(本記事は、坂本彰氏の著書『給料は当然もらって、株で10万を1年で月収20万に!』ぱる出版、2018年12月11日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
人口減少に負けない小売り外食株はあるか?
2050年には人口が1億人を割るという試算もありますが、日本のすべての都道府県が一律に減り続けているわけではありません。一部の地域では増加を続けているのです。
そのため、都心部に積極投資や出店をする企業は、成長力も継続していくと予測できますが、すべてがそうなるわけではありません。地方でも独自の成長プランや方針を掲げて拡大し続ける企業も存在しています。
地方で成功する銘柄をサクッと見抜く
都心部ではなく、地方や郊外で活躍している企業の一つに、喫茶店「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス(3543)があります。
喫茶店激戦区の名古屋で勝ち残ったモーニングのサービスを全国に展開中の同社ですが、出店場所は国道沿いの幹線道路やイオンモール内などが中心です。駅前に近い店舗は少なく、車で行くというイメージです。
●繁盛している身近なお店を見逃すな
名古屋式といえば、豪華なモーニングで有名ですが、コメダ珈琲店も朝11時までの入店でコーヒーを注文すれば、食パン、ゆで卵が無料でいただけます。
サービス精神が強いようで、飲み物や食べ物、どのメニューもボリュームがあり、お腹一杯になります。
私の地元、滋賀でも大盛況のようで、満席でお店に入れないこともしばしば。喫茶店で満席で入れないお店は、スターバックスぐらいしかないため、かなり人気のようです。
コーヒー一杯でモーニングの時間帯であれば食事無料。さらに雑誌や新聞など読み放題なので、新聞代などを含めると結構お得な値段設定だと思います。
そんな同社ですが、サービス精神旺盛なため、カツサンド(カツパンという名称で販売されています)を食べたときは、胸焼けするほどでした。
人によっては、食べきれないほどのボリュームですが、2018年から新業態として、コッペパンのお店をスタートさせました。
「やわらかシロコッペ」という店名で、現在東海圏中心に展開しています。コッペパンは給食で食べたという印象を持っている人も多いはず。
最近はおしゃれなコッペパン専門店が東京のビジネス街やデパ地下にも続々オープンし、テレビでも紹介される機会が増えています。
やわらかシロコッペでは、定番のマーガリンやいちごジャムのほか、名古屋名物の小倉味なども300円前後で販売しています。
コッペパンメニューは現在、コメダ珈琲店での販売はないようですが、新メニューとして発売開始されると、ブームの流れに乗って人気化しそうな予感です。そのほか、コメダHDは独自キャンペーンを定期的に催し、新規客の獲得やリピート率の向上に余念がありません。
●居酒屋の銘柄で大化けを狙う方法
もう一つ注目しておくべき銘柄がヨシックス(3221)になります。
同社は名古屋地盤の居酒屋チェーン店で「や台ずし」「ニパチ」が主力業態です。2018年度は54店新規出店し、積極展開を続けておりますが、4年後の2022年には売上高300億円、500店舗目標というプランを掲げています。
2018年の実績は売上高156億円、店舗数は284。今後4年で約2倍という高成長となりますが、出店ペースとしては、年間55店舗ペースで達成可能です。しかしながら、赤字やそのほかの事情で退店する可能性ももちろんあるため、もう少し上。
年間60店前後での出店ペースになると思われます。
2018年度の新規出店が54店舗あったため、この予測は実現不可能ではないでしょう。ヨシックスの出店ペースはかなり早いですが、それを実現するための戦略が2つあります。
一つは建築部門の存在、もう一つが居抜き物件を狙うことです。
ヨシックスは創業した時から居酒屋を営んでいたのではありません。創業時は吉岡建装という建築会社でした。その後、居酒屋へと事業転換をしたのですが、当初の建築部門は今でも残っています。
●出店コストを抑えて、高収益も実現した秘密
建築の専門家でもある、この部署が同社の店舗デザインや設計等を行っていて、もちろんコストを抑えるための知識も豊富です。実際にこの部門がお店を建てるわけではないそうですが、外注するにしても、コストを抑えた出店ができるとのこと。これは他の小売外食店にはない強みでもあります。
もう一つの戦略は、居抜き物件を狙うこと。居抜きとは、ある物件の内部設備をそのまま残した状態で次の所有者に買い取られた不動産のことです。
土地だけの状態から店舗を作るのではなく、すでに居酒屋であったり、飲食店やコンビニだった店舗を改装して新規オープンさせるため、様々な設備をそのまま利用できるのです。
また、出店地についても、駅前の一等地を狙うのではなく、メインストリートから少しだけ離れた場所を狙うそうです。こうすることで、地代家賃を安くすることができるのです。
ヨシックスはコストが大きい店舗にかかる費用を徹底的に抑えることで、その分、食材にコストを使うことができるそうです。
自己資本比率とは、総資本に対する自己資本の割合を示したもので、返済不要の自己資本が全体の何割あるのかを示した数値になります。10%以下なら危険水準、40%以上なら安定経営となります。
他社平均も40%を超えていますが、ヨシックスは60%近くあります。
続いてROE。ROEは、効率的に株主資本を活用できているかを示す指標で、数字が高いほど良い企業とも言えます。
計算方法は当期純利益÷自己資本になりますが、他社平均の10%超と比べてヨシックスはその2倍以上となる25%もあるため、非常に効率的な経営がなされていることがわかります。
実際、同社の売上高と利益の推移をみていくと、年度が進むごとに、利益率が上昇しているのです。さらに前述したとおり、2022年度には売上高300億円、店舗数500店という目標を掲げています。
4年後には売上高、店舗数ともに倍にする計画ですが、実現した場合、株価も現在の2500円台から、少なくとも2倍になることが想像できます。
また、実現の過程において利益率は今以上に向上していくと考えられるため、実際は2倍以上となるでしょう。
足元の業績は増収増益を続けているのは当然ながら、2017年後以降成長率が加速したため、株価は大きく伸びております。
以上、2銘柄を採り上げましたが、外食関連株で注目の地域が名古屋です。
味の濃い、個性的な印象のある名古屋めしですが、名古屋の外食店銘柄は大化けすることが多いと感じます。