(本記事は、大家MASA氏の著書『大富豪サラリーマンの教え』サンライズパブリッシング、2018年10月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
定年という考え方をなくしてしまえばいい
定年で収入がなくなるのを防ぐ簡単な解決方法があります。
一つは一生現役を続けること。もう一つは、一刻も早く経済的自由を勝ち取って、早期にリタイアすることです。
この2つの方法によって、働くことを終える“定年”の概念をなくせばいいのです。
私は早期リタイアを目指していたので、生活費を稼ぐために労働を強いられるというステージから、投資家としてのリターンを得るための日々の作業や新規の投資案件の探索を行っています。
そして自分の経験を情報発信することで成功者を輩出するサポートを行っています。
石の上にも3年と言われ、時間をかけて単純作業のような仕事の習熟度を高めることが美徳とされた過去と違い、事業や投資の酸いも甘いも若い頃から色々と経験値を積んでいく方が、人生が豊かになれる時代だと思います。
繰り返しますが、“中流崩壊”“老後崩壊”は、国が北欧諸国のように手厚い社会保険制度へとドラスティックに舵を切らない限り、多くの人が近未来に直面する現実です。
グローバル化や日本の少子高齢化の影響を受けると、好むと好まざるにかかわらず、近い将来、一部の経営者や管理職を除いて従来型の多くのサラリーマンという階級は没落するでしょう。
現在は過渡期ですが、近い将来、サラリーマンという階級が没落して、会社とはサラリーマンの人生とお金を交換する場所だったと回想される日が来るように思うのです。
ブラック企業にお勤めなら、ご自身とご家族の貴重な時間を会社に盗まれているような生き方と言えます。
このような社会の変化は、多くの方にとっては衝撃的な事実かもしれませんが、この現実を受け入れて下さい。
この現実に気づきながらも行動に移せなかった人は残念な未来を迎える可能性が高く、このトレンドは変わることはありません。
これから直面する“中流崩壊”、“老後崩壊”に成す術のない状態は、いざリストラにあったり年金支給が止まってしまったら取返しがつかないので、今からご自身とご家族を守るために準備をしておく必要があります。
会社はあなたを金持ちにはしてくれない
そこで、発想の転換をしましょう。
もしあなたがサラリーマンなら、「勤め先の会社というのは、従業員に低収入の労働機会を作ってはくれるが、従業員であるあなたをお金持ちにしてくれる場所ではない」
ということをまずは認識してください。会社は月々の決まったお給料とそこそこの肩書は与えてくれるかもしれません。
しかし、会社に関わる人でお金持ちになるのは基本的に創業のメンバーや大株主に限られます。
朝から晩まで会社に滅私奉公して、目の前の仕事に没頭してしまって思考停止になってしまうことこそが危険なのです。
さらに、社宅利用、社内預金・社内財形、持ち株会・ストックオプション、社内融資、果ては社内結婚までしていたら会社から逃れて、自立思考をするのはかなり困難となります。
人間は環境によって左右される動物です。
職場の同僚や上司、身の回りのこの環境があなたの日常の基準となって、やがてその状態が常識となります。
ちなみに、その人の年収は付き合う人間で決まるという法則があります。
現時点であなたの仲の良い友人を5人挙げてみてください。その5人の年収の平均値は、あなたの年収とほぼ同じではないでしょうか?
サラリーマンだと付き合いが会社の同僚などに限られる場合が多いので、サラリーマン同士の環境では飛びぬけて高い年収の人はいないでしょうから、ほぼ納得がいくと思います。
つまり収入というのはその人が属するコミュニティによって決まるのです。“類は友を呼ぶ”とはまさに言いえて妙です。
平日は朝から晩まで同僚と一緒に働き、夜は飲み会、休日も会社のイベントで一緒なんていう生活では、周囲の皆と似たようなマインドセットになってしまうので、飛躍的に年収が伸びないのも当然です。
ポジティブな選択肢を取るか、それとも……?
現代社会はポジティブな選択肢を選んで幸福な人生を生きているのか、それともネガティブな選択肢を選んで人生を苦しくしてしまっているかの2つに二極化しているような気がします。
私は、「ポジティブ」であり続けたいと思いますし、成功している人は一様に「ポジティブ」です。閉塞感溢れる日本社会で生き残っていくには「ポジティブ」であることが重要だと確信しているからです。
人生を切り拓くためには、「ポジティブ」でなければいけないのです。
あなたが収入を増やしたいと本気で思うのなら、環境を変えることが取るべき第一歩となります。
具体的にはより多くの収入を志向し、自分が取り組みたいビジネスで成功している人と接することです。
まずは、複業(副業と書くと非常にチープな意味合いになりますので敢えて副業とは表現しません。本気で取組むビジネスとして複業と表現します)に取り組み、会社からの給料以外の収入を得ることに着手することをお勧めします。
投資や事業に取り組むことで、給料以外に複業からのセカンドマネーやサードマネーを得ることを想像してみて下さい。
仮に現在の給料と同額が得られる状態になれば、経済的な豊かさが達成されるだけでなく、まず気持の余裕が違ってくると思います。
人の悩みの9割は、お金で解決できると言われます。
お金と上手に付き合うことでいい意味で大らかになり、さらに時間と人間関係から解放されれば、ポジティブに満ちた人生に好転することとなるでしょう。
勃興するニューリッチたち
これまで勤め先の会社の“給料のみに依存するサラリーマンだけ”であることはリスクの高い状態であり、給料以外の収入を得るために何か行動を起こすことが重要だと断言しました。
なぜ、そのようなことが必要かというと、社会が変わるタイミングでは新たなビジネスや投資のチャンスが現れるということがあるからです。
事実、没落していくサラリーマンとは対照的に、アベノミクスの影響などで、今までとは規格外のニューリッチが続々と誕生しています。
現在まで、日本銀行はインフレ率2%を目標に掲げて、金融政策をインフレ誘導に舵を切り、大規模な金融緩和政策を行ってきました。このおかげで日経平均株価は上昇して、一時期は民主党政権時代の約2倍の2万円を超える勢いとなりました。
アベノミクス以前から株式投資を行っていて、株を所有していた人は単純計算で資産が2倍程度になりました。
またインフレ誘導によって空前の金融緩和が行われることによって、各銀行が不動産をはじめとする融資に積極的な姿勢を見せるようになりました。
不動産市場に関しては、リーマンショック、東日本大震災といくつか下げの局面があったものの、不動産は上昇トレンドに転換。
かつては一都三県でも表面利回り10%程度で入手できた投資用不動産が、今や皆無に近いという状況になっています。都心の湾岸エリアのタワーマンションも、相続税対策と実需の両方で価格が高騰しており、なかなか購入できないような状態が続いています。
不動産は東京オリンピックの開催決定がさらに追い打ちをかけて価格上昇トレンドに勢いづいており、かつてのバブルの様相を呈しています。
たとえば、アベノミクス以前に購入した1億円クラスの主要都市部の鉄筋コンクリート造の1棟マンションを上手に売却できれば、少なくとも数千万円は利益を出すことも不可能ではなかったのです。
複業の裾野が広がっている
もちろん、こうした流れは不動産投資だけに留まりません。
一般の民家に旅行者を宿泊させる民泊。
都内にワンルームマンションなどの物件を所有している人は、急増する訪日外国人観光客向けに民泊サービスを展開して、収入を得ている人もいます。
また近年ではガラケーからスマートフォンへ乗り換える人が増えたため、様々なインターネットメディアやリッチコンテンツ、アプリケーションのニーズが急増しています。メディアやコンテンツ、アプリケーションの制作や販売に携わることで副収入を得ている人たちもたくさん出てきました。
そのなかの一つに、ユーチューブで広告費を稼ぎ出すユーチューバーと呼ばれる人たちもいます。彼らは自分で動画コンテンツを作成し、そのコンテンツにかけられる広告費用で何と億単位で稼ぐ人も現れています。
電通などの大手広告代理店もアフィリエイトやSNSを使った“自分メディア”を使った広告を無視できなくなり、最近ではユーチューバーなどとコラボレーションをするような状況も生まれています。
アベノミクス以前の日本は、日本の株式相場など成長企業に乏しく、「ガラパゴスな日本企業株など上昇の機会は訪れない」「日本の不動産なども、今後、少子高齢化が進むため価格が上がることはない」といった声が大半でしたが、大規模な金融緩和のおかげで状況は大きく変化しました。
株価が上昇して、経済が発展するとITテクノロジーを使ったネットビジネスのチャンスも増えていきます。
スマートフォンの所有率が高くなったこと、通信容量が増えて動画を見る人が増えたことで、コンテンツの良し悪しが売上を左右するというビジネスチャンスが増えているのです。
超富裕層が増えている
これは“成功者が多くなったな”といった感覚的な話ではありません。
野村総合研究所(NRI)の調査によると、2013年から2015年にかけて、富裕層および超富裕層の純金融資産総額は、それぞれ17.3%、2.7%増加し、合わせて12.9%増えました。
2015年における富裕層および超富裕層の純金融資産総額272兆円は、NRIが推計した2000年以降のピークであった2007年の254兆円を上回っています。
富裕層および超富裕層の保有する純金融資産保有額の増加は、安倍政権下のアベノミクスによる株価上昇がこの期間続いたため、もともと富裕層および超富裕層の人々の保有資産が拡大したことに加え、金融資産を運用(投資)している準富裕層の一部が富裕層に移行したためと考えられます。
いずれにしても、中流意識がまだまだ強い日本人の中で、ご自身のポジションがどこに位置するかを意識する人は少ないと思います。サラリーマンだけの収入だと何十年も貯金できたとしても、現実的にはごく普通の一般的な人生という生涯を終える人が大半でしょう。
しかし、給与収入だけでなく、さまざまな複業の事業収入を得る努力をすることで、一気に資産を増大させることも不可能ではなくなりました。
つまり、中流意識であることが人生においては大損する時代になっています。
これまで紹介したように今後、下方への引力が働いて中間層が貧困化していく社会において、富裕層、少なくとも準富裕層への道を意識して目指す方が、人生において成功できる可能性が非常に高いのです。
アベノミクスによって証明された通りに、株式市場や不動産市場は、目の前の実需による以外に、金融緩和などによる経済政策で将来への期待が価格に反映する要素があり、時流に乗れれば個人でも勝てる場合があります。
人員を大量に抱え込む大きな工場や、設備を有する重厚長大産業のようなビジネスだけが成功の形ではないのです。
最終的に成功者と普通の人の違いは、興味を持ってビジネスチャンスと見て飛び込んだかどうかの違いだと思います。
要は、“やったかやらなかったか”の違いだと私は考えています。