注目を浴びているiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は自分で運用方法を選ぶことで、より良い老後のための資金を準備できる制度だ。手数料をはじめ、iDeCoの運用にはどのくらい費用がかかるのだろうか?ネット証券最大手のSBI証券でiDeCoを始める時の費用を確認しておこう。
iDeCoにかかる手数料
まずは、iDeCoにかかる手数料について見ていこう。iDeCoを実施しているのは、国民年金基金連合会だ。どの証券会社、金融機関を選んだとしても、国民年金基金連合会が定める手数料はかかる。
国民年金基金連合会が定める手数料は、加入・移換時手数料、加入者手数料、還付手数料の3つだ。加入・移換時手数料は、加入時または移換時に1回のみ支払う手数料で、金額は2,777円。加入者手数料は、掛け金を納付するたびに支払うもので、103円。還付手数料は、国民年金の未納月が判明した時など、その月のiDeCoの掛け金を還付する際に支払うもので、還付金から1,029円が差し引かれる。
上記の3つの手数料に加えて、事務委託先金融機関手数料と運営管理機関に支払う手数料がかかる。事務委託先金融機関手数料は、iDeCoの資産を管理する信託銀行の管理手数料で、どの証券会社や金融機関でもほぼ共通の税込64円だ。
運営管理機関に支払う手数料は証券会社や金融機関ごとに定められているもので、運営管理機関によって異なる。例えば、あなたが選んだ証券会社で、毎月の手数料が500円の場合、国民年金基金連合会に支払う103円と事務委託先金融機関手数料64円を差し引いた333円を証券会社に支払っていることになる。手数料が安いか高いかは、この差額を見て判断しよう。
SBI証券はさまざまな手数料が無料!
SBI証券では、iDeCoにかかる様々な手数料を無料にしている。加入・移換時手数料は、国民年金基金連合会に支払う2,777円のみで、SBI証券への手数料は無料だ。毎月支払う加入者手数料も、国民年金基金連合会に支払う103円と事務委託先金融機関に支払う64円のみで、SBI証券に手数料を支払う必要はない。
その他、運営管理機関変更時やプラン変更時の手数料も無料となっている。
手数料以上に運用利益に影響する信託報酬
手数料よりも、運用利益に影響を与えるのが信託報酬だ。信託報酬は、投資信託などの金融商品を管理・運用してもらうための手数料として支払う費用だ。別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して〇%」という形で、毎日差し引かれる。
例えば信託報酬が1%の投資信託で、現在の自分の時価資産残高が50万円の場合、「50万円×(1%÷365日)」で1日あたり約14円を支払うこととなる。信託報酬が2%の場合、「50万円×(2%÷365日)」で約27円だ。1%と2%で、1年間の手数料の差額は約4,745円になる。
iDeCoには、元本保証型の定期預金や、保険と元本変動型の投資信託がある。特に投資信託では信託報酬が運用利益に影響を与えるため、注意が必要だ。信託報酬は年0.5%から2.0%程度が一般的であり、特定の指数との連動を目指すインデックスファンドより、ファンドマネージャーの腕が問われるアクティブファンドのほうが高い傾向にある。
信託報酬は、投資信託を保有している間毎日差し引かれるものだけに、正しく把握しておくべき重要なコストと言える。
SBI証券なら信託報酬を低く抑えた投資信託が揃う
SBI証券は、iDeCoで選べる投資信託のラインナップが充実しているのが魅力だ。2018年12月7日時点でiDeCo向けの投資信託の数は69本。楽天証券の31本、マネックス証券の25本に比べてもかなり多い。
実はSBI証券の69本というのは、法律の上限ギリギリの数だ。2018年5月に、確定拠出年金法等の一部が改正された。それによって、各金融機関・証券会社が提供できるiDeCo向けの投資信託の数は、上限が35本に制限された。SBI証券では今まで提供してきた商品を見直し、厳選した35商品を「オリジナルプラン」として提供。さらに2018年11月1日から「セレクトプラン」として新しく魅力のある商品を導入している。今までオリジナルプランを利用していた人が、セレクトプランに変更する場合の手数料は無料だ。
SBI証券の投資信託のラインナップを見ていこう。例えば「三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」の信託報酬は0.1728%、「三菱UFJ国際-三菱UFJ 国内債券インデックスファンド」は0.1296%となっており、かなり低い水準に抑えられている。
2018年12月7日時点で信託報酬0.54%以下の投資信託の本数は45本もあり、信託報酬が安い商品が充実している証券会社と言える。
SBI証券でのiDeCoには魅力が多い
SBI証券でiDeCoを運用するのに必要な手数料について紹介した。SBI証券をはじめ、大手ネット証券会社では手数料無料を謳っており、今後は信託報酬の低さや商品ラインナップでの競争となるだろう。SBI証券は手数料が業界最低水準であり、商品のラインナップも充実しているのが魅力だ。iDeCoを始める時は、第一の選択肢として検討するといいだろう。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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