富裕層がプライベートカンパニーを設立し、資産の管理をすることは広く知られているが、その目的・理由はご存知だろうか。3つの理由・メリットをまとめてみた。

理由1 節税になる

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(画像=Photobac/Shutterstock.com)

まずはプライベートカンパニーを作る最大の目的である、所得税と住民税の節税について見ていこう。

日本では累進課税が採用されており、所得に対して最大で55%(このうち住民税10%を含む)の税金がかかる。例えば、1億円の所得に対しては5,500万円もの税金がかかり、手取りはたったの4,500万円になってしまう。

ところが、プライベートカンパニーを設立して資産の管理をすると、かかる税金は法人税になり、税率は30%だ。1億円の利益に対しては、3,000万円が税金で7,000万円が手元に残る計算だ。

資産管理会社(プライベートカンパニー)を設立すると、まずこの部分でメリットを享受できるのだ。

理由2 様々な出費を経費として計上できる

次に経費計上だが、法人化すると生活に関わる様々な出費を経費として計上できる。

例えば、社宅という名目でマンションを購入したり、社用車の名目で車を購入したり、交際費としてランチ代を経費で落としたりなど、他にも経費計上できる項目は多岐にわたる。

また配偶者や子を役員にして、役員報酬(経費)という形で利益を複数の人に分散することも可能だ。これも節税の効果がある。

1億円の所得をそのまま個人で受け取れば5,500万円もかかる税金も、役員である配偶者や子に所得を分散させ、経費として報酬の支払いをし、法人の利益をゼロにして法人税をゼロにしてしまうことも可能だ(役員報酬を得た配偶者や子には所得税がかかる)。

理由3 相続税対策ができる

最後に富裕層の悩みの種である相続税についても、資産を法人保有のものにしておくと、これを節税することができる。

よく「3代続くと財産がなくなる」と言われるほど相続税は高い。だが不動産や有価証券などの資産の所有権を法人に移転させておくことで、個人所有時に比べ格段に相続の手続きは簡単になり、大きな節税効果も期待できるのだ。

2015(平成27)年に改正された相続税法では基礎控除額が少なくなったことにはじまり、6億円以上の資産に対する相続税は55%に引き上げられた。他の先進国では相続税が安くなったり廃止されたり、そもそも相続税が存在しなかったりする中、日本では逆に高くなっているのだ。

プライベートカンパニー設置の注意点

大きな理由・メリットとして3つ挙げたが、資産を管理する目的でプライベートカンパニーを設立するメリットは他にもたくさんある。ただ、忘れてはならないのが法人設立には費用が必要になることだ。

プライベートカンパニーの設立には法人登記が必要。資本金は1円から認められているので、法人登記にかかる諸費用を含め経費は少額で済むが、法人を維持していくために、税理士に支払う報酬や、毎年の法人住民税がある。

とはいえ、上記の費用を踏まえても、富裕層にとっては上述の3つのメリットだけで十分プライベートカンパニーを作る理由になるということだ。

累進課税が採用されている日本の富裕層にこそ、プライベートカンパニーの存在はもっと広く知られ、活用されるべきなのかもしれない。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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