資産総額47億円に対して、純資産合計29億円であり、自己資本比率は61%となっている。
有利子負債2.8億円に対して、現預金13億円を有しており、実質的には無借金会社である。
貸借対照表の借方において完成工事未収金が16億円と最大の科目となっているが、13億円の現預金を有しており、資金面での不安はない。
財務基盤場の脆弱な会社の多い建設工事業界において、非常に強固な財務基盤を有している。
■資金使途
同社はIPOにより4.0億円の資金調達を行う計画。調達資金については事業拡大を目的に、①人材採用及び人件費に2.3億円、②各種システム投資(原価管理システム、現場作業員の健康管理システム等)に1.6億円を投じる計画である。
■株主状況
筆頭株主は1,700,200株を保有する、スリーハンドレッドホールディングスで株主シェア86%を有している。スリー社は創業者である田中俊明氏の資産管理会社である。尚、田中俊明氏は、株主シェア2.8%を保有する第2位株主でもある。
スリー社は155,000株の売出を行うが、IPO後も引き続き筆頭株主に留まるため、安定的な株主構成となっている。
■まとめ